2019/05/03 のログ
ご案内:「魔族の国 麓の荒野」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 昼下がりの曇天の下、魔族との国境に聳える山脈の麓。
ヒトならざる領域の側に広がる荒野に降り立つ、灰色の人影がひとつ。
靴底からざり、と砂を噛む音を聞いて落とした翠の双眸が、ふいと天を見上げた。
凪いだ空間に重たく広がる雲の合間に時折走る閃光に、すこし眉をしかめて、また視線を少し下ろして遠くを見透かすようにする。
「……遅いな…」
赤銅色の頤が僅か動き、熟れた唇が呟きを漏らす。
一泊、溜息を洩らすと、麓から離れる方へゆっくりと歩みを進めた。
■ジナイア > 振返れば未だ高く山が聳える。
それ程に離れてからまた荒野へ向き直ると、再び遠くを見透かすように目を眇める。
「来たか…――」
再び呟きを漏らすと、左手を目の前に掲げた。
と、女の目前、空気が急激に蜃気楼のように揺らぎ――掲げた手の指輪のひとつに吸い込まれた。
瞬間、女は少し眉を顰める。
その指を目の前に翳すと、愛でるように翠の双眸を細め、うっすらと微笑みを浮かべた。
■ジナイア > 翳した手を下げて、くるりと踵を返す。
進んだ時と同じくゆっくりした足取りで麓まで辿り着くと、躊躇いなく灌木の奥へと姿を消した。
ご案内:「魔族の国 麓の荒野」からジナイアさんが去りました。