2018/11/15 のログ
ご案内:「魔族の国」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 魔族の国は途轍もなく広い……それは、一人で歩いて旅をしている体感でしかないのだろうが、広い。
 任務を得て、仮面の兵士は一人魔族の国の中を歩きまわる。
 地図もなく、方角を知るには太陽と星の動きからのみで、村があるがそこは敵地であり、其処に安息などはない。
 今日も昼間の間に距離を稼ぎ、自分で作った地図を見て動く。
 何ヶ月もいれば手書きの地図でもそれなりのものは作ることが出来る。何枚も何枚も色々な紙で作り上げた地図は、バックパックの中に。
 この辺はまだ荒野、一番近くの町も、もう少し行かないといけないのだろう。
 今回は、街にまで歩いて行き、そこを起点にその周囲に探索範囲を広げていこう。
 基本的には街や村などを起点に周囲を歩いて地理を確認して書き込んでいくという形。
 明かり等に関しては、仮面が周囲の状況を確認させてくれるから問題はない。
 ぐるり、と周囲を確認するように見回す。
 今のところ視界には、山など、広々とした平原しかないし、ほかに誰かが居ないことを確認してから、歩き始める。

 ―――未だに、目的のものは見つからず、じわりと心の奥に滲む焦燥

ゼロ > ―――息を吐き出し、頭を振る。焦燥に駆られても良い事はない。時間制限がある訳ではないし、期間を決められたわけでもない。
 只々、いつまで経っても足跡のあの字すら見つけられていないからでしかないのだろう。
 初めての任務ということもあるのだ、少年は気持ちを切り替えるために思考を這わせる。
 一人で魔族の国の中を歩き回り、偵察をしているのだ、どうしても効率は悪くなるバックアップとしては、タナール砦に戻った時の補給ぐらいなものだ。
 情報的なものは全て自分が砦に戻った時に報告するもの。
 人員が自分しかいなければ国を歩くにしても時間はかかろう、仕方がないことなのだろう。
 とはいえ、それに甘える事もあるまい。
 とりあえず、焦る必要はないと息を吐き出し気持ちを切り替える。

 一度立ち止まり、周囲を確認することにした。
 自分の手元の地図と確認する、この辺に目標の街の目印となる岩が…あった。
 ならば、そう遠くはないだろう、空を見上げ、方角を確認し、軽く微調整をして歩き始める。
 街についたら当然、迂回して別の場所を歩いて探索する必要があるな、と考える。

ゼロ > しばらく歩いていれば、魔族の作り上げた街が見えてくる。いつ見ても、奇怪な作りをしていると言わざるを得ない。
 魔族の感覚は自分たちには分かるものではないので、そういうものだと考えを止める事にする。
 そういう事を考えるのは学者とか研究者とかでいいのだ、今自分に必要なことは任務を遂行すること、それにまつわる為のあれこれだ。
 例えば、この街は、どこから侵入すれば見つかりにくいかとか、どういうふうに壊せばいいのか、とかそういう方面である。
 具体的に言えば壊す必要はないので、蛇足的な考えでしかないのだけれども。

 閑話休題

 思考を切り替えて、今回はこの街を起点にしていろいろ探索する事にする。
 先ずは、国の方に近くなる南の方面に行ってみよう。
 国に戻るわけではない、国に近いところに前線基地―――我らで言うタナール砦のような場所があってもいいはずだ。
 少年は、南の方へと、街を背にして歩き始める。
 夜に動く理由は、少年の全身は鎧に包まれていて昼間は特に目立つからである。
 夜なら、昼間に比べて見つかりにくいだろう、というところ。

 ざく、ざくと、地面を踏みしめ少年は南に進みはじめる。

ゼロ > 仮面の兵士は進む、今日も一人で見つかるかどうかも判らぬモノ探す。
 ざくざく、と進む足は明かりから遠ざかり闇夜に紛れ込んでいく……幾ら銀の鎧とて反射するべき光がなければ反射はしない。
 その方角にあるのは山であり、森であり、魔族でさえ住処として設定のしていない場所である。
 未知の領域に移動する不安は―――ない。今さらのことである。

 何があっても、自分一人の力でなんとかしなければならないのだ。
 それならば、自分の出来ることをやるしかない。
 逃走さえも選択肢のうち一つなのだから。

 少年は、仮面の下で周囲を確認し、そして――――闇の中消えていく

ご案内:「魔族の国」からゼロさんが去りました。