2018/10/03 のログ
ご案内:「魔族の国」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 魔族の国の一地方。マグメールから見れば、可也の奥地に来ているのであろう場所。
 白銀の鎧を身にまとっている少年は、一人とある村の中を―――手近な一軒の家の中を歩いている。
 その村は恐ろしい程に静まり返っていて、人の気配は一切ない、魔族の気配もなかったからである。
 念のために魔力の痕跡などを確認しても……特に魔力の気配もない。
 一体どう言うことなのだろうかと、首をかしげても良くわからず、建物に関しては……どれもこれも非常に綺麗であるのだ。
 たった今まで、そこに誰かが過ごしていたと言われても信用してしまうぐらいに綺麗な場所は、中に入ってみても確かにそう感じさせる。
 まず、床に埃が積もっていない、家にある戸棚、竈、ベッド……どれをとっても、綺麗になっている。
 保存庫らしき場所に立ち入ってみたが、新鮮な食料が置いてある。

「……一体、どういうことだ?」

 少年は首を傾ぐ。
 魔族の国ゆえに、自分らの常識が通用しない場所だとは思うが、こうも不思議な村を見ると、悩まざるを得ない。
 誰かが住んでいたとして、なぜ、誰もいないのか。
 立ち退くにしても、家財道具などは持って行ってもいいと思われる。
 少年は仮面の下で眉根を潜め、現在いる部屋を散策する。
 地下通路、とかそう言った何かがあるのだろうか、と床を叩いてみたりするも、空間のあるような気配はなくて。

ゼロ > 床を叩いてみたり、壁を叩いたりしても……良く判らない。
 正直に言えば、大雑把でしかない。そういった訓練をしっかりと受けているわけではないのだから。
 これが、本職や熟練の斥候であれば……おそらく小さな差異などにも気が付けるのであろうけれど。
 偵察兵の仕事として言うなれば、作戦地域の情報や、敵の情報を調べる事である。
 高いった建物の探索や地形地域の細かい探索や、込み入った地域の情報、地域調査は、専門外と言っていいのである。
 それに、偵察兵として任命されてから、訓練なく此処に飛ばされたので、それこそ……基本的な役割だけを聞いたあと、実地に放置されているようなもので、手探り状態なのである。

 こういう時、どういうふうに調べればいいのかなんてノウハウ、当然無い。
 とりあえず、村をもう少し歩き回り、調べてみよう。
 もし、誰かいるのであれば、会話ができるのであれば聞いてみるのもいいかも知れない。
 そのあとどうするかは、相手次第にはなってくるが。
 とりあえずの方針を固め、少年はその家から、一度出ることにする。

ゼロ > 家を出た、周囲を見回すが、どの家も明かりは付いていない、しかして、建物はどれもこれも綺麗である。
 少年は、軽く息を吐き出して村の中を歩き、村の中央部にある井戸にまでやってくる。
 井戸も手入れされていて、特に汚れが見当たるわけでもなく、水を汲む桶も、それを垂らすための滑車も、ロープも問題がないぐらいに綺麗である。
 試しに井戸に桶を落としてみると、じゃぶん、と水の音がする。
 引き上げてみれば、桶に一杯水が汲まれていて、見る限り変な色も匂いもしない。
 とはいえ、こんな奇妙な村の水を飲む気もしないので、桶はそのままにすることにした。
 井戸から視線を離し、一番大きな家に顔を向ける。
 おそらく、あそこが村長とか、偉い人の家なのであろうとアタリをつけて少年は、歩き始める。
 考えてみれば、そういう場所なら、なにかの情報があるかもしれないと思ったからである。

ゼロ > 大きな家に入る、扉には鍵が掛かってはおらず、そして、ここも……気配や、魔力など、何かが居るような雰囲気ではなく、家の中は綺麗に整頓されている。
 今は入口ではあるのだけれど、どこも風化や劣化は見受けられず、掃除したばかりとも言える印象。
 ふむ、と首を傾いではみるものの、警戒しながら歩き始める。
 隠密するには、全身の鎧が音を立ててしまうので諦めながら、進むことにする。
 廊下を通り……その先にある重厚な扉、手をかけてみても特に鍵はかかっていない。
 仮面を通してみた視線にも、魔力の痕跡はなく、誰も居なさそうである。
 故に、少年は扉を開いて中を改める、光のない空間であっても、少年の仮面は闇を見通すので、昼間と同じように見える。
 そこはどうやら、書斎のようである。書架には沢山の本が並び、木製の大きな机の上には開いた状態の本が一冊。
 やはり、誰もいないみたいで、視線を右に左に彷徨わせつつ、部屋の中に入っていく。
 ここにある本に、なにか情報があるのではないか、と思ったから、であった。

ゼロ > 少年は、書庫に踏み込んで……扉を閉める。
 理由としては、開いていても閉じていても少年からすれば、探知は可能であるからで。
 探知が可能であれば、相手ができなければ優位に立てるし、そうでなくても扉を壊す時間が発生する。
 戦うにしろ、逃げるにしろ時間を稼ぐことが出来るから、である。
 転移とかでやってきた場合はその時は諦めるしかないだろう、レアケースであると考える。
 とりあえず、まずは日記のようなものがあるか。周囲の地図のようなものがあるか、を探ることにする。

 少年は、そのまま書庫で本を漁ることにするのだろう。
 この村の秘密がわかったかどうかは、また別の場所、別の時に語られるのかも、しれない――――。

ご案内:「魔族の国」からゼロさんが去りました。