2019/04/15 のログ
ご案内:「魔族の国」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > その小さな人外の姿は、日頃、碌に足を踏み入れぬ領域にあった。
タナール砦の更に向こう。
長く険しい山脈を越えた先にある魔族の国。
帝国と王国の両方に縁のある商人として訪れる筈もなく、今は人外としての貌を覗かせている。

「さて。
 王国に山脈を越えて攻め入る…等という国力はなかろうが。」

昨今の帝国との融和策のせいで、西方での戦闘頻度は目に見えて減少している。
其処で浮いた戦力をこちらに回せば、押され気味の戦線を持ち直させることもできなくは無い相談かもしれない。
だが、王国内での不和から内乱の兆しが見えているため、逆に内部向けで戦力を消耗させる公算が大きい。
なれば、その機に乗じて魔族が大規模な侵攻を企てても不思議ではなく、それ故に様子伺いとしての訪問。

ホウセン > 妖仙とて、何も、王国に義理立てしての行動ではない。
軍需物資の需要見込みを正確にするため。
そして、昨今気に入りの王国という”遊び場”が短期的に瓦解させないため。
動機としては、酷く利己主義に基づいた代物だ。

「とは言うても、儂もこの辺りの地理には、さして明るくないのじゃが。
 ま、街道沿いに動いておれば良かろうよ。」

一口に魔族の国といっても、領域の全容は不透明な部分が多々ある。
王国で、或いは帝国で地図を入手することは困難で、主に経験により既知領域を広げるしかない。
尤も、地図作りが目的ではなく、軍勢の動向を探るのが目的だったから、それらが通り得る道筋を探れれば十分。
やや時間が過ぎて丘陵の上に至り、目下の平野を見下ろせばちょっとした集落。
更に視線を先に、人の眼では射程圏外となる程の先に向けると、城のようなものが見えなくもない。

ホウセン > 力のある魔族が領土を持ち、それぞれ独立独歩で統治をしている。
総体としての統治機構は存在せず、小国が林立して縛りの緩い連邦を成している。
人間の国に座した侭では、伝え聞いている事などその程度のものだ。

「流石に前線に近しい村故、駐屯広場があるようじゃな。
 今の所は空っぽなれば、即応という必要もありゃせんか。」

現在のタナール砦の帰属がどちらだったかは分からぬ所だけれど、短期的には戦力の増強が行われる様子はなさそうだと。
このまま街道を魔族領の奥地に向かって進めば、より詳細な配備状況も分かろうものだし、もう少し足を伸ばすつもりではあるが。

「嗚呼、然し、領主が神経質且つ短期でなければ楽なのじゃが。」

遠方に見える城は、きっと誰彼かの拠点。
名のある、または力のある魔族が君臨していることの証。
異物たる妖仙を察知するだけの認知力を有しているなり、異物は排除するべきだと喧嘩っぱやいなり。
そんな輩でなければと。

ホウセン > 「さて、ともあれ進まねば何も分からぬか。」

数分の小休止の後、一先ず最寄の集落に足を向けて――

ご案内:「魔族の国」からホウセンさんが去りました。