2018/07/18 のログ
紅月 > 「……、…ん?
あれっ、血の匂い…それも新鮮なヤツだ」

そのまま何となしに歩いていれば気配と、ふわりと香る血臭。
怪我した魔獣でもいるのか、と、探し歩いてみることに。

「……おー…こりゃまた、別嬪さん」

気配を辿って森を分け入れば、そこに横たわるのは魔獣ではなく…幻獣。
翼を持った馬、つまり天馬と呼ばれる類いの其れ…角がないからペガサスの方だ。

「やれ、ユニコーンの方じゃなくてよかったわ…あぁ、大丈夫大丈夫、酷いことは何もしないよ!」

もがく天馬に思わず苦笑する。
ちなみにユニコーンだった場合…処女以外が近付くと超怒る、し、超暴れる。
仮に生け捕った場合でもブチギレて自害するらしいから、もはや怖いの一言である…ただし馬刺しにしたら美味しかったです。

ご案内:「魔族の国 暗き森」に紅月さんが現れました。
紅月 > 【こんばんは、私は偶然通りかかった旅人です。
怪我、見せてくれないかな?
偶然とはいえ…やっぱり、心配だからね】

警戒を解いて貰うためにも、彼らの言葉で語りかけてみる。
にこやかに、穏やかにゆっくりと近付いて。

【……、…ヒトの言葉で構わない。
…魔獣にやられただけだ、問題ない。去れ。】

天馬はやはり警戒しているが、会話が出来るぶん、あからさまな敵意は仕舞ってくれた。
ホッと一息…けれど、辺りにはいまだ強い血臭が漂っている。
今去ったら間違いなく、この子は誰かの晩御飯だろう。

「ありがとう、じゃあ普通に話すね?
…って、強がる暇があったら移動を……脚、やられたのか」

【……、…】

天馬は答えない…それこそ、私よりよほど『まずい状況だ』と理解してるんだろう。
だったら、なおのこと。

「ほら見せて…時間無いの、わかるでしょ。
…深いな、やっぱり探しに来てみて良かった」

怪我の様子を見ると、中々に惨い…馬にとって脚は命だというのに。
よく見れば翼もやられている…これは獣系の群れにやられたか。
強く強く祷りを捧げ、治癒の魔法をかける。
まずは脚の血管の再生…筋繊維や神経、表皮の復元。
脚が終われば翼、肩や胴の傷も深い順に片付けて。

「よし、これで完璧…立ってみて、もう大丈夫だから」

優しく胴を撫でて語りかける。
この子が逃げたら私も此処を離れた方がいいかもしれない…いやまぁ、いっそ一暴れしてもいいんだが。

紅月 > 少しふらついて…けれどもすぐ力強く立ってみせる天馬の、なんと凛々しい事か。

【…何故助けた】

「怪我してたから」

【……そうではなく、だ「私にとってはその程度」…そうか】

ごく普通の事のように宣う紅髪と、目の前の常識外れに困惑する天馬。
もしこの天馬が人間だったなら『訳がわからない』と言いたげな表情をしたに違いない。

やった、押し切った!
…微妙な声色と表情をされたけど気にしない。
魔界で人(馬)助けされるなんて珍事件かもしれないけど、他人様の好意は受け取っとくモンだよ?
紅髪は、何だか満足げで…得意げだ。

紅月 > 「さ、お行き?
紅も此処を離れます故…」

もう一度天馬の胴を撫で、ついでに清浄魔法をかけてやる。
羽根が傷付きボロボロだった翼は美しく艶めき、血塗れだった身体は美しい毛並みを取り戻して…額の傷だけは古いものらしく時間がないから治せなかったが、やはり別嬪だなぁ、なんて改めて思ったり。

けれど…何故か、飛び立つ様子がない。
いやぁ私としてはこんな珍しく眼福な出会いが長引くなら大歓迎だけれど、やはり再び怪我させてしまうかもしれないのは気が引け…何とも言えない心境だ。

【……、…乗れ】

「…へ?…っあの、いいの?」

【時間がないと言ったのは貴様だろう、早くしろ】

「……っ、うん!!」

まさかのせて乗せてもらう事が出来るとは…嬉々として天馬に跨がる。
当人は大層ご機嫌なのだが、天馬は背に乗る紅月に何処か呆れた様子。

【…本当に、気にしないんだなお前は。
少しは気味悪がってもいいんだぞ】

「何で?
『多翼な漆黒天馬』なんて、超カッコイイじゃん」

ケラケラと笑いながら、楽しげに言って…今度は馬上から天馬のたてがみを撫でる。

紅月 > ようやっと
『コイツは何を言っても無駄なんだな?』
と気付いたらしい天馬は、溜め息代わりにひとつ嘶いて空へと駆け出す。

広い広い魔の空を越え、国境である山を越え…月明かりにただ照されながら、二人の影は夜に消えた。

ご案内:「魔族の国 暗き森」から紅月さんが去りました。
ご案内:「魔族の国」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 夜闇に紛れて、魔族の地を駆ける存在が一人。
 それは白く無貌の仮面を身につけて首筋をスカーフで巻いている、全身鎧を身に纏っていた。
 露出しているのは後頭部のみであり、その後頭部には、黒く短い髪の毛。
 性別とか示すものは何もない彼は、ただ、その腕に王国軍第七師団を示す腕章をつけていた。
 偵察任務を受けて、情報を探りながら魔族の国を徘徊している少年は、次の目的地である地域に向けて歩いていた。

 目的とは。
 1、魔族の軍翼のある獣に関しての情報。
 2、先日出会った戦闘時における妨害を行った何者かの調査。

 の二つである。
 一つ目は名前は判明しているので探しやすいが、常に移動しているのか遭遇できない。
 二つ目は、名前さえも判らない、拠点として図書館というキーワードは手に入れたが、それだけである。

 まったく以て、偵察とは厳しいものである。
 せめて何がしかの情報を手に入れなければ、国に戻ることも侭ならぬ。
 どうしたものか、と少年はこぼしつつも足は止まらない。
 任務遂行以外に、道はないのだと解っているから。

ゼロ > ただ、問題点としては、地図も地理もないものなので、自分の現在地がどのあたりか、が詳しく分からないということである。
 一応、周囲などを細かく眺めたり星を眺めたりして方角は把握できる。
 ある程度、簡易な地図を作ってもいるけれど、それは、つぶさに歩いているわけではないので、正しいかどうかで言われるとちょっと反応に困る。
 自分の行く先に、街だのなんだの、があれば良いのだけれど、それがあるかは。自信がない。
 魔族でも見つけて、何時ものように殴り倒してでも情報を奪うしかないだろう。
 魔族にもいろいろいるし、会話でも行けるのがあれば、殴り倒さねば情報をもらえないのもいる。
 後者が圧倒的多いのだけれど、まあ、それはそれで。

 結局、目的が果たせればどれでもいい。
 最初から敵対してるのだから魔族の心象なんて考える必要がないのだ。
 とりあえず、だ。
 今は歩くのみ、ということでしかない。

ゼロ > 一度立ち止まってから夜空を見上げると、満点の星空であるので少年は自分の向かう方角を決めることにする。
 北にするか、南にするか、西にするか、東にするか。
 マグメール、タナール砦は南にあるはずなので、それならば、北のほうがいいか。
 奥に行けば奥に行くほど危険は上がるだろう、逆に言えば情報収集しやすいのではないだろうか。
 そう考えたから、少年は北へ進路を取ることにする。
 星を眺め、方角に間違いがないか確認をしてから、歩き始める。

 魔族の街が見つかるといいな、という希望を持って。

ご案内:「魔族の国」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーばさっ、ばさっ、しゃら…

それを見付けたのは、本当に…偶然だった。
昨夜出会った黒天馬と月夜の空中散歩、その最中…何となく地上を見れば、鎧。
「……えっ、なんで鎧」
と、思わず呟きつつに二度見…それだけなら良かったというか、見なかった事にも出来た。
…問題なのは、その甲冑に見覚えがあったからで…それを最後に見たのがマグメール王城だからだった。

「…あれって、城の夜回りさんじゃん。
見ないと思ったら…なんで、魔族の土地に」

天馬に跨がったまま、唖然呆然とばかりに呟く。
声をかけるべきか…迷子だったら大変だし、拐われたなら連れ帰ってやる事もできる。
しかし、さすがに普段着で話し掛けるのは…今後の生活に重大な差し障りが出かねない。
…やむ無しと、変装することに。

多少外見が常識離れしていたって、角や耳出してれば『魔族だから』で済むはず…そのくらい、マグメール人は魔族というものを知らない印象がある。
…ので、面で顔を隠し、どこぞの古代衣装を参考に一枚布を手早く着付け。
天馬に合図をおくれば少年に上空から近付きつつ、まずは親しげに声をかけてみる。

「…やぁ、いい夜だね。君も散歩かい?」

ゼロ > 「――――!」

 仮面に反応、高濃度の魔力が発生する、その方角……上方向、星空を見上げていたがゆえにその方向に視線をすぐに向けることになる。
 そこには、天馬にまたがる魔族が一体。
 幻獣に乗る魔族等とは……アレが翼ある獣の一団なのだろうか、それとも別の存在、なのだろうか。

 答えがでない。
 撃ち落とそうか、そう思って背中にある槍に手を伸ばすものの向こうから下りてくる。

「――――」

 気安く言葉を放って来る魔族。
 少年は仮面の下から、仮面をつけた魔族を見上げている。
 軍属には見えないが……魔族というものはどういう軍を作り上げているのかとも思う。
 とりあえず、敵意は今のところ見えない、今は友好的に対応することにする。

「散歩、というよりも旅、というところ……かな。
 こんな所、散歩するには開けすぎてると思う。」

 少年は、槍を背中に戻しながら、軽く肩をすくめてみせる。

紅月 > 「はははっ、そりゃあそうだ!」

言われてみれば、といった風に、赤い梟面から出ている口許でカラカラと笑ってみせる。

…ふむ、自分の意思で来たのか。
天馬に地上に降りてもらい、ト、っと地に足をつく。

「ふぅん、重く小回りの効きにくいフルプレートで旅を、ね…魔族同士なら酔狂だと笑う所なんだけどな、うん。
……あー、一応訊くんだが…人間族、だよな?」

天馬を一度撫でて、鎧の人物へと振り返る。
ポリポリ、困ったように頬を掻いて…
「ヒトが旅するには危なすぎるんじゃないかな、此処は」
と、付けたそう。

…少なくとも、声にも仕草にも本心にも害意は無いし、武器も所持していない。
その上、片手は頬で片手は腰…争う気配がない事は伝わる、といいな。

ゼロ > 「だからこそ、フルプレート、だ。
 危険なところを旅をする、隠密の能力は持ってない、それなら防御力を優先するもんじゃないか。」

 仮面の頬を掻く様相手の言葉に、少年は気軽に言い放つことにする。
 魔族の普通は知らないので、人間の常識ってやつである。
 そして、なんで魔族かどうか聞かれるのだろう、純度100%人間なのに。
 少年は仮面の下で目を細め、軽く息を吐く。

「危険だからと帰るわけには行かなくてね。
 それに、危険は承知でいるから問題はないさ。」

 危険に尻込みしていては、冒険もなにもあったものじゃないとも付け加えておこうか。
 もう一度、目の前の仮面を上から下まで眺める。
 珍妙すぎるとしか思えない、なんだろうこの服。魔族の一般的な服なのだろうか。
 それとも、目の前のセンスなのだろうか。

「そうえば、危険と言われて思い出したけど。
 翼ある獣という魔族の軍に関して何か知ってるかな?
 一人歩きでそういう軍にであったら、本気でまずいだろうし?」

 魔族ならば、何か知っているだろうか、少年は問いかけてみることにする。