2021/05/05 のログ
ご案内:「魔族の国」にルビィさんが現れました。
ルビィ > 「ちょおっ、とォ……誰か、居るんでしょ、ぉ……?」

能力を封じ、逃亡を防ぐ魔術結界の施された牢獄の中。
同様に何某かの封印の役目を果たすらしい黒鉄の首輪を嵌められ、
下着姿の右足首に、黒鉄の鎖と鉄球付きの足環を填められた長い髪の女は、
ぐったりと床に座り込んでいる体勢こそ、些か参っている風だったが、
間延びした声を鉄格子の向こうへ投げ掛ける、表情に怯えの色は無かった。

「わぁかってんのよ、要するにあたしが、半端モンなのが気に入らないんでしょォ?
 そんならそれでぇ、放っといてくれたら良いじゃないの、ぉ、
 お互い関わらないでおきましょ、っていう方がぁ、平和ってモンじゃない、ィ?」

不毛だ、としか思えない。
こんな風に捕まえられても、多少痛めつけられても、
生まれは変えられないし、生来の気質も、体質も変わらない、変える気も無い。
ならば目障りな者には目を閉じ、耳を塞ぎ、触れずにおいてくれた方が、
お互い、絶対に良いと思うのだが。
眇めた紅玉の瞳で睨む先に、この単純な理屈は通るものか、どうか。

ご案内:「魔族の国」にフォールさんが現れました。
フォール > 地下牢へと続く階段から、
コツ─コツ─。
と、複数の硬い靴音が反響しながら響く。
戦闘の男は分厚い体に野性味あふれる顔と、来ている服が異なれば、山賊の頭領にも間違えられそうな男。
背後には水や食事を乗せた盆を運ぶ執事やメイド。

未だ元気な声が聞こえて来れば男は楽し気に笑みを零す。
男の部下が相手を捕らえたのは単純に防諜の網に引っかかった事と、部下の点数稼ぎ。
見目麗しい女性を献上すれば出世できるなどと単純な考えの元の行い。

その捕らえた部下をどうしたかはさておき、今は捕まった女を見に来た男。
声だけ聴けば未だ元気に溢れているようで何より。

男は檻の前に立ち、檻の中の女に視線を向けながら背後にメイドや執事を従え、檻の中の女性に向けゆっくりと声をかけた。

「呼ばれたようなのでね、食事と水を持ってきましたよ。」

ルビィ > 靴音が聞こえて、取り敢えず口を閉じはした。
近づいてくるのなら、無駄に声を張り上げるのも面倒だからだ。
しかし、しおらしく振舞う心算は毛頭無いので、
現れた人物に向ける眼差しは、ひどく剣呑な色を孕んでおり。

「――――ご飯頂戴、なんて言ってないわよ。
 こんな馬鹿げた真似やめて、とっととあたしを解放しろ、つってんの」

随分な偉丈夫だとは思うが、男の巨躯に怯むほど初心でもない。
背後に控える使用人らしき人物たちをも、ついでとばかり睨み遣って。

「言っとくけど、あたし、ソッチのお嬢さんみたいな格好、
 絶対、ぜぇったい、しないからね?
 こんなとこにぶち込んどいて、ご飯ですよ、とか、ふざけんのも大概にしてくれるかしら」

不機嫌なのを隠そうともしない、もちろん、お礼なんて言うものか。
下着姿に剥いたのはソッチなんだから、この格好を恥じる気も無かった。

フォール > 檻越しの対面。
無駄に声を張り上げる事も無く、とっとと開放しろと命じてくる相手に男は楽し気に笑みを浮かべながら生むうむと頷き。

「うむうむ。元気があるようで何より。」

穏やかに答える反面メイドや執事たちは動かないまでも、主人に対する不敬に対し殺気を込めた冷たい目を向ける。

「おや、メイド服も似合うと思うがね。
なに、結構な時間放置してしまったようだから持ってきただけだ。 いらないのなら下げさせるだけだ。」

捕らえられて尚、強気に男をなじる相手、楽しそうに見つめながら、男はメイドに向け鍵を開けさせ、男一人中に足を踏み入れる。

「ただのお嬢さんであれば逃がす事も考えていたが、誤って籠に閉じ込めたとはいえ、気の強い好みの女であるならばただ逃がすのはもったいないな。」

石畳の床にペタンと座る女の前にしゃがみながらそうつぶやくと、気の強い瞳を楽しもうと顎を掴み、真正面から女を見詰める。

ルビィ > 「元気……なわけ、ないでしょ、あんた、ホントに馬鹿なの?」

男の背後から向けられる眼差しが、いっそう鋭くなりそうなことを、
躊躇いも無く口にして、舌打ちせんばかりに唇を歪める。
主人を気遣うような眼差しで、少し渋りながらも鍵を開けたメイドが一歩下がり、
大柄な男が牢の中へ入ってくるのを、懲りもせず睨みつけたまま。

「似合わないし、似合ってもアンタに見せる気は無いわ。
 ――――なによ、ソレ。
 ソッチの都合、あたしに押し付けるのやめてくんない?」

普段ならば、多少、愛想を振ることも考えただろう。
けれど今はなにしろ、不当な扱いを受けて気分が最悪だった。
返す声音は常よりもワントーン低く、目の前に屈んだ男の手が顎に掛かると、
ぶん、と勢い良く頭を振ってその手を嫌い、

「……気安く、触んじゃないわよ。
 アンタの都合なんか知らないわ、……何日、閉じ込めてても無駄よ?
 こんな真似するヤツに、絶対、尻尾なんか振らないからね」

広くはない空間に、大柄な男と二人きり。
明らかに不利な状況だろうが、怯え竦む気配はまるで無かった。

不遜な態度を崩さない女が、この後、どんな扱いを受けるものか。
興を削がれて放逐したくなるか、それとも扱いかねて何処ぞに売り飛ばしたくなるか、
もっと悪い未来が待っているとしても、女の態度はきっと、最後まで変わらなかっただろう。
伽をさせれば身体ばかりは、淫らに蕩けもしただろうが―――――。

ご案内:「魔族の国」からルビィさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」からフォールさんが去りました。