2018/07/20 のログ
ご案内:「魔族の国 大図書館」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 魔族の国の中央辺り、其の地中深くに位置する場所。
其処には一部を除き誰でも立ち入りを許された大図書館が存在する。
地上に設置された転移の魔法陣を渡り、少女は久方振りの牙城を目の前にしていた。

目的は前に起こった騒動を纏めた資料の確認だ。
手にした小さな箱に一度目を移し、ゆっくりとした足取りで開かれた侭の扉を抜けて行く。
入って少しばかり進めば、一人の男が自分に気付いたか恭しく礼をする。
あの一件で終始現場に潜み続け資料を纏め上げた男だ。

『お待ちしておりました、メフィストフェレス様。
準備は出来ていますが…如何致しましょうか?
皆を呼んでおきますか?』
「そうしてくれ、美味しいケーキを土産に持って来た」

直ぐに資料を調べる事はしないだろう。
其れを理解しているのか、そう聞いてくる男に少女は答える。
其の答えを聞いて男は一度其の場を離れた。
男の後姿を見詰め乍、端の方に見える空いた席へと移動をすれば腰を下ろす。

ミリーディア > 小箱からケーキを取り出し同じく準備してきた紙皿へと乗せてフォークを添える。
此処は図書館と称してはいるが飲食等は禁止されていない。
他何かする時に本や資料は席へと置かなければ良いと決められているのだ。
自分の分も含めて三人分を準備した処で、先程の男が同じ姿をした二人の少女と青年を連れて戻って来た。
一番後ろを付いて来る様にやってきた姿は同じでも白のカチューシャを付けた少女が紅茶の注がれたカップを乗せたトレイを両手に持って来ているのが見える。

『資料は別室に、団長に伝えてありますので後にでも御確認下さい。
其れでは私は仕事に戻りますので、どうぞごゆっくりと』

深々と頭を下げ、後から来る三人と入れ替わりに姿を消した。

「相変わらずだな、もう少しゆっくりとしていけば良いのに」
『イグリスはまじめだから!其れよりも、ケーキケーキ!』

先頭を歩いて来たもう片方の黒のカチューシャを付けた少女が元気よく前の席に座る。

『お、お姉ちゃん…もう少し……その、静かに…
……あ、これ、イグリス様が…紅茶です、どうぞ』

後に続き、白の少女がトレイから紅茶を人数分席へと並べてから続いて座る。
其の様子を苦笑を浮かべ乍、青年が残る席へと座って。

「君達も変わらないな、賑やかで良い事だ。
……君は大変そうだがね」

全員は揃っていないが、集まった面々を見ながらそう言葉を。
視線と共に最後に青年へと向けて。

ミリーディア > ケーキに集中している少女二人を余所に、自分もケーキに手を付け乍も視線は青年に向いた侭だ。

「此方の事が気に為るのだろう、アルダー君?
現状はあれから今の処は大きく変わっていない…今の処はね。
君としてはミレー族達の事が気に為るのだろうが、此ればかりは仕方ないさ」
『そうですか…申し訳在りません、無駄に手間を掛けさせてしまって』

テーブルに両手を置き、主である自分の言葉に耳を傾ける青年。
其の表情は大きく変わらないものの僅かな心の乱れは感じ取れている。
此れも仕方ないだろう、彼の過去においてミレー族は少なからず大きな存在だったのだから。
其の言葉を心配そうにチラチラと見る白の少女。
ケーキに完全に集中し気にした様子を見せぬ対照的な黒の少女。
チラリと黒の少女に目を向け、此れくらい物事を気にせず生きた方が楽なのだが、そう考えてしまう。

後で相手をしてやるからと、ケーキを食べ終えた後に少女達を一度戻らせる。
因みにトレイに紙皿やフォークを乗せて片付けたのは白の少女だ。
そうして、其の場には少女と青年が残された。

ミリーディア > 「人間と云うのは面白いものだよ。
君達の様に邪神をも打ち破る力を発揮する時代も在れば、盟約を違えミレー族達を裏切り主神に見限られたりもする。
次の相手は魔族や魔王か、果たしてどんな結果が生み出されるのだろう?」

クックッと喉で笑い青年に言葉を向ける。
青年は複雑そうな表情を浮かべた侭で其れに答える事は出来なかった。

「さて、そろそろ資料を確かめないといけないか。
案内を頼めるかね?」
『……分かりました、此方です』

其の言葉を合図に二人は立ち上がり、其の場を後に別室へと姿を消していった。

ご案内:「魔族の国 大図書館」からミリーディアさんが去りました。