2021/06/15 のログ
ご案内:「魔族の国 山岳地帯」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 「あーっ…ちゃーっ……」

これはもしかしてもしかしたら。
山を下って行くにつれて霧が深くなって、不思議と、初夏は騒がしいはずの精霊たちも囁きを寄越さなくなっていた。
薬草採取で霧深い山道を散策しているうち、ほんのすこーし方向を見失ったので、ひとまず下る方向を選んだのだが…
下り立った平地は辺り一面乳白色といって良いほどの霧。
森なのか荒野なのか、果たして市街が近いのかさえも解らない近いのかさえも解らない。

「ん―…参ったなあ」

やるべきことはひとつ。
踵を返して山道を再び登って反対側を目指すことなのだが
途中、何度か崖を飛び降りている。
できれば、そのまま戻るのではなく別の路を取りたい。

幸い、辺りはしんとして冷えた空気はほんの少し緑の香りがするだけ。
恐らくは魔族がわんさと暮らしているような処からは距離がある…筈。

銅色の肌のエルフはしばしの間腕組みをして、ううんと唸った後に決意の足取りで降りてきた山の裾に沿うように歩き始めた。

ジギィ > 少し歩けば立ち止まって緑の香りを確かめ、乳白色の空気に目を凝らす。
目つきがわるくなったりとか眉間にしわが残ったらきっとこの体験のせいだ。

自分のせいなのでやるせないむしゃくしゃが胸にわだかまる。

(……近くにはいなさそうだし…)

敵も味方も、兎に角気配はない。感じるのは時折踏みつける草の繁みくらい。
その繁みの感触さえも爪先で探りながら
彷徨えるエルフの背中は、程なく白色の霞に影さえも埋もれていく

ご案内:「魔族の国 山岳地帯」からジギィさんが去りました。