2019/06/05 のログ
ご案内:「魔族の国 荒野」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 魔族の国とヒトの国とを隔てる険しい山脈。
そのヒトならざる国側の麓に広がる荒野。
初夏の陽気と言えども、広がる曇天と岩肌と砂ばかりの彩に乏しい景色。
所々で枯れかけたような、葉のない貧弱な樹が白い木肌を晒していて、それが更に取り残され埋もれた骨のよう。
「……相変わらずだ」
その景色の中、取り残されたように点在する大岩に腰掛ける、黒髪の女がひとり。
先から、『しもべ』たる指輪の魔神たちを荒野に遊ばせて、ひとり待ちぼうけの姿勢だ。
目を楽しませるものは一つとしてなく、目にする生き物と言えば地を這う蜥蜴か蛇か、はたまた天を行く孤独な鳥だけ。
救いと言えば絶えず吹くゆるりとした風が、やや冷たさを保っているくらいか…
「…何か、暇つぶしの道具を持ってくるべきだったな…」
苦笑交じりに言って、赤銅色の肌をした腕を延べると膝に頬杖を付いた。
■ジナイア > 時折こうして魔神を『遊ばせ』にやってくる。
前に同じように放ったところ、何と3日して漸く戻ってきた。
今回は同じ轍を踏まぬよう
『待っているから早く帰るように』
と言って放したものの…ひねくれ者の彼等のことだ
「……戻る『時』になってから、『速く』帰ってきかねないな…」
凡そ起こりそうな事態を口にすると、また苦笑を零す。
翠の双眸を天に向ければ、曇の向こうで陽が傾きつつある。
暮れる前には、引き揚げるしかないだろう…
■ジナイア > 不思議なことに、別段、彼等を飼い馴らすつもりは到底ない。
故に、こうなったら腹を据えて待つか、潔く戻るかだ。
荒野の向こう、彼等が戯れながら消えていった方を、アーモンド型の目を細めて見る。
「……戻るとしようか」
仕方ないな、と熟れた唇をそっと綻ばせて。
腰掛けた岩から滑り降りる。
砂地がざり、と靴の下で音を立てる。
降り立った後、振り返ってもう一度地平の向こうへ視線を投げて目を細める。
そうして砂音をさせながら踵を返して、境界の地へと…
ご案内:「魔族の国 荒野」からジナイアさんが去りました。