2019/08/18 のログ
ご案内:「魔族の国」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 魔族の国、奥深く。
村や街から離れた深き渓谷、其処に少女の姿は在った。
少女の周囲には何体もの魔族の姿が在るも、其れ等全てが倒れている。
過酷な環境故に軒並み強靭な魔族が揃っているにも関わらず、だ。
傷付いている者、単に意識を失っている者、其の状態は様々に見えるか。

「人間の姿ならば簡単に誘き寄せられるが、探し物が見付かるには至らないか。
君達みたいな試せ無さそうな存在や、直ぐ壊れそうな存在では駄目なんだ。
あの玩具は人間に試すには過ぎた物だからね、君達に目を付けたんだが…
とんだ期待外れだよ、態々儂自身が来たと云うのに」

困った様な表情を浮かべ乍肩を竦める少女。
其の眼は、他に狩り残した魔族が居ないか油断無く辺りへと向けられていた。
玩具、少女が最近新たに作り上げた、其の正しい表現は淫具だ。

ミリーディア > 此の付近為らば十分な検証結果の出せそうな心身共に優れた魔族が居るだろう。
前以って調査をした上で来たのだが、如何やら今は余所へと行っているらしいか。

「戻るのを待つのも面倒だな。
……無駄足に為るが、戻るしか無いね」

小さな溜息を零し向けていた意識を一旦途切れさせる。
踵を返すと此処に来た道を戻ろうとする動きを見せた…そんな瞬間。
重なり倒れる様にしていた魔族の内数人が身を隠す様にしていた他の魔族を押し退け少女へと襲い掛かる。
或る物は手にした武器を手に音も無く飛び掛かり、或る者は魔術を使おうと意識を集中して。

「成る程、音を立てず不意打ちで倒そうと?
素直に大人しく儂が去るのを待つ選択を選ぶべきだった」

然し少女はそんな呟きを漏らす。
一切の身動きも無い、魔力を練った気配も無い。
だが、ボンッ!と云う破裂音と共に、襲おうとした魔族達は一斉に其の体を揺らがせる。
誰もが何をされたのか解らなくも、其の表情には驚きは見られない。
当然だろう、自分達が其れを受ける前に他の魔族達もそうして倒されていたのだから。
驚き依りも、何故どんな攻撃をされたのか判別出来ないのかとの焦りだろうか。
そして、一部を除く魔族は体を揺らがせただけで倒れてはいなかった。
其の一部とは、魔術師タイプの様な肉体的に脆弱な者達を指す。

「勿論、動けなく為る迄続けさせて貰うよ。
後を追われるのは面倒だからね」

其の言葉をスイッチとするかの様に、何とか立っていた魔族達には更なる幾つもの破裂音と共に衝撃が走る。
音と共に体を揺らがせる様子は、まるで可笑しな踊りを踊っている様にも見えるだろうか。
そう時間も使わず、残った魔族達も倒れ動けぬ状態へとさせられていた。

ミリーディア > 此れで動けるものは居なくなっただろうか?
一旦歩みを止めていた少女は再び歩き出そうと。
そうし様とした処で一度動きを止める。

「おっと、忘れる処だった」

思い出した様な呟きと共に、倒れた魔族達を囲む様に魔法陣が地面に浮かび上がった。
少女は片手、其の手の平を肩辺りの高さへと上げる。

『君達は魔物と出会い不覚を取ってやられてしまった。
命を取り留めたのは幸運と云えるだろう』

紡ぎ出される言葉の後に其の手の平を握り込む。
すると魔法陣が薄っすらと光り輝き、徐々に其の輝きは消えていった。
傷付いただけでまだ意識の在った魔族達は其の言葉を耳にすると急な眠気に誘われ意識を沈ませる。
全員が目を覚ました頃には誰もがそう記憶に残す事だろう。

記憶の内容から不思議に思うも疑う事は無いと思われる。
だが念の為、下手に其れを詮索し何らか手を出そう者が現れたの為らば、自分の元へと誘う様な術式を組み込んでおいた。

ミリーディア > 「人間も魔族も、そして神さえも、此の世界の頂点では無い。
忘れない事だ」

再び歩みを始め乍、誰に云うでも無い呟き。
其の侭、少女は其の場を後にするのであった。

ご案内:「魔族の国」からミリーディアさんが去りました。