2022/03/07 のログ
ご案内:「魔族の国」に影時さんが現れました。
ご案内:「魔族の国」にラファルさんが現れました。
ラファル > 「……うーん。多分、統一されてる意志の元、ではないんだろうね。で、今現状は魔族の国もおとなしめだから。」

 ここ最近に関しては、城の中に入って、悪戯、というのは控えているから、この国と魔族の国の状況は判らない。
 以前、第十師団の所に悪戯に入って、お仕置きされて、偶に駆り出されるイリーガル、第十師団員な幼女。
 それに、姉は第二師団の団長補佐とねんごろになっているらしいし、そう言う意味でも、城での悪戯はリスクが高くなりすぎる。
 ちゃんとそう言う所は考える系、悪戯幼女なので、城の情報は、ある程度取りに行かない方向にしていた。
 なので、師匠と同じ程度にしか情報を拾ってはいない。
 幼女―――否トゥルネソルとしては、大きな戦争は、其れこそ物資運ぶ労力の増大など、商売方面としても影響が高い。
 気にするレベルではあるのだ。

「だいじょーぶ、師匠は鬼でも問題ないし、ボクはドラゴンだし?何もわからない代物以外は何とかなる成るー!

 魔法を使うと、寧ろ危険になるね。」

 魔法を吸い取る、そしてため込む。それだけならまだいいだろう、飽和しきってしまったら、爆発する可能性を考える。
 一つ二つの爆発なら問題は無かろうが。
 それが、坑道中とか、場所や状況に寄らずとも、致命的になるだろう事は推測できる。
 だから、頷いたところで、更に、師匠の言葉が続いた。

「あ。成程。
 この洞窟が、鉱石が、そもそも封印になっている、という可能性も有るんだね?」

 魔力を垂れ流す何かがある、それを封印するなら、魔力を吸う鉱石がいい。
 さらに言えば、魔力を吸う鉱石が、魔力で変質し、上質なものになるならそれを掘り出して、武器防具。
 そう言った鍛冶をする人から見れば、何時でも良いものが手に入る鉱山と言う事にもなるし。
 一石二鳥三鳥、と考えていいのかもしれない、そう幼女は考えた。

「了解、だよ。
 今回は、純粋な身体能力。だね。んー。」

 魔力が吸い取られると言うなら、魔力を使う行為は減らしたほうがいい、そう提言してくれる師匠に頷いて。
 人化を解いていく。
 忘れがちだが、幼女は人竜であり、人間の姿は、魔力を使い変化をしている姿。
 だから、緑色の鱗に覆われた両手両足。竜の尻尾、翼、竜の角が、現れて。
 本来の姿へと戻っていく。
 自分の中では、小さな量だが、何が有るかわからないとなれば、どれだけ節制しても、良いだろうと。
 それに、鱗や、爪など、尻尾に翼と、増えるので、行動手段も増える。

分身s > 「それでは、「ぼく」、「俺」、「わたし」は、ここで荷物を守ってま~す。」

三匹のラファル達は、それぞれ、サムズアップ、ガッツポーズ、投げキッス。
三者三様のポーズで、お見送りと待機の了承。
足りない魔力はその辺で補給してるから安心してねーとか言って。
なんかキャンプを張り始める始末。
のんきが過ぎる。

影時 > 「そういう具合なんだろうなァ。大人しめというよりは好き勝手――したいが、睨みあって動けん、と考える由縁の裏付けも無ェからなあ……」

弟子のその話を聞いた時には、己も尻を叩くかどうかは少しばかり悩んだものだ。
だが、軍の動きを探りたいとなるならば、その情報が集まっているところに行けばいいということ自体は決して間違いではない。
肝要なのは、バレないこと、得た情報を漏らさないこと、知るべきこと以外は手を付けない、といったところか。
そもそも、忍びこむなという点自体は突っ込まないでほしいが、露見した際に何を以て追手などを放たれるかという要件はきっと多くない。
ともあれ、市井レベルで得られる、最前線となるタナール砦に時折詰めて雇われ衛兵として得られる私見としても、断片的でしかないが。

「その何とも知れンものと遭うのが寧ろ愉しみ、とはいえ、だ。
 出かかりの予兆を拾って備え、心構えするのが忍びならぬ冒険者として大事な処だなァ。
 ――纏わせる類は長く保てんかもしれんな。放つ類は規模やモノにもよるが、効きが悪くなるかもしれん」

溜め込まれる規模、上限がどれほどか、ということにもよる。
むやみやたらは無いとしても、大魔法の一発、二発程度は左程問題ではあるまい。それ位で閾値を超えていれば、この地域は爆発による地震が多発しうる。

「封印というよりは、此れを起こしているものそのものが肝要とみるが、はてさて」

先ずは物を見てみないことには分からないにしても、人知がまだ及ばぬ何かを引き起こす物自体にこそが貴重である、重要であろう。
噂を流布したものが何者かは知らないが、暴いて欲しいから流布するとした場合、人界でそうするのは手段としては迂遠過ぎる。
人間と魔族の時間間隔のずれが原因かもしれないが、其れは今は重要としない。
この領域を進むにまず重要なのは身体能力と、恐らくはもう一つ。

「はは、ッ。頼んだぞ。……ああ、窪地程度に地面を掘って隠れておくと、色々と隠れるに易くなるぞ」

竜身を顕す弟子と、その弟子が紡ぎ使役する分身たちと。それぞれの姿と言葉に頷き笑って、左手を振って応えながら松明を手に先に進む。
ひょうひょうと吹き込む風、吹き出す地の底からの寒気を感じつつも――、同時に認識するのは体温と同じ速度で魔力を奪わんとする気配だ。
此れが魔族相手であれば、一層影響としては強いかもしれない。
肉体を持たない種や魔力に生命活動を依存した種であれば、この場で長居するのは致命的、或いは死刑宣告も同然だろう。
頑健な肉体を持つ人間であっても、内在する魔力を吸い出され、昏倒に至りうる危険がある。この場合に試すには、

「……――ラファルよ。
 氣や魔力の流れを手繰り、肉体に活を与える呼吸の技と、気配を漏らさず隠す隠れ身の技だ。これらを同時に為せるか?」

毛色の違う技を同時に紡ぎ、保てるか? 基礎は諸々網羅しているであろう弟子を、次の高みに送り出すための試練も兼ねて問う。
肉体を活性化させながら、普段であればそのまま表出させる魔力や氣を漏らさず、隠す。
いわば、口を塞ぎながら深呼吸せよ、という程の難度になりうる技だ。其れが己にとっての奥義、奥の手の基礎となる。

ラファル > 「正直―――何もかも決め手に薄いよね。
 これが、意図しての情報統制だとしたら、本当に凄いんだけどねー……。」

 きっと、偶然の、現状という形になる気がする。
 王国の師団長はだれもかれも、とても、個性的であり、全員が協調するには、一つ上の頭が欲しい。
 しかし、王は、今は居らず、師団長をまとめる将軍職も、聞いたことがない。
 結果、師団のトップがそれぞれ動く形となっていて、個人でのつながりは有っても、軍全体での統制は。
 群れとしては、致命的な欠陥のある状態だと、ラファルは思う。
 そんな状態の国を襲わないのは、魔族の国も又―――同じような状態なのだろうな、とも。
 ただ、それは、今までの情報、色々集めての、推測でしかないから、之も、決め手とは言えないのだった。

「―――にひ。ワクワクする、ってやつだね。
 ボクは……うん、まあ、何とかなるよ。魔力が無ければ、齧ればいいんだし!
 いちおー、ドラゴン様だもの!」

 そもその、生物的な強度は、半分人の血が入ろうとも、人間と桁が外れている竜の一族。
 並の魔族よりも、肉に偏っている分、こう言う所は得意と言って良いだろう、比較的にの話。
 魔法が吸収されるなら物理で、レベルを上げて、殴ればいいじゃないか、というあれを、種族で行う存在だ。
 きらーんと、鋼鉄をかみ砕く幼女の八重歯が、頼もしく輝く瞬間。

「判らないから調べる、見に行く、だもんね。」

 そう、自分も師匠も、学者ではない。識者でもない。
 冒険者だから、実際に見て、触れて、調べて、其処から考える事を良しとする。
 足を止めて、見たこともない物をあーだこーだと考える達でもない。警戒はする、しかし、飛び込む。
 それが、冒険者なのだ、と考える。

「皆の者っ!ししょーは、拠点をご所望だっ、のんびりキャンプじゃない、砦じゃ!堀を掘るのじゃっ!」

 乗りに乗ってる幼女、遊んでる幼女、冒険だから、仕事じゃないから、何処までもノル。
 行き過ぎれば、師匠がストップをかけるだろう。
 まあ、ここは魔族の国だと言う事を鑑みても、防御力の一つは欲しい、だから、塹壕の提案があったのだろう。
 なので、スコップよーい、と幼女は分身に伝える。

「んっ……と。
 暗殺するときに、為る状態、だね。魔法も使わずに、隠れて、透明になる方法。」

 忍びとしての極致の彼の言葉。
 幼女は師事するまえからも、ストライダーという、西洋の忍びとも言える技術を独学で学んで居た。

 無私と名付けたそれは、己の気配を欺瞞し、人の目の前に立っても、自分を認識できなくなるという物。
 師匠の言う言葉の、後半部分に似通った技術。体術と、魔力を散らす方法。
 後は後半の呼吸術は――――。

「ん、いけるよ。」

 息を吸うのではない。
 全身で呼吸をして、肌で、体で、呼吸をする。口と鼻で呼吸をする方法ではない。
 それは、ラファルが風の竜だから出来るとも言える技法。
 師匠の提案した方法とは異なるが、可能だと、首肯した。

分身s > 技のラファル「スコップよーい!」
力のラファル「塹壕掘るぞー!」
エロラファル「愛の巣作るわー。」

それぞれが、スコップを持って。
土砂を爆発させるような勢いで、静かに掘り始める。
凄く器用だが、風を操れば音もなく塹壕を作るとかできるのだ。
ちゃんと廂なども作って、奥行きを持たせる。
確りした活動拠点が、作られていくのである。
三人いるから、三倍の勢いだ。

影時 > 「何も考えないようで、その実熟慮していンのか。それともその逆なのか。……前者だったら凄ぇな」

色々な意味で、と。師団という名称とその名を関する軍集団が複数ある中、それらを統括するものを聞いた記憶がない。
将軍、或いは大将軍とでも呼ぶものはなく、恐らくその統括者が直で国王になるのではないか、という組織系統の予測図。
それが恐らくは国家レベルとしては相互に似通っているような情勢、なのだろうか。
偶然でもなく、このような勢力の絵図面を描けるようなものが居るとすれば、それはもう神の御業かもしれないが。

「その手のゴリ押しが利く肉体の頑健さ云々については、俺もよぉく知っている。
 だが、魔力を根こそぎ引きずられるようなオチは心しておくに越したことは無ぇぞ。

 未だ良く知らぬから知りに行くために進むとはいえ、……この塩梅だと、魔族の刑地でもあったりしねぇかな此処はよ」

肉体強度、種としての頑強さは己と弟子は雲泥の差がある。魔力に頼らない無茶もその小さな躰はそれ以上の規模で為しうるだろう。
ただ、懸念すべきは矢張り地の利ならぬ「地の不利」だ。
竜種は魔力面でも秀でるだろうにしても、いわば大地そのものからエナジードレインされるような地の特性というのは、易くはない。
先に進めば知れるにしても、松明で照らして見据える奥。微かに何かが煌めくような前方は、ある種の不安めいた未知が過る。

「……あー、身を隠せる程の壕程度でいいからな? 

 と、話を戻すか。そう、そうだ。流派等で色々言い方は多様だが、魔力やら何やらに頼らず気配を隠すワザだ。
 今俺がその手管の一端を伝えンなら、氣を練って漏れだす余波を繰ってな、逆の位相の氣の膜を身体や得物に纏わせ、打ち消すみてぇに纏う。

 そうやって、余分な気配を外に漏らさん。この場であれば、魔力を覚悟なく引き摺りだされンようにするためにこの手管を応用する」

遊びこそ真剣になるのは子供らしいが、拠点レベルまではいい。いわば蛸壷を人数分ほどこさえておけば事足りる。
そう言葉に出した後、己が奥義の基礎と呼べる理念を口頭で述べる。その後で、実演だ。
氣を練る技を教えていれば、相応に氣を感じる眼も養われていることだろう。
深く深く息を吸い――長く長く吐く。その繰り返しで血脈に沿って巡る力の流れを高め、同時に体表で漏れ出る余波を手繰る。
音を音で打ち消す、という手管を弟子は以前やっていたが、考え方としては同様。だが、身体内外の氣流を御するセンスを身に着けているかが問われる。

そんな技を身振りもなく、ただ平静とした足取りの中、探索を並行で行いつつ為して進めば、やがて開けた空間に出るだろう。
松明が放つ煙交じりの光が照らすのは、黒い石柱や鍾乳石めいた風景に混じり、まるで星の如くしろがね色が所々に灯り、煌めく光景だ。
だが、其れがどこか忌まわしく揺らぎをともなうのは、気のせいか。
踏みつけた足の下にあるのが、人間ともつかぬ何かの骨や布の欠片めいた朽ち果てた何かだからかもしれない。

ラファル > 「ねー。」

 正直に、情報が足りなさすぎるこの状況で考えるのは休むに似たりという物であるのだろう。
 師匠の言葉からも、其処迄の情報は持っていないように推測できる、詰まるところ、今話し合っているのは、雑談レベルの物でしかなかった。
 だから、そう言う物なのだろうと、考えるのみで終わらせることにしておく。
 今大事なのは、戦略を考えるのではないのだし。

「あいっ!」

 肉体も、魔力も、人の桁を外れているとしても、魔族という物は其れこそ、魔を冠する存在故に、魔法力で言うなら一級品。
 師匠の言う通りに、その場所が、魔族の流刑地というのであれば、魔力を根こそぎ吸い取られてしまう事を想定しておくに限る。
 それに、魔力が使えぬ場所で、魔力しか、傷の付かないガーディアンを配置する、善くある話だ。
 警戒をすることに越したことはないし、今から行く場所は、ラファルから言えば、正直苦手な部類になる。
 洞窟、空を飛ぶことが難しく、大地に包まれている場所。
 姪のフィリとか、プリシアは、大地の属性を持つので、こう言う所で元気になるのだろうけれど。
 ラファル自体は、其れこそ、冒険と言うべき状態になる場所なのである。
 だから、師匠の言葉には素直に従う。

「あ~……。うん。成程!」

 理解した、完ぺきに、理解した。
 ふりではなくて、幼女はいつも自分がやって居る事だと、理解したのだ。
 隠れる時は、音の壁を作り、音を消すことなく、自分を通り過ぎるようにさせる。
 不自然な無音を作るのではなく、音に溶け込むために、自分の近くに空気の幕を張るのだ。
 それを、応用して、気を、魔力を空気の膜にするように身に纏うと言う事。
 いつも身に纏う空気を、魔力に、気に変えるという程度の事だ、と。

 氣を操作するセンスに関しては、其処に居る分身共が証左となる。
 自分と同じ存在を三体分、気の塊として作るわけで。
 それを、薄くして、自分の身に纏えばいいと言う事だ。

 理解して、実践して。
 幼女は師匠の後をついて歩き始める。

分身s > 「しょぼーん。」
「パワーが……封じられた。」
「タコつぼ、詰まんなーい。」

と、ストップをかけられて、しょんもりしながらも。
自分たち+二人分、師匠と本体の分を作る分身達。
師匠たちの背中が見えなくなるまで、言ってらっさーい、と見送るのだった。

多分帰って来るまで、なんかして遊んでる。

影時 > 「それに知り過ぎても、はたして面白ェと言えるかどうか――というのもなぁ」

政争に愉しみを見出すというのは、忍びの領分というよりは大名、あるいは公家、貴族の政務のレベルだろう。
それらの諜報に関与するのでもなく、一介の個人レベルとしてはこんなものだ。
今は「そんなこと」で一括りできる事項より、探索を進める場所の方が何よりも問題だ。
魔力を吸い出される地勢というのは、何かを封印するよりも、流刑地や死刑宣告も同義の強制労働の地として使う方に向くかもしれない。
「大地を掘削する」という行為を行う場合、人手と道具を用意する人間よりも、より手っ取り早い手段で魔族は為せる可能性がある。
魔力を魔法、魔術として行使することに長けたものが、封じられる、或いは行使できてもはるかに負担がかかる場所で、長く生きていられるか。

「戻ったら、頭撫でてやるか……。
 言葉で定義するのはまあまあ容易だが、いざ為す――というのは、な。積み重ねがないと易くない」

地上でしょんもりしてそうな顔×3つという情景が、先に進めば進む程遠くなるが、脳裏に直ぐ思い浮かべられる。
羽織に包まれた肩を上下させ、言葉通りの技の実演を遣って見せながら言葉を紡ぐ。
そこにありながら、まるでそこにいないような気配の薄さとは、声と松明の光が無ければ、ともすれば存在しているという感覚が危うくなる。
同系の技を行使できるものが隣り合うと、そうなる。だが、足を止めないのはついてきているだろうという弟子への信頼故だ。

「……――衛士か? 衛士にしちゃぁ、ナリが剣呑だが」

そんな中、前方でひとつ、ふたつ、そしてみっつと、踏みしめる音が連続する。連続して、近づいてくる。
人が歩むように連なる音の流れを足音と呼ぶ。実際その形容は間違いではあるまい。掲げる松明の光の彼方、銀色の光を放つものはそんな形をしている。

NPC > 【…………】

言葉なく、だが、無骨な有様を松明の光を受けながら表すのは、巌をくみ上げたかのようなヒトガタだ。
全高は2~3メートルはありそうな、岩石の巨人はいわば、ゴーレムと呼ばれる類のものである。
魔力で駆動するとされるそれが、魔力を吸収される筈の地帯で稼働できている由縁は、身のそこかしこに見える銀の光にある。
この地の特質とされる鉱石を含有する石材そのものを、衛士として仕立てたのだ。
さらに、胴体に埋め込まれているのは、既に白骨の態を晒した魔族――らしい死骸だ。
肉も腐れ、削げ落ちた顔貌は苦悶めいて顎を開いているが、その身の魔力の全てを絞り出させた果てに、動力としているのだろう。

ラファル > 「変なのに巻き込まれそう。」

 知りすぎる、というのも善し悪し、であろう、こう良くない所では、知り過ぎたから、始末する、というのは往々にある。
 というよりも、盗賊ギルドで、話に聞いたことがある。
 情報は諸刃の剣なのだ、知っているから、巻き込まれる、狙われるというのが多い。
 だから、先程の師匠の教えの中に、知るべきではない情報に手を出さないというのが入っている。
 その程度、そんな事、で流してしまって置いて、今は冒険の方に注視することにした。

 大地の掘削、人間の様にスコップやつるはしで行う……という物ではなくて。
 魔法で行うのかもしれないし、別の方法でやるのかもしれない、理由は兎も角、ここに、こんな坑道が出来ている。
 それが、この場所で、何かしらの作業があったという証拠なのだろうな、と幼女は考える。

「えー。ボクもあたまなでてほしいなー。

 ちゃんと、教えを守って、修行して、聞けばできる位には、為ってるもん!」

 えへんぷい、と言わんばかりに胸を張って見せるラファル。
 師匠の奥義とも言えるその行為を、ちゃんと理解し、行う、それだけの技術はある、後は発想位なものか。
 だから、着想を得られれば、それを行う事自体は、出来るはず。
 師匠も、そう言う風に育ててくれているのだし。
 其れよりも分身の頭を撫でると言うので、自分も自分も、と憑りつくのは子供故か。

「うっわ……悪趣味。」

 闇の中、奥から歩いてくる、発光体。
 松明が無くても見えるし、空気の流れて知覚できる。
 師匠よりもはっきりと其れが何かを見れて、だから、眉を顰める。
 生きたまま、コアにされる。
 ゴーレムが寄生しているような、そんな、姿を眺めて少女はぼやく。
 一体二体ではない、数のゴーレムを眺めて、眉根をひそめた。
 あれらには、会話は、意味がないだろうとも、考えて。

影時 > 全く以て同感だ、と。弟子の言葉に大袈裟に両肩を上下させて同意を示して見せよう。
ギルドを介さない闇や裏の仕事をやったことがない、とは言わないが、暗黙の了解の如く大体同じように言えることがある。
「出る杭は打たれる」ということである。知り過ぎても良くないが、同じかそれ以上に、知り過ぎたことを露見させるのは命取りとなる。
そういった仕事は何かと作法を弁えていなければ、やっていけない。

「おお、いいだろう。
 聞けば出来る位――ってのは、逆立ちしても出来ねえ奴が聞くと、白目剥くどころじゃねェってのに」

一旦足を止め、お互いに放ちあう声と、松明の明かりを以て存在を確認すれば空いた手を伸ばそう。
えへんぷーいと胸を張る幼女の髪をわしゃわしゃ、とかき混ぜるように撫でてみようと。
着想と手管の実演を示せば、それをなぞれるというのは、基礎と下地を教え込んだ己を褒めるのは自画自賛だろうか。
だが、己が教導を抜きにしても、元々の弟子のセンスが図抜けているという証左でもある。
故に気を引き締めなければならないこともある。此れは己の奥義の入り口でもあり、基礎なのだ。

「出涸らしになった奴が、そのまま埋め込まれたままになっている――だけか。 
 ……さて。ああいう手合いって常々思うんだが、どうやって俺達を視認してンだろうな。

 それとも、この松明自体を視てるのか。感じているのか」

見た目の悪趣味さ、無残さに嫌悪を示すのではなく、覆面で口元を覆った忍装束の姿の男は注意深く目を細める。
無生物である筈の器物が、如何にして敵を知覚するのかという問題だ。
弟子も己も、気配を、さらには魔力の漏出をも隠している筈。洞窟にすまう生物が獲物を知覚する場合、可視光域の視覚には寄らないが――同じことか。
故に試すべく、手にした松明を高く放り上げる。その上で空いた手を腰裏に運び、そこから数個の黒い球を手指に挟んで取り出す。

「――……!」

その取り出した弾をゴーレムたちに向かって投じれば、その衝撃で爆裂が起こる。強い衝撃で爆発を起こす特製の火薬玉だ。
特性の由縁は純度が低いとはいえ、魔術鉱石の粉末を混ぜている。故に程度は低いとはいえ、少なからず魔力を爆発時に放散する。
だからこそ、か。魔力を知覚に使っているゴーレムは自己防衛のために、軋んだ音をそこかしこから立てつつ、警戒するように動き、自己の破壊も気にすることなく腕を振り回す。
周囲が壊れても、飛び散った破片もまた、この地の特産の鉱物の抽出や精製のために使えると割り切っているためか。
腕力任せの暴力の旋風を掻い潜るように、宙に舞う松明の光を背に闇に紛れた風が奔る。

人影の形をした風は、猿の如くゴーレムの背に駆け寄り、腰から抜き放つ刃を突き立てるのだ。
竜殺しの威力を宿した太刀は、使い手と同じく特有の圧めいた気配を放つことがない。先に示した技を刃金の先に至るまで施し、練り上げているがために。