2020/05/10 のログ
ご案内:「魔族の国」にタマモさんが現れました。
タマモ > タナール砦を抜けた先、魔族の国。
その魔族の国の村の一つ、そこから僅か離れた場所に少女の姿はあった。
血に染めたような真紅の瞳が、村を灯す明かりを見詰める。

「………仕入れるのに、丁度良い場所に目覚めさせてくれる。
彼奴との契り、ここなら、反故はしておるまいて」

呟きを漏らせば、ゆっくりと村に向かい歩み始める。
偶然だ、目が覚めた時、遠目にここが見えた。
これから先を考えれば、もう少し集めたいものがあり。
それを得るには、丁度良い獲物が集う、場所と言えようか。

そう、ここは人間からすれば、危険な魔族の国。
しかし、今現在の少女からすれば、活きの良い獲物が多い場所。
くすくすと笑いながら、その側にまで歩みを進めていた。

タマモ > 先日、九頭龍山脈で得た手駒を試してみた。
一体一体は大した力は無いが、数がものを言う事もある。
それが実証された事は、少女としては満足で。
そうなれば、手駒を増やそうと考えるとは、当然の事となろう。

もっとも、こちら側でも、場所によっては手の出せない場所がある。
普段の少女の知人である魔王、その者達の領域で行おうとすれば、少々面倒な事になるのだ。

「ここならば、そちらの問題もあるまい。
数はちと少なさそうじゃが、まぁ、そこは目を瞑ろうか」

その村まで、目と鼻の先にまで近付いた。
軽く足を止めれば、まず、その大きさを目視で測る。
遠くから見た想像通り、そこまで大きな村ではない。
事を起こすのに、そう難しくはないだろう。

予想外の、余計な邪魔さえ入らなければ、だが。

タマモ > 手法は、そう難しいものじゃない。
少々暴れ、村の者達の動向を確かめる。
こうした小さな村は、大体は手を取り合い、生きているものだ。
それこそが、突くに容易いところ。

後は、少しでも関係性を見極め、脅せば良い。
そう、攻撃を向けるのを、最も弱そうな相手に指定して。
それだけで、どれだけ力があろうと、無力となるものなのだ。

「………その点が、人間も、魔族も、同じと言うものよ。
何とも、愚かな者達よのぅ。
大切なものを抱く等、弱点以外、何者ともなるまい」

いつもの手だ、もっとも楽で、もっとも効率的。
今の少女は、目的に手段は選ばない。
それが、どれだけ非道なものであろうとも、だ。

算段が決まれば、後は行動あるのみか。
止めていた足が、ゆっくりと、改めて進み始めた。

タマモ > その後日、魔族の国の村の一つに異変が起こる。
住人のすべてが、忽然と消え失せたのだ。

一つ二つ程度の、僅かな破壊の跡があり、何かの襲撃を受けたのは分かる。
だが、それ以上は何もなかった。
生活感はそのままに、まるで時が止まっているかのように。
どう見ても、暴れ回って村全体に、なんて風には見えない。

村で何が起こり、どうしてこうなったのか。
その真実を知る者は、それを行った者以外、誰も居ない。

ご案内:「魔族の国」からタマモさんが去りました。