2019/01/04 のログ
ご案内:「魔族の国 荒地」にアッシェさんが現れました。
アッシェ > 【待ち合わせの為 待機です】
ご案内:「魔族の国 荒地」にミリーディアさんが現れました。
ご案内:「魔族の国 荒地」にリスさんが現れました。
ミリーディア > 少女は考える。
取り敢えずは話し合いで解決の出来そうな状況を作る事が出来た。
後は互いに此れで納得の出来る形と成る結果を出せれば良いのだが…今其れを考えた処で如何にも為るまい。
人としての姿と成ったであろう竜を前にし乍思案を続ける。

あちらはあちらで抱えている問題も在りそうだ。
其の辺りも交えて考えれば幾つかの面倒事は解決出来よう。

『さて…』
「……いや、もう此方でも大丈夫だろう。
改めて互いに今出ている問題の取り纏めから行うかね?
其れとも何か他に在る為らば…」

竜語から、人の言葉へと切り替える。
一度竜達の飛び去った方角へと目を向けてから聞いてみた。
少女としては面倒なので此の侭取り決めてしまう気で居る。
相手に何か在るのならば、其れを聞き入れるつもりだが…

アッシェ > 人の姿に一応なってみた。精神的に一番安定する姿になってみたが、
季節柄寒くねえの?と突っ込まれる事が多い格好で変化が完了した。
竜の姿が相当大きかったのに 人の姿は案外小さいのだ、あの質量どこ行ったレベルで 
何やら適当にどこから取り出した棒を持ち、地面を浅く抉り始め―魔方陣を描き始めた。

「人の言葉でええよ、んー…うち 交渉とか苦手なんで、助っ人ととして旦那呼んでもええ?
 っていうか、今から呼んでサクサクと交渉進む様にしたる。
 問題は正直おつむが痛いん。その辺含めて ええと、こうやったかな。」

竜の時の口調と人になった際の口調、および風格とか全然違う。
別人レベルだった、ただ、竜の気配は変化していないので同一個体だ。
魔方陣を描き終わると 棒をまたごそごそっとどこぞのしまい込み、その陣から少し離れ始めて。

リス >  アッシェからSOSの声を聞いた。
 すごく珍しい事であり、何事だろうかと思えば事業のことらしい。
 なるほど、とある程度手際よく書類をまとめてから、彼女の召喚に応じる。
 ぐんにゃり、と周囲の風景が変わっていき、そして、自分が移動したことを理解する。
 何もなさそうな荒野、そして、そこに立っている嫁と、見知らぬ女性。
 まずは、嫁に近づいて、その頭を撫でようか。


「アッシェ一人で決めずに呼んでくれてありがとう、とても、嬉しいわ。」

 なでりなでり、と嫁の頭をしばらくなでてから、振り向いて。
 見知らぬ少女……彼女が今回の軒の人なのだろう。リスは少し足を引いて軽くお辞儀を。

「私、トゥルネソル商会、王都マグメール店の店長をしております、リス・トゥルネソルと申します。
 そこにいる、アッシェの伴侶―――旦那という立場にもありますわ。
 どうぞ、お見知りおきを。」

 まずは、見知らぬ彼女―ミリーディア女史―へと挨拶。
 要件がなにか、何を話すべきなのかは、アッシェから聞いたので、そのための書類も、カバンに入れてある。
 さて、彼女の要件、詳しい所はどんなところなのだろう、とミリーディア女史を見やる。

ミリーディア > 「儂としてはどちらでも構わんよ、好きに呼び給え」

云ってしまえば、今回監視を仄めかしている以前から本当は監視をしていた。
人の国の足元で人を竜と化させた竜、監視対象と成るのは当然の事だろう。
当然の事乍関係者とて同じ事だ。
故に竜で在る彼女が呼ぶ相手も、其の相手がどんな立場で在るかも理解していた。
そして、予想通りの相手が彼女に依って呼び出された。
此方へと御辞儀を行う其の女性へと今度は視線を移す。

「ミリーディアだ、今の処は此の国の側の人間と云う事で納得しておいてくれ。
こうして君達の前に出て来ているのだ、其の手の面倒事を任されていると考えると良いだろう。
まあ、細かい立場等は……君ならば、多少の噂程度は聞いているかもしれないな」

正直に答える為らば堅苦しい挨拶は苦手だ。
言葉を向ける前に其の点だけは伝えておき、簡単な挨拶を言葉にする。
尤も、確りとした着こなしをしていない、髪も整えぬ侭に呼ぶ事を任せている。
其れを気にしそうな相手を目の前にしているのだから安易に理解されるかもしれない。

アッシェ > 交渉は最も苦手な行為その物だ、おつむが生じて弱い。
監視されてても今まで全く意にもしていなかったが、いざ交渉となると潔くSOSを上げて旦那を召喚してしまった。

「なんかややこしくなってもーた すまへん! この人がミリーディア殿っちゅう ただもんでない 人間を自称しているん。」

非常に申し訳なさそうに 困った顔をして簡単な事を口走ってる。
リスに頭を撫でられて―大まかな事ここに至るまでの経緯は
ミリーディアに把握されぬ様に既に伝えている。自身が出来るのはここまでだ。
交渉諸々は正直お手上げなので、以後はアシスタント的な事しか出来…
荒地なので テーブルとか椅子とかないのだけど、魔法とかでどうにかすべきだろうか?

旦那―リスを見た、交渉に必要な諸道具が入った鞄は持参している。
地べたに座らせて 交渉をさせる?んなもん あかん過ぎる。
ううぬうううぬ と悩んだ挙句 無詠唱 無動作のまま どこからともなく、
簡易的なテーブルと椅子三つを荒地に置いてみた。

「荒地に立ったままの交渉 話し合いはあかん。
 席を設けてみたん。どうやろうか。これでええ?」

そのうちの椅子の一つにいそいそと腰掛ける 小物感満載な人になった竜。
はっきり言えば話し合いに役に立たない存在Xになってしまった。

リス > 「アッシェ、それはいいっこなしよ、それに、できないと思うなら他人の力を借りる、いいことじゃない。
 あと……私も、今や自称:人間なのよ?」

 嫁の言葉に、少女は苦い笑いで返答を返す。
 嫁に、人間から、竜の眷属に変化させられた身、それを思えば、彼女の言葉に同意を簡単にはできないのだ。
 ややこしいわけではないから、大丈夫よ、と安心させるように、言葉を放つ。
 
 そして、嫁の作り出した椅子。
 立ったままでもいいといえばいいのだけれども。
 まずはどうぞ、とミリーディア女史に座るように促そう。
 最後に自分が座るつもりで。

 ミリーディア女史の言葉に対して、自分の知っていること。
 噂話程度の小さなものではあるが、紡ぐことにした。

「王国第二師団補佐……様というくらいは。
 この度の一番の問題点は、嫁が竜100匹を、国に招こうとしたところ、とお見受けしてますが、如何でしょう。
 私の推測が間違いでなければ、まずはこの件から片付けたいと思います。」

 ミリーディア女史の雰囲気、様子、怠惰と言って良いだろう格好であり、やる気とかそういったものには欠けていると見える。
 恐らく、彼女はやりたくないのであろう、立場などから、ヤらざるを得ないといったところだろうか?
 見て仕舞った事を不幸と嘆いていると少女は思う。
 だから、少女は話を早くするために、一番の問題点であろうモノから切り出す。

 正直、ドラゴン100匹は多すぎる。
 少女自身が人間の感覚を持っているが、そんなのがいたら普通に国が溶ける。
 女史が懸念していると思った。
 だから、最初の議題として取り上げる。

ミリーディア > 「まあ、人間が人間と認識しているならば問題ない。
竜で在ろうと、人竜で在ろうと、他の存在で在っても儂から見れば同じだ。
……自称と云う点で云えば儂とて同類だからな」

二人の遣り取りを見ながら言葉を挟み、促されれば椅子へと腰を下ろした。
呼び出された彼女と同じく立った侭でも良かったが、向けられた厚意は受けるべきものだ。
そして自分が向けた、自分に対する噂話を聞き乍小さく頷いて。

「そして、王城に設立されている研究所の室長でも在る。
魔術や魔導機械の関連為らば相談も受け付けているからね。
……甘い菓子類とかが土産に在ると儂が喜ぶぞ?」

其れに付け足す様に、さり気無い物欲も織り交ぜて。
そしてコホンと咳払いを一つ合間に挟み。

「さて、話が早くて助かる。
其れが一番の問題、其れが無くとも現状でも多く確認出来る竜の存在も在る。
理由は……ええと、今はアッシェ君か、彼女に聞いているかな?
必要為らば答えるが」

言葉の通り、実際に此方としては云う前に問題を並べてくれるのは助かる。
目の前にする彼女の思う通りに少女は其れを態度に現しているのだから。
そう言葉を紡ぎ乍、視線を僅かに其の横へと移した。
ある意味、此の小難しそうな問題から少し距離を置けているのが羨ましそうに。

アッシェ > 交渉問題から役に立たない感満載状態の竜だった少女と言えば、
座ったまま何もしていない。ただ、二人の話し合いそのものは見ているし見守っている。

時々会話には応じるが 話し合いそのものは参加しておらず。
お手上げ、という両手を軽く上げて二人に向けて一言。

「うちは話し合いには役に立たへんから リスとミリーディアで話し合ってな。
 提供できる範囲の資料諸々なら役に立てるかもしれへんけどそんだけ。
 甘い菓子…今持ってへん。 土産…酒しかない」

元々王国に向けて 物品と納品する酒を持参しての移動中だった。
お菓子は日持ちせずとも作っておらず、酒が大半でテーブルと椅子は偶然持っていたので出したのだ。

リスの耳元に甘ったるくて蕩ける声で囁くようにこしょこしょと。

「竜100匹はやり過ぎてしもーたけど、あれやあれ。
 うち筆頭に一家5人と他エルダー級の家令と執事とメイドも含んでの事やと思う。
 他の事やったら わからへん~。」

竜100匹以前にいる把握している竜はそれ位だ。
それが問題なのだろうか 手助けになるかどうか分からない事を口にしては こしょこしょ話終了。 

リス > 「ふふ、どんな姿になろうとも、私は私、ですから。
 だから、アッシェの想いに応え人を辞めたのです。」

 椅子に腰掛けながら、フォローを入れてくれる女史に、礼という名の惚気をさらりと。
 彼女の対面に座るのは、交渉のため、女史の顔をしっかりと見るため、で。

「研究室、ですか。
 商売一辺倒の小娘には、魔術というのはとんと判りませんので、ご相談できないのは悔やまれますわ。
 そうですわね、でも、お土産を送る程度であれば。
 後ほど、どのような甘いものが好みかお聞かせいただければ。」

 お贈りすることはできますわ、と、にこやかに物欲に乗っかってみせる。

「100匹に関してはアッシェはもう、引かせたようですが、そうですね。
 商売に必要な数を申請し、それ以上は使わないという形でいかがでしょう。
 数をごまかせないように、第十の……たしか、竜を使う騎士団がいましたし、そこで申請の数を登録と、顔を覚えてもらうという形で。
 登録数は……現実的な数として、最大で10匹で如何でしょう。
 暴れないようにしっかりと言い聞かせますので。

 それに、話が混じりますが私はドラゴン急便という商売で既に、商人ギルドをはじめとした様々なところから、許可を得ております。
 なので、急便用と、酒造からの酒の移動を合わせての10匹とさせてもらいました。
 
 あと……にアッシェ、私、娘達3人、家で働いている家令と、メイド達は別として、でお願いしたく。」

 言いながら、商人ギルドをはじめとして、許可を得てきた関係各所の書類。
 それを鞄から取り出して、ミリーディア女史へと確認を頼むように差し出そう。

 アッシェの耳打ちには、判っているわと、頷いてみせる。
 というか、交渉事を全て任せる様子のアッシェに、任せておいて、と。
 酒は流石に今は手を出す気にはなれない。
 酔った頭では正しく会話ができなくなるから。

ミリーディア > 「人で在る事を辞めて竜と成るか、竜で在る事を辞めて人と成るか。
そして其の侭の自分達で居続けるのか。
何時の時代も異種族愛と云うのは難しい問題だな、本当に」

人と竜に限らない。
魔族で在っても、果ては悪魔や神で在っても、其の問題に直面した者達は居る。
正しき答えと云うものは何であろうか?
まあ、自分としての答えは……否、其の問題は今は置いておく。

「別に話が挙がった時で構わんさ。
暇と云うものは、都合を付けて来てはくれないんでね。
其の話も又後回しとしておこう」

其れは喜ばしい事だ、期待してないと云えば嘘となる話。
乗ってくれた事は純粋に喜んでおこうか。

「……増加員に関する問題は解決したね。
必要員数に関する事もそうして貰えるなら此方としても助かる。
まあ、此方としても此の侭監視を続けているのもいい加減疲れていたしね…事後報告と為るが。

竜が飛び回る事に関しては、此方からも話を広げておこう。
外から来た者が理解せぬ侭に其れを見ても勘違いするだろうしね。

君達を含め深い関わりを持つ者達に関しては、特に力を持った者達だ。
監視を認めてくれるならば構わんが…とは云っても位置を認識するだけのものだがね。
其れが嫌ならば他の手でも考えるから、何か在れば云ってくれれば良いか」

彼女の取り出した書類、其れに目を通す。
其の動き自体は書類の枚数を確認している様な動き。
だが文章全てを理解しているのだが、其れが分かるか如何か。
全てに目を通せば、同時に言葉も終わる。
視線を改めて向け乍聞いて。

アッシェ > 竜の少女 特に何もしていない。
が、二人の会話の隙間にねじ込むようにして小言を呟く位しかしていない。

っていうか先程からずっと ハウス状態の犬です。
待機 待機 待機と話し合い自体 難しい事だらけで頭の上を妄想ではあるが ドラゴンが飛んでる。

「位置把握…難しいのはどないすんねん…。
 リスも覚えてなか?あれをまたやってみるとか。
 うちは気配が諸ばれしておるんから 分かり易いかも知れへんけど。
 ラファルが筆頭に竜雪も隠蔽凄まじいで。うちが把握できへん。
 世界地図の上に術式施して 位置情報を把握する位しか思いつかへん。
 でもあれ、早すぎる移動とかは タイムラグ起こすけどな…まぁ、どうにかするやろな。」

似たような術式なら何度か試している、今していない理由はたった一つ。
ラファルの位置情報を把握しようとして失敗しロスとしてしまったからだ。早すぎて失敗とかいう。
ゆっくりとか普通に飛ぶドラゴンは把握可能だ 自身でテストして実験時期にリスに渡しているアレの事だ。

ドラゴン急便とか竜の動きを簡単に把握する為だけだったら 行けるのではないかと助言をこっしょり。

リス > 「彼女は彼女の侭ですわ。
 私が、人をやめて彼女に寄り添う、そう望まれただけ。
 そうですわね、彼女が人から見る竜の驚異を認識してなかったから、今回の出会いになりましたし。」

 異種族間という難しさ、愛し合うというだけではない。
 常識とかそういった物が全て異なるのだ、それをすり合わせるにはどうするのか。
 そもそも、正しいとは何を持っていうのか、解らないのだから。

「ふふ、では。
 それはまた別の機会にでも、お茶に誘いまして、その時にでも。」

 今はその話を膨らませる時ではないという彼女の意図に、そうですわね、と同意の首肯を見せようか。
 彼女は忙しい身だ、怠惰なその性質と反して。
 だから、その時はその時、と考えよう。

「御厚意、大変ありがたく思いますわ。
 とりあえず、監視に関しては、ええ、身の潔白のためですもの、どうぞよろしくお願いしますわ。
 ただ、厚かましいとは思いますが。
 竜以外の私の家に入るもの……彼女らは免除して頂ければな、と。」

 申請と、登録の許可、そこで一応の決着ということになるだろう、後で申請書を造る必要があるので、書式だけ教えてもらおうとか考える。
 監視については、自分のところの竜は仕方がなかろう、しかし……リスはハーレムを作ることを目的として、実際に作りはじめている。
 そこには、竜以外のものが多くなるだろう。彼女らまで監視対象になるのは忍びない、故に、そこは除外を願う。
 無理だというなら諦める程度ではあるけれど。

 そして、書類に関しては。
 彼女は研究所の所長で、副団長クラスという、なら、目を通すだけで把握することができるだろうことは想像に難くない。
 細かなところまでしっかりと見てるのだろう。

「位置把握に関しては、ミリーディア女史が何とかして下さると思うわ。
 だって、彼女達が認識しなければいけないこと、だもの。
 私たちが何とかする話ではないから大丈夫よ。」

 なんかスケールのでかい位置把握の方法だけれども。
 そこまでするかどうかは、ミリーディア女史の胸先三寸だ、そんな風にしないでいいよ、と。
 自分らは、自分らで把握していればいい。
 彼女らは、彼女らの方法で、自分らを捉えるのだろうと、アッシェに言ってみせる。
 こう、呼ばれておいて、ステイ状態。ごめんね、と言葉にせずに視線で誤っておこう。

アッシェ > 急にそわそわしだした ステイ状態の犬 否 竜の少女。
話し合いというか交渉を最後まで見守るつもりだったが 飽きてしまった。
一つの場所に待機状態でいるのは駄目だったようで。椅子から立ち上がると 
ごそごそとポケットに入らないだろう的な柔らかそうな球を取り出し、それをリスの手に乗せると。

「うちは先に帰るわ。眠気がしょうもない。
 ほな これ握ったら 帰れるから 。 うちは これにて」

使い捨ての移動用の術式が入っているにぎにぎ球をリスに持たせてから、
竜だった少女は唐突に ふっと 姿が残像も残さずいなくなってしまったという。

ご案内:「魔族の国 荒地」からアッシェさんが去りました。
ミリーディア > 「其れも又一つの愛の形、自分を貫くのは案外難しいものさ。
其れを遣り遂げている事は胸を張るべきものだろうね」

結局の処は辿り着くのは其れ。
偶にこうして間近に見ていると羨ましく思うものだ。
そう思い乍、彼女の誘いには頷きで応えておこう。
多忙とは云えど全く暇が無い訳でも無いのだから。

「其れに関しては何とも云えないのが正直な答えだ。
人間やミレー族で在れば問題視しないが、其れ以外で力を持った存在は監視する様にしている為さ。
其れに引っ掛かる事の無い存在で在れば監視はしない、面倒だしね」

彼女の目的の一つで在る其れに関して、流石に頭の中を見ている訳では無いので解らない、。
其れに触れるか解らない内容の案件故に正直に伝える。

「リス君の云う通り、位置の把握は儂で行うから安心し給え。
少なくとも此の国、そして周囲の国々迄及ぶ範囲程度では見逃さないと云っておこう。
…おっと、すまないね、おやすみ」

目の前の彼女に言葉を向けつつ、隣で立ち上がる相手に一言を添えて。
姿が消えて行くのを確認してから改めて向き合う形に。

リス > にぎにぎ球を渡された。
 使えば帰れるという言葉を受けながら、珠を見る。
 どうやって使うのこれ、と思って視線を上げるも既に眠そうな声の嫁は消えていた。
 えー。と、少女はへにょんと、眉を下げる。
 先程も言ったが、魔術とかそういうのは詳しくないのだ、使い方の説明ぐらいはして欲しいと思った。

 思考を、切り替えて今は女子の方を向こう。

「……正直、強い弱いに関しては、私にはわかりませんわ。
 でも、とりあえず、監視はされると思っておきますわ。」

 監視とかなんとか、竜は強い、それは一般的常識的なものである。
 そして、少女は、竜となり力を持ったが、その行使の方法がわからない、物理的に強くなった体は、疲れなくなっていいな、重い荷物が楽に持てるな程度の感覚。
 魔術師の彼女から見れば、溢れんばかりの魔力が無駄になっていると言っていいような少女だ。
 その辺の町娘Aでしかないのだ、こんな状態でも。
 正直に伝えられても、誰がそれに引っかかるのか、引っかからないのかがわからないので、監視されるもの、と思ったほうがいいだろう。

「……ミリーディア様、他に、何か話しておくべきことはありますか?
 酒造からの運搬、ドラゴン急便に関しても、先ほどの竜の件で関連がありましたし、話がついたと認識させていただいてますが。
 補足事項、不足分あれば、今のうちに詰めたく思いますわ。」

 改めて向き直る女史。
 まだ、全てが終わったわけではないし、あるのならば、今、全て終わらせておきたいものであるから。
 少女も居住まいを正して問いかける。

ミリーディア > 確か彼女は純粋な商人だった筈だが理解いているのが疑問の浮かびそうな反応が見て取れた。
握ったら帰れる、柔軟性の高い感じから力を込めて握れば特定の位置に転移されるのだろうと予想はするが。
識別の力を使えば済む話だが、実は知っていたりすると悪いので此の場では黙っておこう。

「……成る程、リス君自身は他の者達の様に異常な成長は見られない訳か。
儂としては其れが普通なのだと思っていたのだがね、外来種は少し違うらしい。
監視に関してはそう強く意識はしてなくて良いさ。
何か在ったかと思った時に視る以外は本当に位置しか分からんのだからね。
誰しも見られたくない事の一つや二つは存在するもの、と」

そう、此の少女は元は人間。
力を持っていきなり其れを自由に行使出来る方がおかしい。
とは云え持つ力が暴走する可能性を生み出すのも在る。
望むなら少しは其れは教るべきか、と思考を巡らせて。

「儂としては、人の国の足元で活動する竜と対等の立場での契りを得ただけで十分だ。
人間としての面子なんてもの、其の程度で十分立つものだろう?
此の話を付けたかったのは上の連中が五月蝿かったから、只其れだけだからね。
逆に聞くが、君達からは何か在るかね?
立場上で魔法や魔導機械に関しては聞ける、珍しい出張場だ」

元々は其れが原因なのだ、話を何れ付け様としたのは。
其れが終われば後は契約書為りを叩き付けるだけ、事は済んだ。
と為れば今度は此方から聞いてみよう。
既に場には居ない相手に依れば何か在りそうな話を聞いたから。

リス > 純粋な商人でも、魔法の道具というものは、取り扱いが少ないものである。
 量産品だとしても、一定以上の高値になるし、少女が経営しているのは、そういった魔法の品が希少な店。
 急に魔法の道具を渡されても――――鑑定するには理解しないといけない。
 商人だからと道具を何もかも知っているわけではないのだ。
 そして、識別の力が使えれば使っている。持っていても、使えないのである。
 魔力があるということはわかる位なのだ。

「アッシェが言うには、人間よりはるかに強くなっているとの事だけれど。
 私は、喧嘩とかさっぱりだし、魔力と言われても判らないの。
 アッシェに一応、姿を変える魔法だけ教わりましたけれど、気合だ、としか教えてくれないし。
 外来種……?
 意識しないでいいなら、それは嬉しいです。」

 力の使い方もわからない、頑張って、翼と尻尾と角を隠すことには成功してるけれど。
 それ以外の魔法は使えない。使い方さえ、気合だという言い方で理論もなにもないので。
 その程度の認識しか持っていないのである。

「まあ、ちゃんと話を通してしまえば、大体の事は通りますわね。
 貴族様には、お金を払わないと、というところは多々ありますが。
 では、あとは、今の話を書面にして、お互いに持つくらいですね。

 魔法、とかに関しては長女と次女が詳しく知りたいぐらいでしょうし……。

 これの使い方、教えてください。」

 にぎにぎ珠、使い方。
 魔法の権威に聞くには、とても、とても情けない質問でした。

 それを聞きながらも、少女は二枚の紙を取り出す。
 悪魔の契約に使える、由緒正しい羊皮紙。
 基本的には、金を貸すときに、踏み倒しを防止する為に使うそれ。
 その魔力の篭る紙に、少女は先程決めた内容をそれぞれ書き込み、一枚を差し出す。
 問題がなければ、サインをしますわ、と。