2019/01/05 のログ
ミリーディア > 彼女の言葉を聞き、成る程と納得をする。
力とはそんなもの、得た処で理解しなければ意味が無い事は多々在るものなのだ。
顎に手を添えて考える様な仕草を見せ、聞くだけ聞いてみようと。

「どれ程の力を持っているのか、どの様な力を持っているのか。
先ず其れを知らなければ力の出し様も無いのではないか?
大量の水を湛えた貯水槽が在ろうと、其れを出す術を知らなければ宝の持ち腐れだ。
気が向いた時にでも聞きに来れば、少しは指南出来よう。
……おっと、其れについては余り気にしなくても良いさ。
儂がそう呼んでいるだけで深い意味は無い。
そう、監視と云っても名目上だ、実際はそう厳しいものじゃない」

解らないとは云え、教われば一部とは云え使える。
つまりは理解させれば持つ力を確り使いこなせると云う事。
先の懸念を其れで防げるのならば、其の程度は安いものだ。

「そうだな、丁度用意してくれた此れが在るのだから有用利用させて貰う。
そうか、研究所は常に一般開放をしている、好きに尋ねて来給え。
……ああ、ならこうした方が早いな」

取り出された二枚の紙、其れは見ただけで認識出来る。
先ずは此方を先決か、トンと紙面越しにテーブルを小突く。
ポォ…と其処に小さな輝きが灯れば、ゆっくりと動き始めサインを刻んだ。

其れに次いで少女が手にした侭の魔法製の珠に指先を当てる。
続けて其の瞳に薄っすらとした輝く魔法陣を浮かび上がらせた。
僅かな間、瞳の魔法陣が消えて行けば、次は手にした珠が僅かに輝き、其れも直ぐに消える。

「……転移方法を少し書き換えた。
握って行きたい場所を念じる、其れで好きな場所に転移。
消耗品だから余計な場所に行ったりしない様に注意する事だ」

其の侭効果を教えるだけでも良いのだが、こう云う事も可能なのだと教える意味での力の行使。
使い方の説明をし乍、ゆっくりと触れていた指を離した。

リス > 女史の言葉に対しては、少女は軽く考える事にする。
 そもそも、力に興味がないのである、戦ったりしたくはないのだ。
 とはいえ、持ってしまったものはもう、今更どうしようもない、アッシェであればなんとかできるかもしれないが……する気はなさそうで。
 
「そもそも、私は力に興味などは、ないのです。
 でも……この力があふれて危険になるというのならば、それを抑える術ぐらいは知らないとダメ、ですよね。
 今度、そのあたりは危機に行こうと思います。」

 外来種とかそう言う言葉に関して気にしなくていいというのであれば、少女は頷く。
 気にしても仕方のないことだとわかったから。
 力が使えるのは、おそらく、アッシェの仕業なのだろう、竜が生まれながらに自分の力が使えるのと同じように。
 でも、少女は人間であった、そこに齟齬が生じ、上手く使えてないのであろう。

「………わあ。

 では、私の方も。

 と、研究所はお城の中、ですか?」

 彼女の魔力が文字のように浮かび上がり、そして、しっかりと焼き付く。
 話し合った結果が契約となり、それは少女を縛るものとなる。
 少女はそれを確認し、自分もペンを使ってサインをする。
 魔法のペンは彼女が魔力で書いたものと同じように光り、焼き付く。
 これで、契約は成された。
 それを確認してから少女は、訪ねてきた前、という言葉に返すように、場所を確認する。
 城は広大だ、あまり立ち寄ったことがないので、聞いておくに越したことはないだろう、と。

「つまり、おうちを念じて握れば、戻れる、というところですね。
 分かりました。」

 なにか変えたらしい、魔力の動きは見える。
 つまり、この形に、魔力を移動させれば同じことができるのであろう。
 でも、今は、その発見よりも握って念じればいいと言われれば、それなら、と安堵のため息。
 おうちに帰れるのね、という喜び。

「ありがとう、ございます。」

 にこやかに笑い、お礼の言葉を。

ミリーディア > こうした状況に於いて在り得る可能性の一つだった。
力に興味の無い者が力を得てしまうタイプ、其の成り行き。
危険の有無は絶対にこうなのだとは云えないが、可能性は零では無い。
そう在る限り、可能性は消しておくに限るのだ。

「君は勤勉そうだからね、教えるのは楽そうだ。
その時にでも、其の話をし乍教えて行こう」

尤も、やろうと思えば其れを封じる事は自身にも可能。
だが其れは相手の存在を否定する事に繋がり兼ねない。
安易に行うものではないと理解した上の選択肢だ。

「王城に入って直ぐ右に曲がって壁沿いを真っ直ぐだ。
進んで行けば一目で解るだろう、一本道だからね。
止められたら研究所に向かう旨を伝えれば問題無い。
此方に用事が在る者は誰でも通す様に伝えて在る」

やろうと思えば一方的な契約も実は少女の腕なら可能だ。
だが少女は此れも又戯れの一つと考えてやっていた。
ペンでサインをする彼女へと伝える。
互いのサインが入り契約成立した其れを見詰め乍。
此の先、入って実際に目にすれば言葉の通りだと何れ知るだろう。
面倒なので勝手に自分で作った道、当時は色々と揉めたものだ。

「そう、簡単だろう?」

彼女の様子を見る。
感じから、矢張り何かしている、程度は認識出来ている様子。
其れも嬉しそうにしているのを見れば、如何でも良いかと思った。
笑みを浮かべ乍にお礼を述べる彼女に、構わんさ、と一言返しておいた。

リス > 「知らぬまま、大きな力を持つ者が、破滅を引き起こす。
 お伽噺にもあるような、お話ですから。
 私がその身になるとは、思ってもいませんでしたし。」

 力というものは、本当に面倒くさいものである。そして、画一的なものではない。
 おとぎ話でも、力を持たぬ者が、意図せず力を持って振り回されて破滅するというものは多い。
 だからこそ、女子の言葉、そして指南は有り難く思えるのだ。
 とはいえ。

「本当は、その時間を商売の勉強に費やしたりしたいものですのに。
 学ぶからには、一生懸命させてもらいますわ、命に関わりそうですし。」

 なんて、軽く冗談交じりで本心を告げよう。
 危険が危ないのであれば、これは必要なこと、と自分に言い聞かせる少女。
 力を消すこと自体は、考えてないというよりも、思い立っていないという方が正しいであろう。

「ありがとうございます。
 では、最初のお伺いの時には、甘いものを手土産にしないと、ですわね。」

 自分だけというわけではないのだろうが―――色々と便宜を図ってくれる。
 それなら、手土産とともに行くのは礼儀であろう。
 さて、どんなものが喜ばれるのでしょうね、なんて考えて。

「ええ、この形にすればいいのですね。」

 魔力を物質と捉え、パズルのように理解する。
 理論がないから、形で覚えてそう調整するようになるだろう、今のままでは。
 すい、と視線を上げて見せれば、少女の目は、アッシェ嬢と同じ、竜眼へと変質―――否、人の目である偽装を解いたのだ。
 目も、体も、全て人ではなくて。ただただ、人の部分は心。
 彼女への感謝の証として、人に擬態するための魔法を解いて、人竜の姿を現す。
 これが、少女の真の姿。
 人の形をした、竜の姿である。

ミリーディア > 「誰しもがそんなものだ。
知っても尚、其れを信じ切れぬ者も世の中には居た。
逆に知る事に依って危険を増した者も居ない訳では無い。
行く道はそれぞれ、其れを知る術は本人とて在りはしない。
君の行く道が、君の描く道で在る事を願っているよ」

さて、此の目の前の彼女がどの様な道を歩むだろうか?
其れも又自分の楽しみの一つとして胸に秘め乍、そう伝えておいた。

「流石は商売人か、揺るぎない。
そんな貴重な時間を借りるんだ、確りと教えねば悪いね」

軽く肩を竦めて見せるも、其の表情はどこか楽しそうか。
単に物事を教えるだけ為らば面白味は無い。
然しこうした僅かとも含みの在る事は其れなりに楽しいもので。

「……是非とも頼むよ。美味しい紅茶でも此方は用意しておこう」

自分の好みは結構知れ渡っている。
故にか色んな甘味に合う紅茶は自然と集まるもの。
次に来る物は何なのか、そうした期待を抱き待つのは悪くない。

「……ほう、成る程、教え甲斐が在りそうで何より。
そう、其の理解も又、知識が深まれば正しく理解も出来るだろう」

形と云う表現。
彼女がどの様に魔力を理解しているのかの判断材料と為る。
其れならば此方も少し見せようか。
意識を少しばかり彼女から外してみせる。
人竜と為った少女を前にして、人間で在った自分の姿は変わらない。
だが然し、存在としての感覚が、同じ竜と変化するのを少女は僅かな間だけ感じられるだろう。
其れと同じくして竜から魔族へ、魔族から人間へと戻せば意識を少女へと改めて向けた。
感謝の意を込めての行為なのだ、少しは其の手の内を見せるべきとの判断だ。
目の前のミリーディアと云う存在。
其れが人間で在る事の不確かさを見せる事で。

リス > 「ありがとうございますわ。
 私はただ、平穏に、商売繁盛していきたいと思っております。」

 彼女の激励に、少女は軽く嬉しそうに目を細めて、ぺこりとお辞儀をして見せて。

「ふふ、お金のちからは大事ですから。
 それに……美人の講師の前なら、ちゃんとお勉強しないと、ですし。」

 戯れの言葉に戯れて返答して見せよう。
 彼女はだらしはないが、美人であることは間違いないのだ。
 それが、わざわざ勉強を教えてくれるなら、と。

「はい、お任せくださいまし。
 紅茶に合う甘いもの、いくつか見繕いますから。」

 知れ渡っているとは言われても、少女は彼女のことを知ったのは今日が初めてで。
 故に知らないことが多く、彼女の甘味の好みもまた一つ。
 それでも、少女のセンスで選んで持っていこ、と考える。

「………すごいのですね。」

 彼女の姿が、違って見えた。
 人なのか、竜なのか、魔族なのか、解らない。
 ただ、彼女はアッシェが行っていた通りに、人ではないという言葉に真実味を少女に抱かせた。
 なるほど、と納得して、うなづく。
 ただ、彼女がなにものだとしても、少女は気にしない。
 彼女に悪意が見えなかったのだし。

「さて、もう少しお話していたいところですが。
 そろそろ、私も戻りませんと。
 嫁に浮気を疑われてしまいそうです。」

 ふと、空を見て、いまの時刻の大体を推測する。
 彼女が自分を呼び、そして帰ったとしても。
 あまりに遅くなれば、心配もするだろうし、少女はそろそろ帰宅を口にする。
 それは、やはり冗談が混じったものであった。

ミリーディア > 「リス君、種が変わろうと、君と云う存在は其の侭なのだ。
其の認識さえ違わなければ何ら問題は無いだろう。
だからこそ、其の考え方にも儂は賛同をするものなのさ」

彼女自身の目標、好み、趣味、他様々な考え。
其れ等を失わない限り、彼女は彼女なのだ。
自分は其れで良い、当然の事だと思っている。
だから、こう答えられるのだ。

さて、果たして彼女のセンスは自分と合うだろうか。
互いに直に合ったのは今日が初めてだろう。
だが期待は出来るとの確信は何故か在った。

「儂からすれば、短期間で其れだけ出来ている。
其れは元人間として十分に感心すべきと思うものだがね」

今の環境在ってこそか、其れとも元々なのか。
此れを見せても大きな感情の変化は無い。
直ぐ使える様に為った姿を変える力にしても、色々と興味深いものだ。
もう少し言葉を交わしたくは在るが…

「おっと、そうだね。
心配は無いとは思うが、其れが良いだろう」

彼女には家庭が在る。
其の意味も含めて長居はさせるべきでは無いだろう。
帰宅する旨を受ければ、小さく笑い其れに応える。

リス > 「ええ、解ります。
 どのようになろうと、私はリス・トゥルネソル。
 そう言う個性―character―なのですわ。
 女好きで、商売人で、お金の力の信奉者。」

 それは、変わることのない少女の個性であり、自分の種族が人間なのか、人竜なのか、それは些細なことでしかない、と。
 彼女の言葉が嬉しく、心強くて、小さく笑ってみせる。

 甘味に関しては、それこそ当日、持ってきてからでしかわからない。
 そのほうが、楽しみというものが増えるものではないだろうか。
 リスは、彼女がそういう性質があると思えた、この短い邂逅で。

「んー。
 多分、ですが人ではなくなったから、かもですね。」

 竜の知能は高く、人間は知識をうまく使える。
 少女は人から竜になって、知能が高くなったから、すぐに吸収できるようになったのかもしれないと考える。
 それは副産物であり、便利と思えるぐらいである。
 詳しい考察は、また別の機会にしてもらおうと。

「それでは、今宵はこれにて。
 ミリーディア様、問題が広がる前のご指摘、どうも有難うございました。
 また、何れ。」

 少女は、最後にもう一度、深く感謝のお辞儀を。
 そして、にぎにぎ球を握り、自宅をイメージする。
 正確にイメージをしたと同時に、来る時と同じめまいのような感覚。
 そして、その場から、消えたのであった――――。

ご案内:「魔族の国 荒地」からリスさんが去りました。
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