2019/01/09 のログ
■グラスシエル > 「――まあ、魔族とおおっぴらに戦争しなきゃ、俺たちみたいなのは用無しだよなぁ」
珍しく、疲れたように息を吐く。白い息が夜の空気に散って
まあ、そんなものだ。平和な世界に軍人、いや、兵器など無用である
戦天使といえば聞こえは良いが、結局は兵器のようなものだ
やることと言えば平和な王国の監視程度、天界からの体のいい厄介払いである。
もっと言えば――考えを、そこで止める。ガシガシと頭を掻いて
「あー、クソが、腹たって来た。クソ大天使どもが」
何故か天使に対して怒りを顕にし、脇にあった大木を蹴り飛ばす。
鉄板いりの軍靴が幹を揺さぶり、その音で魔獣達が散っていく
「あ、いけね、仲間内の悪口はご法度、ご法度」
まあ、誰にきかれるわけではないので良いのだが、癖になるとよろしくない。処世術というやつだ
■グラスシエル > 獲物というか、被害者というべきか…少年は魔族を探しながら森の中へと消える。
ご案内:「魔族の国」からグラスシエルさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」にロザリアさんが現れました。
■ロザリア >
魔族の国にも日は昇る
人間の国側に比べれば、雰囲気的に薄曇りが多い…かも、しれないが気分的なものかもしれない
珍しくゴシックな日傘を手に、城の外をロザリアが歩いていた
夜の散歩は常々あれど、日の高いうちにというのは、いつぶりだろうか
「……うむ、少しずつあの村も元の姿を取り戻してきたな」
魔族の国の奥に位置する水晶の谷、そこに鎮座する居城、キルフリート
数少ない城下、領内の村の一つ…その近くへと訪れていた
■ロザリア >
自身の時間を凍てつかせて幾百年
人間への憎悪も時を経て巨木すらも朽ち、骨すらも石となる中で、薄らいでいた
そんな頃に、あの村は滅ぼされた
人間達、王国軍第七師団を名乗る者達に
ロザリアは覇権には興味がない
故に自分から争いに手を染めようとしない
ただ自分の居場所を守ろうとする、それだけである
キルフリートの領内にはそういったロザリアの性格を好み、
力の弱い、戦いを好まない魔族が集まっていた
故に、人間の軍の侵略行為には歯向かうことすらも出来ず…
「あれらも、もう攻め込もうなどという莫迦な気を起こさねばいいが」
報復はさらなる憎悪を生み出すだけにしかならない
それを知りつつも人間の国に趣き報復を行ったのは他ならない自分自身である
それ以来、その守りの手を常に領内にも向けるようになり、人の侵入を許さず…返り討ちとしてきたのだったが
■ロザリア >
遠目に眺める村の様子は、まだ人の数こそ少ないものの着実に復興をはじめている
戦いを好まず、穏やかに過ごそうとする者の平穏が脅かされることは、あってはならない
争いを望み、争いを好むのならば、それら同士だけで勝手にやっていればいい
無謀にも城へと攻め入った、あの男のように
抜けるような小さな息を吐いて、踵を返す
わざわざ火種を撒くこともないと近寄らないようにしていた件の砦にも、結局あれがちょっかいを出しているおかげで監視の目を向けねばならなくなった
あの辺りは魔族の軍勢も含め、魔王達も注視している故に、ただただ面倒なことにしかならない
人一倍面倒事を嫌う性格のロザリアとしてはただただ、魔王連中とも関わりたくはない
「…余り調子づくようであれば、糸を切ることも考えねばな」
小さくそう呟いた
ご案内:「魔族の国」にカレリアさんが現れました。
■カレリア > 「ここまでは噂通り…この分だと全て噂と馬鹿にできないですわ。」
護衛として連れた吸血鬼2人と共に村の中を観察する
村の魔族誰しもが魔族である護衛に好意的で端的に言えば実に大人しい
が、人間と聞けば自分へはどこか忌々しそうな視線を向けていた
「襲われたと言うのも本当らしいですわね。火竜の巣穴…とはよく言ったものですわ。」
この領地を統べる魔王ロザリア
魔王の中でも変わり者な彼女の統べる領地はとある事件からそんな風に揶揄されることもしばしば
放っておけば特に害はないが一度手を出せば滅びをもたらす、と…
「噂を聞く限り美姫の吸血鬼と聞来ますけど…一体どんな怪物なんでしょ。
お目通りがかなえば良いんですけれど。」
■ロザリア >
視察も住んだところ、さて散歩も終わり城へ帰ろうか
そう思ったところ、その人よりも長い耳は村人のちょっとしたどよめきを感じ取り、
そちらに眼を向ければ遠い位置にも関わらず、射通すような翆眼は見慣れない人影を見つける
「…ふむ」
一呼吸置き、その瞳を閉じれば…まるで転移魔法が瞬時に働いたかのように、
村の観察をしているカレリア達の目前へとその姿を現した
「見慣れぬ顔だな…どこから来た…?」
鈴の音のような声は、小さいながらもはっきりと聞こえる
突然現れた少女の姿に村人達は驚くも、それがロザリアだと見てとれれば安堵したような表情を見せる
この地を統治する魔王といえど、恐れられている存在ではないようだった
■カレリア > 「…!」
魔力の流れを感じ身構える
護衛の2人がカレリアの異変に反応するよりも目の前に彼女は現れる
薄金の髪に白く美しい肌に加え翡翠の様な瞳
それに加え目の前の化け物じみた魔力量…なぜ?そう考える前に体は動く
「始めまして、私はカレリア。
魔族の国の北東よりやってきました。
この2人は護衛のロミオとラミアです……2人共下がりなさい。」
カーテシーと共に自身の事を説明
一呼吸遅れて戦闘態勢に入りかけた2人を下がらせる
最早この距離では護衛も何もない、少し幼さが残る2人はカレリアの後ろで頭を下げた
■ロザリア >
「…成程」
礼儀を弁えている…といった風情の立ち振舞い
憮然と立っているだけの自分などよりもよっぽど行儀が良い
「それは遠路遥々…といったところだな…。
そう畏まらずとも良い。この村は少し他と事情が違っていてな…。
別にお前達を威圧しようと思っているわけでもないのだ」
そう小さく言葉を続け、その身から感じられているであろう、魔力の波動を鎮静させてゆく
「して、わざわざこのような田舎に観光でもあるまい?」
大方、他の魔王の視察か何かかと勘繰っては見るものの、
最近では魔王達もそう派手には動いていない故、怪訝に思っての問いかけだろう
■カレリア > 「…かしこまりました。」
正式な面会ではないので彼女がそう言うならと姿勢を崩す
魔力を抑えてもらえたお陰で護衛の2人も安堵している
「はい。
我々はロザリア様の噂の真偽を検め…ここが争いを望まぬ者達の安息の地と呼べるのか、それが知りたかったのです。
勝手な事をとお思いになるかもしれません、どうかご容赦を…」
偵察と取られても仕方ない行動というのは理解している
だからこその謝罪…彼女には受け入れてもらえるだろうか
■ロザリア >
「…噂?」
目線が怪訝なものに変化する
引きこもりがち、とも言える変わり者であるロザリアにとっては
自分の噂というものは良い気するものではないらしい
…とはいえ、続く言葉にそういうことかと納得したように口を開いて
「村を見てまわったならわかったであろうが、魔族にも戦えぬ者、戦わない者はいる。
所詮、結果としてではあるが吾は領地戦争や覇権に興味はない。自らの領域で好き放題なぞされぬ限りはな。
安息の地かどうかは解らぬが、それを侵せば吾はそれらをただで済ませるつもりはない」
安息を得られるかどうか…それは解らない
眼の届くところ、手の届く範囲であろうとも間に合わないことはあるだろう
ただ、それによって確実に訪れる報復が抑止力として機能するのであれば…
「構わぬ。それを知ってどうするのか…ということのほうが重要である故な」
寛大…というよりは、焦点はそこにないといった言葉を向ける
■カレリア > 「えぇ、この地は魔王の庇護下に有り手を出せば滅びが待つと。」
ここまでの反応を見るに自分が想像していたよりも目の前の魔王は理知的に見える
今の所会話の流れは悪くない…あとは自分が致命的なミスをしない様にするだけ
「勿論、それは理解していますわ。
人間にとっては手を出しさえしなければ比較的安全な魔王。
魔族にとっては臆病者等と勘違いをする輩も居ますが……」
呼吸を落ち着かせる
ここまで力量差が有る相手との会話はどうしても緊張してしまう
なぜなら…
「お願いがございますロザリア様。
どうかこの地に、他の魔族の国の民を…そして他の種族の者を受け入れて下さいませ。」
著しく彼女の機嫌を損ないかねないのだから
■ロザリア >
「随分と大袈裟な噂であるな。…まぁ、尾鰭がつくものなのだろうが」
明確な報復など一度したきりだった筈だが、
他の魔王連中にそういうことを言ったことがあった気もする
火のないところに煙は立たないとはよく言ったものだ
「一つ、訂正させてもらおう。
吾は魔王ではないし、魔王として君臨するつもりもない。
あのちっぽけな城と、このちっぽけな領地の主として平穏を過ごしたいだけだ。
……故に」
エメラルドのような輝きを讃えた瞳が細まる
「争いの種を呼び込むような真似も、吾はせぬ」
余所者を招き入れる
それはそれだけで十分な火種になり得るということ──
「他をあたるのだな。
吾以外にも強力な力を持つ、それこそ魔王と呼べる者は多くいよう」
■カレリア > 「最初は私もそう思っておりました。」
たった一度、その一度の報復が王国にトラウマを植えつけるほどの物だった
それを理解したからこそ王国はこの地に攻めようとはしないのだろう
それを利用したい…そう思うのは仕方のない事だろう
「…確かに、力だけで考えればロザリア様以上に強力な方もいらっしゃいます。
ですが、環境が整っているのはここだけなのです。」
強力な力を持ち争いに民を投じない
そして一度王国に壮絶な報復を行っており手を出そうとさえ考えさせない
そんな条件が揃った地など魔族が広いとは言えここ以外に有りはしないのだ
「王国との戦争も激化しており体よりも心が折れた者は少なくありません。
彼等の安全、そして魔族の勝利の為…ロザリア様にご協力をお願いしたいのです。
私の裁量で出来うる限りのお礼はさせていただきます。
ですから…何卒。」
■ロザリア >
「何やら事情もありそうだ、とは感じたが…」
食い下がるカレリアの姿にふう、と大きな溜息を吐く
言っている事は筋が通り、その事情もよくわかる、が…
「見知らぬ者の安全と、魔族の勝利などというくだらぬものの為には吾は動かぬつもりだが…。
……一つ尋ねよう。決定権を持つ者は貴様か?それとも名のある者の使いか」
名のある魔王の使いだというならば、魔族の勝利…という言葉も理解は出来る
しかしロザリアはヴァンパイアである以上、人類が根絶するのもまた困るのだ
もし、遣わした主がいるのであれば、それの望む勝利の形次第では、黙って見ているというわけにもいかなくなるのかもしれない
■カレリア > 「ある程度の決定権を与えられている。それが一番近い形ですわ。
そしてロザリア様、私の主は吸血鬼であり魔王でも有ります。」
嘘は通じないだろうと正直に話す
使いではあるがあくまで自身の判断で裁量は可能
こうしてここに居るのもどちらかと言えば自身の判断の方が大きい
「戦えぬ民全てをお任せする、等とは考えておりません。
私はただ、戦いで傷ついた者達にまた武器を握らせたくないのです。
もし人間の私が信用できなければ改めて遣いの者をこちらに派遣します。
なのでどうか……」