2022/07/12 のログ
ご案内:「魔族の国 廃城」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 魔族の国の何処とも知れない場所。
白く霧深い渓谷に黒く影を滲ませる廃城。

しんと静まり返った石造りの回廊に靴音が響く。
歩いているのはやや場違いに、ぼろぼろのシェンヤンの胴着だけをまとった赤毛の女だ。足取りは逸るでもなく遅くもなく、ただ視線だけ時折辺りを素早く巡らせて歩いている。
柱の間から覗く外の景色は乳白色に染まっていて外壁に触れれば滴るほどだというのに、不思議と廊下へと押し入ってこない。

(……気に食わない…)

気付いた時に見知らぬ場所に居るのはいつものこと。
凡そ戦場で連れ去られたかしたのだろうが、気付いたら何もない石造りの部屋にいて、施錠も何もされていなかったためにこうして無為に彷徨っている。

―――まるで、試されているような。

空気には少し魔力が漂う。恐らくは魔族の領域なのだろうと察しはつく。
ここへ連れてきたものが自分の正体を解っていないとは思えない。同族のようなもの同士で化かし合いでもするつもりか、と忌々し気に顔をゆがめて
一先ずの脱出をするために、薄暗く広い回廊を進む。

グァイ・シァ > ひやりと冷たい空気。
常日頃戦場にばかりいる女は落ち着かないようで、不機嫌な眉間の皺はいよいよ深くなる。

それでもやがて、回廊は無限の仕組みなどはなかったらしく端へと辿り着く。
見上げるほどに聳えた扉は、両側をこれまた見上げるほどの像が佇んでいてものものしい。

女はそれらを一瞥した後、頓着せずに扉に手をかけて押し開ける。
開けたその先、足元から零れてるように冷たい空気が溢れてくる。

その先どうなったか
この仕掛けを図った者と女だけが知ることになるのだろう。

ご案内:「魔族の国 廃城」からグァイ・シァさんが去りました。