2019/12/12 のログ
ご案内:「魔族の国」にラファルさんが現れました。
ご案内:「魔族の国」に影時さんが現れました。
影時 > ――探索は続く。

ごうごうと、ひゅうひゅうと。主なき残骸の虚ろを風は吹き抜ける。
なまじカタチが残っているだけ、生まれる音はより空虚さを伴って聞くものには聞こえるだろう。
魔王の城とその城下町の体裁を持っていた地帯となれば、往時は喧騒の伴奏となって聞こえていたはずのものだ。
否、そうではないのかもしれない。魔風を御する鎮守ともいえるモノが居たのであれば。

「……思ってたよりも広ェな。この造りは、あれか。上背がある奴か翼持っている奴の便を考えてンのかね?」

一戦を交えた庭園を抜けて、城門と同じく破砕された扉を超えて、城らしき遺構の中に入ってゆく。
遺構といっても、原型を失う程破砕はされていない。寧ろ、よくカタチを残している。
中に進めば、その理由の一端が垣間見える気がした。人間が歩くには広く、そして高い通路だ。
斯様な構造を許容するのであれば、安普請にはできない。まして、王の威容を称えるシンボルであったのであれば。

「――……でー、風はこっちから来て、後ろに抜ける、か」

ふと足を止め、足元に散乱した鎧や剣の破片らしいものを一瞥し、肌に触れる大気の流れを見定める。
流れとしては恐らく、中心部から壁や天井に沿って、外に放射するように、そして時折脈打つように風が生じる。

ラファル > 弟子である少女、師の技を盗むために、基本的には前には出ない―――つもりではある。
 師匠が自分に経験させるために先を進ませるのであれば、それに従うのだけれども。
 今は解除するべき罠も、斃すための罠も、そういったモノは一切なくて、只々、荒れ狂う風の中、淡々と進むのだ。
 そして、師匠の言に、きょとんと、建物の中を眺めやる。幼女は年相応の身長と体重であり、建物の大きさが大きすぎるという認識が薄かったのだ。

「ドラゴンウイーング。
 ……あ、ほんとだ、広げても問題ないくらい大きい。」

 ばつん、と言う音がした。
 彼の言葉を聞いて、幼女は人竜―――本来の姿へと、戻るのだ。こめかみにちっちゃな竜の角が生えて、背中には竜翼、お尻から尻尾がぷらんと。
 そして、その下には、何かの布切れ、もともとあったもの―――ではあるが、此処のものでは無い布切れ。
 其れに頓着することなく、尻尾を振って見せる。翼を広げて見る。確かに、師匠の言うとおりに此処は、翼をもったり、大きな存在が動くために作られていると思える。
 そもそも、個々は、空を飛ばなければたどり着けない、魔法で飛んでくるという手段も考えられるが、基本は空を飛ぶ種族の方を連想した方が自然なのだろう。

「この風は……作られてる風、だね。」

 作られてる風と言う表現、何らかの魔道具か、若しくは風車のためのそれか、人工的に作られている風であり、指向を持たされていることを読み解く。
 全体にまんべんなく吹いているから多分だが。

影時 > 罠の類は、見えない。だが、油断はできない。
「空を飛べる」「魔法による守り」を使えるのであれば、下手なトラップは仕掛けるだけ無駄だ。
落とし穴や落とし天井の類は、どちらかと言えば人間相手に使う方が有用性はあろう。
しかし、十把一絡げの人間と比べて圧倒的に強い魔族同士の戦いとなることを考えれば、仕掛けないということもあるだろう。
故に、あり得るとすればそれは物理的に訴えるものではなく、魔法、あるいは物理と魔法を絡めたものか。
少なからず心得がある者として、そう見立てる。

「翼を出し入れできるよーな、あれこれできる奴にゃ然程意味は無ェがな。
 だが、翼持ちの類は多かったんだろうなここは。出し入れ出来ない奴の便を考えたンだろう」

そして、己の言を体感してみようとばかりに竜の姿に転じ、戻る弟子の有様に思わず口元を包む覆面の下で笑う。
その足元にある布切れの正体に首を傾げ、はたと浮かんでは苦笑しながら肩を揺らす。
今でこそこの場所は空中にあるが、もともとは地上にあったのだ。
力ある魔族同士の抗争などを考えた仕掛けがあっただろうが、今となれば正常に動かない可能性は高い。

「作られている、というにゃ違うかもなァ。先に進むぞ」

どうだろうか。風の専門家の言葉に首を傾げつつ、外套を揺らして前に進もう。
その足取りは無造作だ。見立てるに魔法的な罠は悉く機能しない、或いは“破壊”されていると判断したが故に。
石造りと見える城内は先に進めば、壁の塗装は剥げ、砕かれ、赤や青の鮮血と思しい色どりが添えられゆく。

戦いが、確かにあったのだ。――それも同属同士の。

今もなお原型を残す剣や鎧のパーツが風化することなく残っていれば、所々に白骨も散乱する。
そして、大規模に放出された魔力が風の元素の力に負けて固化し、結晶化したものもこびりつく様に散らばっているのだ。
その有り様は、城の奥に進めば進む程酷くなる。青とも緑ともつかぬ輝きが、まるで吐き散らされた血の如く。

ラファル > 師匠に教えてもらう罠の大半は、状況に応じて作る物であり、その場その場で作るものが多かった。大掛な固定罠などは一人では作るのが難しいというのが有るのだ。
 一応シーフ系職業としてギルドでこういう場面の罠の作り方などは学んでいるし、覚えてもいるのだが、この辺に仕掛けられている痕跡はなさそうである。
 彼と違う視点、子供故の低い視点で見ても、大丈夫であるし、達人が大丈夫と判断している様子なので、ここは、大丈夫なのだろう。
 魔力に関しても、竜眼で見える範囲には、魔力の反応はないし。

「うん……この周囲、向こうの通路まで、怪しい魔力の流れはないよ。
 
 だね、そもそも、翼がないとここに来るのがとても大変だし、あの風を抜けるというなら、それなりに大型か、風を良く読めるのじゃないと、むりだし。」

 ばさり、ばさり、と翼をはためかせる幼女、軽く浮いて飛んでも頭ぶつけないね、感心する。ぷらんぷらんと揺れる尻尾に、はじけ飛んだズボン。
 脱がずに変身したからズボンもパンツもはじけ飛んだのである。元々、そういうのは気にしない幼女は、そのままパタパタ飛ぶのだ。

「あーい!」

 先に進むという言葉に、じめんに、ひた、と降りてとてとて付いて行く幼女。
 徐々に、徐々に、破壊の様子が、匂いが強くなっていくのが判る、入り口のような荘厳さは消えて、其処に発生していくのは争いの痕。
 何かが、襲撃してきたのだろうという事が、そして、此処で戦ったのだろうことが良く判る状態である。

「うっわぁ……。」

 魔力の匂いが濃厚に、感じられる。
 周囲に有るのは、恐らくこの城を飛ばしている宝玉の魔力―――が固形化したものであろう。
 多分持って帰れば、冒険者としては魔法の触媒とか、魔力の代替品として使えるだろう結晶をみて。
 風の匂いが濃厚だなぁ、とそんな感性。
 別に血の匂いや、争いの痕に引いたわけではないのだ。

影時 > 固定式の罠の設置となれば、これはシーフや野伏の類の仕事ではなく、築城者や墨家などが遣るような仕事だ。
だが、潜入するもの・破るものの仕事として、設置の有無と対策を講じることは出来る。
固定式の罠については、作動させず、迂回することが容易な対処と言えるが、元々動作する心配がないのであれば気が楽だ。

「そいつァいい知らせだ。

 ――そうだな。あの嵐みてぇな風を抜ける奴でなけりゃ、わざわざこんなトコには来ねぇわな。
 或いは、場所と場所を繋げる魔法、か? そういう術でも使えりゃだろうが来る理由がある奴が、どれほど居るか、か」

後で服着とけ、と。元々服もあったものではない様相の幼女に慣れた風情ながらも、そう言い足しておこう。
建物の造りはなんと言ってもやはり、人間が住むのではなく異種族が住まうが故のものだろう。
誰がどう使うか、ということが根っこにあれば自ずと似ていてもどこか違うという差異は出てくる。
潜入した場所で違和感なく振舞うために、忍者は不勉強ではいられない。故にその知見で見れば、興味深い。

「……あぁ、こういうこともあンのか。さっきのようにはちょっといかんぞ」

進めば進む程、外観の荒廃の要因である戦闘の痕跡が強くなる。
風は吹き抜けるものだ。正しく巡るならば、其処に澱みは生じない。だが、肌にありありと感じる気配はどうだろうか。
外で渦巻く風が覆いとなって、内側で行きどころのない残念、怨念の類は今も朽ちた肉体を駆動させる。

進めば、そろそろ本丸か――と思う広い空間に至れば、見えるものに息を吐く。

風の結晶に彩られたここは、往時は舞踏会などに使われるホールだったのだろう。
だが、此処も戦場になった。今ここを闊歩するのは、白骨化した骸に風の結晶をまつわりつかせた兵士、騎士達の残骸だ。
人間ではなく、魔族の遺骸となればその骸もまた、強い力を秘めていよう。
しかも、各自に残留させた魔力を風に乗せて怨念を燃焼させるが故、風の精霊の干渉を妨げる、鈍らせる働きも見せる。
そんな彼らが無造作なれども気配を秘め、隠すもの達の生命の匂いを感じたかのように、猛る。

キタゾ、コロセ。マモレ、ワレラガオウ。ココハトオサヌ。ココヲヌケロ――多様な声無き声を響かせつつ、迫ってくる。

ラファル > 「流石に、場所と場所を繋げるなんて、凄い魔法使いぐらいしか使えないんじゃないかな。
 だから基本は、大型化しちゃうんだろう、ね。

 あーい。」

 後で、と言うのは、落ち着いてからという事なのであろう。今は何が有るか判らないし、警戒を怠らない方が良い。服装は大事でも、命はもっと大事。
 安全安心な所に行くまでは、このままでいることにした方が良い―――と、言う言い訳、幼女はむしろ裸の方が良いタイプなので。
 熱心に城の内装を見ている師匠に幼女の視点では、どこにどう罠を作るといいのか、と言う思考。
 後でお互いの得た情報の交換をするなら、同じような職でもあるし、別の観点での意見交換の方が良いとの判断である。

「ん?にゃ?」

 唐突な師匠の言葉、幼女の視線は結晶に向いていたからであり、意識は一言で直ぐに引き戻された。―――風が、変わったのである。
 ただの透明な風が、瘴気含んだ風へと。
 そして、その瘴気の元は立ち上がり始めているのが見える、スケルトンと一般的に言われている魔物では有るのだが。
 其処に有るのはどう考えても魔族の亡骸が変質したモノ。

「アンデッドかー。駄目じゃないか、死んだら、ちゃんと死んでなきゃ。」

 はぁ、幼女はため息を零しながら、ぐ、と拳を握る。
 封護を抜かないのは、骨相手なら、殴るけるの方が効果的だから。丁度良く人竜形態でもある。
 爪爪尻尾噛みつきが炸裂する番である。

影時 > 「そうさな。――ンで、こんな有様でわざわざそうする奴が居るのであれば、この地の縁者位だろう。
 だが、それらしい痕跡が今のところ見当たらン。
 もう少し探っても見当たらないなら、捨てられた土地、厄地扱いされてるのかもな。ここは」

転移の術については何かと色々と用意が居る。
見知らぬ土地であり、かつ、魔力を含んだ風の阻害もあり得るとすれば未踏の地に飛べるものがどれだけ居るか。
縁とは重要だ。その縁を辿って訪れる者がないとなれば、縁者は悉く絶えた後の惨状なのだろうか。
そう推察する。風――大気は大事なれども、関わろうとしないならこの地は力が失せるまで、空に放逐されたままだ。
まして、浮上した土地の直下に住まうものもなければ、なおのこと。

「人間の骨相とは、微妙に違うな。あるもンがなければ、ないものもある。
 腑分ける機会がないから勉強にはなるたァ言え、……検分している暇が無ぇのは仕方無ぇな」

殺到してくる彼らは、個々に蓄えた怨念に従って駆動する。
ただの不死体ではないのは、遺骸自体が力あるモノの骸であり、装備も力込めて打たれたモノであり、芳醇な魔力源があるからだ。
四大の属性における「風」の力に著しく偏っているとはいえ、それを魔力として転化できるのであれば、並の不死体ではない。
故に――、一撃を高める必要がある。身を低くして、ふわりとした歩みと共に近づく一体の懐に踏み込む。

「ッ!!」

ひゅぅと窄めた唇から息を衝きつつ、身の捻りと共に即時で練り上げた氣力を抜き放つ太刀に乗せて、一体を叩き斬る。
破損しているとはいえ、もとは魔力が宿った装甲ごと断ち割るのだ。
倒れ伏す骸が落とす剣を掴めば、それを振りかぶっては直ぐに近づく一体に投擲して、怨念が宿る頭蓋を破砕する。

「ラファル。避けろ!」

そうしながら、垣間見えるのは魔法の詠唱を行う魔族の骸骨の一体の所作だ。
投げ掛けて来るのは、着弾点に渦巻く風に怨念の火を載せた爆風を撒き散らす魔法だ。狙いは――弟子。

ラファル > 「こういう所は、基本的には巣でもあるし、縁じゃと言うのは此処を巣にするものだよね。
 巣から離れるとなると、縁も薄くなるし……。」

 今の現状を思えば、捨てられているというのは間違いではないかもしれないと、幼女は思う、危険な状態の危険な場所、其処にしがみつく理由が判らない。
 確かに、この場所の宝玉に、周囲にある結晶は財産の元であるだろうが、来るための費用とかを冠画ればあまりいい支出にはなり得そうにないし。
 そう考えて、死んだ町、捨てられた城と幼女は考えるのである。

「流石に襲ってくるしねー。」

 襲い来る様子、剣を持つもの弓を持つもの、術を準備するもの、様々なそれがあり。それは、「風」に操られていると言って良いだろう。
 今度は、師匠が先陣を切った。
 もともと其の積りだったのだろう、氣を練り上げて、刀に纏わせる、師匠の戦種。
 氣でコーティングされた刃は容易く骨を両断するのが見えるが、竜のウロコを両断できる刀なのだ、その位はできるだろうとか、思ってしまう幼女。
 返す手で、剣を投擲して頭蓋を粉砕するところを見ていて。

「―あい!」

 師匠の言葉に、疑問を吐かずに回避を選ぶ。
 竜の目は確かに、風に混じる火を認識している、中っても無傷でいることはできるが、危機管理の高い師匠の事だ。
 あの魔術にはまだ何か隠して―――。

「ああ、呪い。」

 ふと、閃くものがあった。アンデッドの術師なのだ強化されているのだ、そして、此処は風の位相。
 自分の風の力を取り込み、逆に操るつもりなのか、と、そう思えて。
 桜色の唇が笑みに釣り上げられる。
 右に避け、炎が通り過ぎれば幼女は魔術師のアンデッドに接近する。次弾を打たせないために。

「―――シッ」

 短い呼気と共に、右手の爪を伸ばして腕を引き裂き、左手の爪を伸ばして抜き手で首を貫き、尻尾で頭部を打ち抜く。
 背中の翼を大きく広げ、両脇に居る護衛らしい、騎士姿のスケルトン二体を打ち据えて粉々にしていくのだ。

影時 > 「元より、偏った地相となりゃァな。御する抑えが死んで狂ったなら、――猶更か」

ここは、風を司るともいえる力を持った魔王の居城の残影、残骸だ。
地相として風の力が著しく強い土地が、その鎮守たる王を失ったことで暴走したのだろう。
地盤を浮き上がらせるほどの秘めた力は、それこそ持て余すのであればだれも寄り付きはするまい。
かくして、何者かが付けたかは知らぬ“風帝の亡骸”と呼ばれる遺構は風化に任せたまま、虚空を彷徨う。

「躱しようもないなら、戦うしかないな。
 それに骨を折りに行くなら、組みついて折るよりも斬る方が早ェ」

無駄な戦いはしないのが良策であるが、避けえぬものとなれば積極的に戦うを選ぶことに迷いはない。
元より戦うことは嫌いではない。好きな位だ。
武勲を得る、得らない云々はどうでもいい。心躍らすことにこそ、意義がある。
今その手にするのは、竜殺しの太刀として鍛えられた刃だ。
その特性を抜きにしても最上の刃として鍛えられたものが、強壮なる竜以外にどうして用をなさないと言えるか。

「ああ、数ばかりあるのは……七面倒だな。こうする、か!」

ホールの天井の高さに任せて刀を放り上げ、自由にした両手で一息に続けざまに印を組む。
速やかに事を為せ、と氣を奔らせて、ぱしと放り上げた刀を掴み取れば破裂音が7つ、続けざまに生じる。
黒覆面に黒外套を纏った術者と同じ姿が、七つ。放出した氣を使って練成した実体を持つ分身体だ。
忍法・分ケ身の術。ニィと覆面の下で嗤い、赤い眼光を放つ眼で敵を見遣って分身をけしかける。

手裏剣、火炎、岩石の刃、無手、太刀による斬撃――と、各個それぞれで敵を一掃すべく動く中、術師のアンデッドは敵と定めた幼女に術を繰る。

この地に近しくも、違うとはいえ風の力を持つものに尋常の風は通じぬという判断ができる猛者の慣れの果てだったのだろう。
火の力も使って、小さな身に宿す風の精霊力に干渉し、その総身を破裂せしめようという判断だったのか。
火を燃え立たせるための風であれば、この場には腐るほどある。
だが、其れも遅い。風を宿すなら、その進行もまた風の如く、だ。
奇跡的に原型を保った金属製の杖が腕を引き裂かれて落とし、詠唱の要所である喉も首ごと抜き手で貫き砕かれる。
とどめは、尻尾。護衛も共々破砕されることで、しばらくすればこの場所はひと時の静寂を取り戻す。

ラファル > 「力ある物が無くなれば、縛る力もなくなるし、風は雰囲気として、自由を好む性質もあるよ。」

 風の魔王がどのような人物だったかはわからないけれど、基本的に風の位相を持つものは、風があらわすような、気まぐれや自由を持つものが多い。
 幼女の気質に近い所もあるという事なのである。それを考えれば、魔王が敗れたから、此処に用はない、と去っていくのもまたやむなしなのかもしれないのだと。
 これがこのまま堕ちたら大変だよなぁ、と、そんな感想を小さく覚える幼女であった。

「師匠生き生きしてるー。」

 幼女も、幼くても竜であり、戦いには血沸き肉躍る。師匠との出会いがなければ、風の気質が無ければ、おそらくは直ぐ上の姉と同じような道をたどっていただろう。
 もっと獰猛で、もっと容赦のない、幻想の竜としての存在。
 戦う事で、傷つけあう事で、お互いを知る、踏み込んで、踏みにじって、糧を得る。
 それが、竜と言うものなのであると。

「わぁぁぁ!?」

 上に飛んだ師匠が分身する。
 出来る事は知っているし見たことも有るし。
 よもや広範囲爆撃攻撃でもするのではないかと焦るのだ。手っ取り早さで言えばそれが最上で、爆薬程度で抜けるような地面ではないことも確認できているから。
 それは―――杞憂であった、ちゃんと個体同士での殲滅になっていて。
 ちょっと安心したように息を吐き出す。

 それから、自分の足元で粉になった魔術師に視線を向けるのだ。

「―――竜を従えようなんて、身の程、知った方が良いよ。」

 確かに、力で屈服させるなら、それに従おう。
 遊びならば遊んでも良いだろう、虚ろな生命に、虚ろな術で無理やり従わせるのは、この幼女を以ても、プライドが許さなかった。
 カバンの中から、聖別された水―――通称聖水を取り出して。アンデッドの残骸にポイポイ振りかけていく。
 復活しないようにと。
 粉にしたり灰にしても、生き返る時が有るから念のためだ。

影時 > 「よぉく分かってるさな。が、強すぎる力を御さなければ誰も住めん土地だったろうさ。

 ……良い処だったんだろう。昔はな」

暴虐を以て鳴る王だったのか。それとも、理性のある名君だったのだろうか。
又聞きのさらに又聞きにもなる有様では如何ともし難い。
だが、すくなくとも配下には慕われていたのだろう。不死者たちの動きは、奥には寄せ付けないという意図が今もなお、強く見える。
彼らの骸の構成には骨相として不自然な、辻褄が合わない箇所が見える。
欠損部を敵の残骸で補ったと思しい節があるが、斯様になってもなお死した主君のために戦うことを善しとする程に。

「思いっきり力を使う機会は、中々無ェんでな。それに――長く時間をかけ過ぎているワケにもいかんだろう、なぁ?」

弟子に教授した技が師として使えない道理はない。
分身体につぎ込んだ氣を爆裂させて、一掃することもできたがそれをやるなら孤軍で奮闘する時位でいい。
一対一だけではなく、背後からの急襲も交えて、各個体を丁寧に破壊、無効化させたうえで分身を解く。
大気中に放散した氣を呼吸と共に引き戻し、気息を整えて微塵と化した術師のなれの果てを清める様に肩を竦める。
不死者の対処として適切だろうが、ここまでするのは思う処があったのだろうと。

「この先の魔力源をどうにかしないと――また蘇りそうだが、さーて……奥はどうなってンかね?」

さて、気を取り直して先に進もう。
扉の類は、この行先はない。もはやノック代わりの破砕を以て、とうの昔に砕かれ、失せている。
王がおわすのは城の中心の玉座だ。つまり、それはこの浮上した土地の地脈の要となる場所でもある。
故に、そこにあるとすれば暴力的なほどの風の源となるもの。その姿は――、

「――――…………魔族って云うのは、死ぬとこうなンのか?」

巨大な、巨大すぎる結晶だった。奥まった空間に本来であれば玉座があったのだろう。
地脈を押さえ、御するための要石や同等の働きをする魔導機関でも設置したうえでのところか。
ただ放散するだけは暴虐にしかならない力を抑え、操る重しでもあったものが死して、地に埋もれた風の力と混じって固まれば、こうなるのか。

末期の瞬間に放逐された魔力が、地脈が放つ風の力と混じって固まることで、天井にも届く翠緑色の結晶が生成されている。
ただの結晶ではない。まるで、魔なるものが化身したものを象った像でもある。
獅子の如き顔立ちの牙剥いた、複数の翼ある魔王の遺骸。今もなお、命あるように瘴気を含んだ風を生む。

ラファル > 「―――んー。」

 良い所だったのだろう、その言葉の真意を考え、幼女は首を傾ぐ。師匠の願望なのだろうか、それとも、今まで見てきた物の総称としての感想なのか。
 良く判らないことに対して、同意する事を躊躇い、幼女は幼女の考えを這わせるのであった。
 師匠が、今何を見ているのだろう、視線を追う事にして、その先にある、物言わなくなった躯を見るのであった。

「師匠、ぶっちゃけて言えば、戦術兵器とか、そのレベルぐらいはあるもんね。」

 戦闘能力と言う意味であれば、あきれるぐらいの実力と言って良いだろうと、幼女は思う。自分はドラゴンだという強種族であるからして、軍団と戦えるだけの実力はあると自負する。
 その、自分を超えているのだから、どれだけだと言いたくなるレベルなのが、師匠なのである。
 彼が普段から思いっきり力を使うようなことはない侭でいて欲しい、平和的な意味で。

「―――ぅわ。」

 奥にと言う言葉に幼女は意識を向ける。
 竜眼故に、視えてしまうのだ、視たくなくても、結界とか、魔法で障壁を張る作業が有る。少ない力で強い壁を作る魔法。
 其処に有るのは、魔力―――魔法にしないままで、分厚く強固な壁となる魔力である。
 あふれんばかりの魔力に、思わず声が漏れてしまう物であった。


 ―――その、魔力の中を突き進む師匠に付き従う前に。


「あ、パンツ履くよー。」

 カバンの中から、いそいそと、紐のパンツと、替えのスカートを取り出して佩くのだ。人竜だと、ズボン履けないので、スカートにしているのだ。
 履いてから慌てて追いかけることにする。

「魔族にはいろいろあるし、よくわかんないけど、これ、取りこまれてるように、見えるんだよね。」

 魔宝玉を自分の物にしようとして、失敗した慣れの果て。 
 幼女の目と感想からは、そんな風に見えたのだ。
 力を求め、無尽蔵に魔力を吸収しようとし、魔力に意識を奪われて、集め続けて、そのまま自分も結晶化してしまった、と。

影時 > 「まァ、俺の主観だがな。
 ラファルよ。此処まで来るまでの土地の有様は、見たな?
 大よそ荒れ地ばかりだ。瘴気も濃い。
 魔族といっても人間と同じように飯を喰らうとなれば、そんな地で暮らすならどういう工夫が必要と思う?」

良い処であった――この地で安心を得て暮らすには、他に選択肢がなかったということもあるだろう。
強すぎる風は何物も寄せ付けない暴虐にして、放埓となる。
が、うまく御せるのであれば大気に混じる瘴気を払い、守りとすることもできただろう。
魔王と称される暴力の王であれば、その傘の下で暮らすことで外界で生きるよりも多少は生きやすかっただろうと。
その性質が暴力的だったかは、知らない。だが、少なくとも必要ではあったのだろう。この地を治めるには。

「……そうかァ? 俺より強ェ奴なんぞ、腐るほど居そうなんだが」

どうだろうか。弟子たる幼女の言葉に、ふぅむと首を傾げる。
種族の違いによる出来ないことはいくつもある。
だが、ニンジャの師――マスターとなる位の力量はあろう。長く戦乱に関わったが故の経験と共に。
それもきっと、束の間の差だ。いずれ追いつける。追いつかれる。その頃まで生きているかどうかは、不死ならざる身には分からないが。
後ろから下着を履くという声が響けば、待っていると片手を挙げて応え。

「そういう見方も、アリか。……気配の質が混じってンな。
 やっぱり、地下深くに魔導鉱石か何か埋もれてんな。それも風に著しく偏った、尖った奴だ。

 ……だが、取り出すか壊すか、何にしても骨が折れるな。いずれ出涸らしにしても先の話だが……、ふむ?」

死骸は、どうだろうか。目を凝らす。結晶の奥は生憎とそういうものは見えない。
魔力として躰を分解、昇華したがために失せたのか、風に負けて風化したのかは分からない。
ただ、最早これはあるだけで風を吐き出すためのものでしかない。
取り出す黒い刃の苦無で表面をコツコツと叩けば、砕け散る。砕けた破片は直ぐに魔力の光を散らして消え、風を生む。

「……近くに、色々転がっている武器とか状態は良さそうだなぁ。
 持って帰るとして、なァ、ラファルよ。あのどでかい結晶、喰ってみるか?」

魔族同士の魔王討伐に供された武具類だ。並のものよりも品質は破損していてもいいだろう。
自前で使うもよし、持ち帰って然るべき処で処分すれば相応の値は付くだろう。
そして、この風の結晶だ。魔王の残骸、なれの果ては持ち帰ろうにも難がある。だが、竜のごはん、おやつとしては、どうだろうか?

ラファル > 「えぇと……、狩猟するには、生き物の数が少ないし。鳥を捕まえるくらいかな。
 畑などを作って、食物になる物を作る、それまでの間は、何処か、下の町から何とか輸送してくる、かな。」

 急な質問に対して、幼女は思考を這わせることにする。人と同じように食べるとなると、問題は食べ物だ、人数が少なければ今はまだ何とかなるだろう。
 人と同じように畜産をし、畑を作り、食物を育てるしかないだろう、空を飛ぶ浮遊城では、他から獣がやってくるとは考えにくい。良くて鳥であろうし。
 そう考えると、とても食糧事情は良くはない、自分であれば、下に降りて、食事をして、此処は寝るだけの場所になりそうだ、と。

「そだよ?師匠は十分強者―――軍を正面から崩壊せしむ実力者だよ。
 だって、ドラゴンのボクより強いんだよ?まあ、ボクが赤ん坊でドラゴンでも下の方だというのを差し引いても。
 十分軍隊をひっくり返せるよ。」

 べつに、最強を論じている積りもないし、軍隊を斃せるだけの実力が有ると言いたかっただけなのだ。
 彼より弱くても、戦術級の実力はあるだろうし、ラファル自身その実力はあると思うからの、言葉であった。

「―――ん。壊すだけなら、また、竜になって壊してもいいし。
 食べるなら、食べてもいいんだけど―――このお城、どうするの?」

 師匠の提案に、幼女は首を傾ぐ。
 其れは言外にこの魔力を全て吸収することができるという言葉であり、それと同時に一つの心配。
 ここは、魔宝玉の力で空を飛んでいるので、その力が抜ければ当然風の結界も決壊し、堕ちていくことになるだろう。
 脱出する事態は問題はないが、これが堕ちた場所に、村が有れば大変であろう。


「ま、いっか。」

 そして、考えてみれば、此処は―――魔族の国の中。
 落ちて、魔族の村に落ちても、気にすることないか、と考え付いたのだ。
 そう思えば―――じゅるり、と口の端に唾液が垂れる。

影時 > 「そういうこったナ。あと、この地は昔から空の上に在ったワケじゃないのも忘れちゃいかんぞ?

 人間の尺度が合うかどうかは分からないにしても、最低でも交易の拠点、大気を整えて居心地を良くした居住地。
 ……嗚呼、風で風車を回して水をくみ上げてもいれば、農耕にも不便は無かったろうさな。

 兎も角、ないよりはある方が、無ければ困る位の意味は合ったろう」

遺構をもう少し細かく調査すれば、その手の学者に売りつけに行く資料位は作れるだろう。
衣食住の概念のうち、食と住が肝要であることは人も魔も大差はあるまい。
有意義な土地に寄り付くのだ。そうやって、街は出来てゆく。何ゆえに他者が滅ぼしにかかったかは知りようはないが。

「――その気になれば出来ねぇコトはなくとも、そーゆーことまでは遣りたくは無ぇな。
 戦ってるうちは生きている甲斐があるが、そうやって目ェつけられんのは面倒だ。

 忍びは死ぬまで忍びなれども、今はお前さんの家庭教師位で丁度良い」
 
覆面の下の無精髭を摩るような仕草で考え込みつつ、出来ないということの否定はしない。
心躍る戦いや必要なことがあればそうする。しないときは、惜しむ。今はそれ位でいい。
戦い甲斐のある対敵の到来はいいことだが、あくまで己はかの国の稀人だ。相応に振舞う位が丁度良い。
弟子の方に歩み寄り、背丈の差のある姿の頭を軽く撫でるように手を伸ばしながらそう言おう。

「そうさなァ。……少しだけ、残しとけ。
 もう少し見て回りてぇトコもあるし、それにいきなり落として余計な目はつけられたくはあるまい?

 ――程々に残すことを忘れンなら、喰っていいぞ。」

最低でも、この浮上した地盤がゆるゆると軟着陸できる程度が残っていればいい。
そうすれば地盤の重量に、やがて風の力が負けて落ちる処に落ちるだろう。
恐らくは問題ないだろうが、猶予があれば念のために周囲を見て回る程度の余裕は生じる筈。そう判断する。

ラファル > 「……あ、そっか。水……。」

 師の言葉に、幼女は、そっかと頷く。自分は困っていないから、いの一番に必要でも、抜け落ちたもの。
 此処は空を飛んでいるので、水源が無いのだ、その水源が無ければ、動物も、植物も生きてはいけない、雨に関しても、此処は雲の上であり振ってくるものでは無いだろう。
 彼の示唆は、幼女にとって、経験の少ない子供にとって、色々と勉強になる物になるのだ。
 そういえば、水源になる物って、どこか似ないのかな、と視線を巡らせるのだ。滅びた理由は、そっちの方なのかな、と。

「かてーきょーしが、今、一番便利な忍び方、だしね?」

 幼女は頭を撫でてもらい、嬉しそうに、目を細めながら笑って見せる。
 彼の生活に必要な資金は実家から出ているし、住まいだってそうである、そして、家庭教師と言う職が有るなら。
 何をしている人なのだろうと周囲から突っ込まれることも有るまい、大概の事は、お金持ちのお嬢様の教育の準備と言い張れるのだから。
 お金持ちは、変人が多いと色眼鏡で見られることが多いし、むろん三姉妹も、変人枠に入るのだろう。

「あーい。
 食べて、その魔力でゆっくり下ろせばいいか。」

 取り込む力は一過性のモノ、消化するまでの時限式の力であるので、残さず食べて、その力でこの城を軟着陸させればいいのだ。
 むしろ、彼の指定する場所に下ろす事だってできるのだし。
 じゃ、頂きます、と幼女は。


 その塊を貪り、力を得た。

影時 > 「おう、水だ。水がなくても生きている、手足を持ってうろつく生き物は見たことが無ェ」

今は空中にあれば、水を得ることはそれこそ雨水や動物の血を啜らない限りは叶うまい。
しかし、昔地上にあって魔法に依存しない手段で得るとなれば、やはり灌漑の概念が重要だ。
人界から渡来した技術か、それともこの領域内で培われたかは分からない。
けれども、大地そのものを魔法でよりよく作り替えるなどといったコトがなかったなら、きっとそれが真相に近いか。

「全くだな。冒険者と名乗るよりは、少なくとも信用に足るだろ?」

冒険者は聞こえがいいが、手に付く技能を持っていなければ、安定した収入のない無職者だ。
そして、雇い主は少なからず名も知れた商家である。
変人の家庭教師は変人でしか務まらない、という見方もあるが、今の肩書としては悪くない。気に入っている。

「――……末恐ろしいな、ったく。色が合うにしても、あれだけの奴を喰らうってのは俺にもできない所業よな」

そして、だ。質もそうだが、何よりも量もある塊を貪る様は改めて見ても、恐ろしいものを見た心地になる。
風という属性に偏っていない、無色の力であったとしても取り込めるかどうかは、己は否だ。
人間ではない弟子だからこそできる技だ。瘴気交じりの風が収まり、止む。遠く遠く、微かに鳴動が響き出す。浮力を減じつつある地盤が己が重みを思い出したことによるものだ。

「もう少し探索して、持って帰れそうなものだけ頂いて帰るか。嗚呼、後始末も忘れずにな?」

地に落着するまでには、猶予があろう。棄地に残されたもので意義のあるものを持ち出せるなら、どうにかなるだろう。

ラファル > 「確かに……。少しぐらいしか、ボクも想像つかないね。」

 少しは心当たりが有るというのは、ドラゴンの中にそういう種族、水系のドラゴンとかその亜種に居るな、ぐらいである。
 普通ではありえないという一点で、師匠に同意をするのであった。
 あとは、考古学者とか何とかに、色々と考察してもらえばいいのだろう、此処に来ることができるのであれば、の話だが。

「うん、真っ当な、無精ひげのおっちゃんになるね。」

 にま、と笑って言うのは、無精ひげをそらない、身だしなみは最低限の彼に対する茶目っ気であろう。
 何も言わないのは、幼女がそれでいいときに言っているからであるし、その家族も、それで良いとしているからだけである。
 本当の意味での貴族とかそういう存在の家庭教師で言えば、落第点だろう、身だしなみの一点だけで。

「だって、取りこんでるわけじゃない物。
 借りてるだけ、だよ。

 ―――おいで、精霊王。」

 魔力を、自分の物とせずにいるから、食べられているだけだと言う、目の前の魔王とは違うのである、自分の物にしないから取り込まれず、使うことができる。
 そして、一時的なものであれば、使い切るのに無念も残念もなく、あっさりと使い切れるのだ。
 という事で、自分の属性の、風の精霊の最高格を呼び出し、視線を向ける、召喚主とのパスで、無言のやり取り。
 今食った魔力全てを対価に、城を安全な場所への軟着陸を指示。
 魔王と、魔宝玉の魔力を全て精霊王に捧げ、師匠に付いて行くのだ。

「あーい。」

 幼女は、軽く手を挙げて了解の意を示し。
 天空の城の地図と、幾つかの魔法の武具と魔鉱石をしこたま持って帰るのであろう―――

影時 > 「ヒトの形をした生き物が生きるにゃ、魔であってもなくとも水は必要なのかもしれん」

この辺りになってくると、それこそ相応の識者や賢者にでも問うてみたいところである。
ヒトの形を捨てれば、否、ヒトの形をしていない生き物であれば、水がない場所でも生きている事例はある。
しかし、人間と同じ形をしたコミュニケーションを図れるモノが成り立つとなれば、どうだろうか。

「カミソリ使うのは面倒臭くてなぁ」

幼女の茶目っ気に肩を竦めて見せるのは、顔切ってしまうし、という面倒臭がりなオトナの側面か。
必要なことがあれば、そうする。
そうではない時は手を抜く、無頓着になるのは必要時にはとことんまで徹底することの反動だろう。
何処かに忍び込むためにシェンヤンから訪れた薬師云々と装うことでもあるのであれば、それなりにできるが。

「嗚呼。糧にする、しないの違いか。それなら――納得よな。
 時間があれば探し切った上で、後始末もできる。悪かない」

それでも、一時的にとはいえ大きな力を保持できる器というのは瞠目に値するものだ。
その摂取方法だけは、いつ見ても愕き、偶に呆れたりもする構図になるが。
軟着陸したこの遺構が再び地と繋がり、風を生む地となるかどうかは知らない。
ただ見るものを見て、得るものを得る。他者の害とも敵ともなることないよう、始末をつけて――帰途に就こう。
物語れるほどの知見と、幾つかの武器防具に再利用できるものを己のものとしながら。

ご案内:「魔族の国」からラファルさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」から影時さんが去りました。