2018/10/31 のログ
ご案内:「魔族の国」にゼロさんが現れました。
ゼロ > タナール砦で補給を済ませたあと、少年は再度魔族の国の中に足を運んでいた。
 と言うより、補給以外では魔族の国にしかいないというのがいま現状では正しいのであろう。
 任務があり、それが解除されない限りそれに従うのは兵士の務めであるのだから。
 バックパックには大量の紙と食料、そして、筆記用具。
 情報が足りない分は足で稼ぐ必要があるゆえに、少年は魔族の国の中を歩き回る。
 この国は広大であり、何回も移動を繰り返さねばなるまい。
 今はまず、行ったことのない場所に行くために歩みを進める。
 このあたりは、なんども通っている場所ゆえに魔族からの襲撃を警戒しつつ、通り過ぎることにしよう。

ゼロ > 少年の進む足は、驚くほど早い。全身鎧に、背中に荷物が満タンのバックパックを背負っているというのに、それは並の馬が全力で移動をしているよりも早いのだ。
 そして、本人としては全力には程遠く、軽く走っている程度なのである。
 それもこれも、少年はそう言う風に作り替えられているから、なのである。
 生まれ故郷ではない、別の国で作り変えられた後、逃走、そして、この国に流れ着いた。
 対軍兵器として作り上げられたこの、体のポテンシャルは並の人間と比較できず、故に少年は軍に入っている。

 ――――そう思うと、皮肉なのかもな、と少年は思う。

 改造された国で軍から逃げて。
 そして、別の国で軍人に――――兵士になっている自分。
 結局軍というものに所属しているのだ、向こうの国でも、この国でもなんの違いがあるというのだろうか。
 苦い笑みがこぼれ、気を取り直すように仮面の下の表情を引き締める。
 一層足に力を込め、少年は魔族の国の奥地を目指し、駆ける。

ゼロ > 流れるように景色が後ろに引いていく、風が前面から押し返してくるようにも思える。
 仮面のおかげで風や砂が目に入らぬことをいいことに、少年は駆け抜ける。
 補給に関してはそこまで気にすることはない、今はまだ食料も何もかもが足りている。
 それならば、休憩を除けば止まる理由はない。
 最初の目的地は、魔族の国でも手前のところにある村だ。
 別に休憩に立ち寄るのではなく、その場所を指針として別の場所に向かうつもりなのである。
 この速度ならば、一時間もせずに到着することができるだろう。

 少年は、ぐんぐんと速度を上げて、国の中を走る。

ゼロ > 「………有った。」

 少年は、目的の場所を見つけた。魔族の国の中にある一つの村、此処は比較的にタナール砦に近いので見つけやすいのだ。
 なかにいるのは全て魔族なので、近寄ることはしないが、あそこを目標地点として次の場所に行く。
 そういう意味では便利な村である、それに、帰りがけにこっそり侵入して食料を奪ったりすることもした。
 少年にとっては、そんな場所なのである。

 さて、と視線を動かして今回は東に向かうことにしよう。
 東の奥地に向かい、探してみよう、と

 少年は、村を避けるように大きく回って走り出し、そのまま見えなくなっていく――――

ご案内:「魔族の国」からゼロさんが去りました。