2020/03/21 のログ
ご案内:「魔族の国」に魔王メフィストフェレスさんが現れました。
魔王メフィストフェレス > 其処は魔族の国。
広大な北の大地、其の略中央に位置する大図書館が遠目に見える小高い山岳地帯だ。

目も口も鼻も無い真っ白な仮面をし、其れ以外をフード付きのマントで覆った小柄な人影が其の場に佇む。
其の周囲にもう数人の人影。
大柄な人影も居れば、其れよりも僅かに小柄な人影も在り、その数は5つ。

「何時もの通りさ。
そろそろ研究所のメンテナンスの時期だからね、其の開始迄に各自定位置に付いてくれ給え。
其れが出来次第に連絡を、後は儂がのんびりとやらせて貰うよ」

其の声は小柄な体躯に見合う少女の其れ。
但し、何か仕掛けをしているのか声に僅かなブレが生じており、正しき声の主は断定出来ない様にして在る。

其れだけを伝えれば、5つの人影は頷き、姿を消す。
そうして、此処に残されたのは仮面の人影1人と為った。

魔王メフィストフェレス > 研究所。
人間の国でも其れを持つものの、此処での研究所は別物。
此の魔族の国、生物の生存が困難な程の遥か上空。
其れは、其処に在るものなのだ。

誰の目にも留まらぬ其の存在の中に、過去に犯した過ちの全てが今現在も在る。
其れ等は誰もが手掛けられぬ程の高度な魔導機械で在り、魔導の奥儀で在り、そして…
此の世のあらゆる存在を蔑ろにした研究の様で在った。

然し其れを気に病んだ事は無い。
自分は其れを求める事に自分の全てを注ぎ続けている。
求めるもの、自身の研究の為で在れば他の何で在ろうとも。
昔も今も、根底の部分は今も尚変わらないのだ。

「連絡が来る迄には後数時間程度か。
図書館の一時休館は伝えて在るんだ、特に問題も無いだろう」

遠くに見える大図書館を眺め、そんな考えに耽り乍の呟き。
此の時期、普段大図書館を利用する者達には其れを伝えて在る。
故に本来為らば此の周辺は無人の筈なのだ。
愚かにも挑みに来る者か、何も知らず迷い込む者達を除いては。

魔王メフィストフェレス > 「有能な王は失せ、静観に徹し、無能な王の増す世。
世の均衡を保つ必要性と云うものが本当に在るものなのか。
そろそろ不要と為っているかもしれないね。
……儂は問いたい、貴方は此れを眺め何を感じているのか、思っているのかを。
後何百年、何千年、どれだけ待てば答えを得られるのだろう…」

自問自答に疑問を繰り返し、意味の不透明な生を生き続ける。
そうした呟きを続ける最中、其の言葉が不意に止まる。

「気配を消せど、存在を消せど、君は確かに其処に在る。
儂に其れは通用しない。
未熟なら相応の対処を施して見逃してやったのだがね、偵察か暗殺か知らないが、依頼主を恨む事だ」

誰の気配も存在さえも感じられない、其の筈だ。
然し、誰に向けられたか分からない言葉は確信を持つもので。
其の言葉が終わると同時に、少しばかり離れた場所で一瞬だけ何者かの声が洩れた。
起こったのは其れだけで、後には何も残っていない。

実際に其の狙いは分からないが何者かが身を潜めていた。
だが、其処の空間を削り取り、後には何事も無かったかの様に自然だけを戻す。
そんな芸当を行ったのだ。
第三者からの見た目は只々遠くを眺めているだけの人影では在るが。

魔王メフィストフェレス > 「魔王メフィストフェレスには裏から触れ様とするな。
裏の何処でも言わずと知れた内容の筈だがね。
新参者が好奇心で触れ様とした、そんな処だろう」

そして其の身を以て其れを知ったのだ。
此れでもう暫くは裏も自分に対しては静かに為る事だろう。
空を見上げ太陽の傾きを確認する。
準備が整う迄にはもう少しか。
人影は只佇み、周囲には静寂が続いていた。

魔王メフィストフェレス > 其の侭静寂が続けば、何の問題も無しに連絡が入るだろう。
後は周囲の警戒は任せ乍、研究所のメンテナンスを開始するのだ。

其の日だけとは云えども魔族の国の中央には誰一人居ない。
そうした不思議な現象が只起こったのだが、其の内容は誰も知らぬ侭で在った。

ご案内:「魔族の国」から魔王メフィストフェレスさんが去りました。