2018/05/30 のログ
ご案内:「魔族の国/暗き森」に紅月/コウゲツさんが現れました。
紅月/コウゲツ > ーーーからころ、からころ、ふよふよ。

太古の森のような樹海の中、鬼火がその身の周囲を照らす。
毒々しい色の見慣れぬ植物、見たことのないキノコ…時には瘴気の霧さえ点在している此所は、魔族の国の中。

そう、紅鬼は今、魔族領内で絶賛迷子中である。

「…もうね?
妖精さん達のイタズラ自体は慣れてるのよ。
…訳わからん所に放置は勘弁してくんないかな、ホントに」

立ち止まり、空を仰いでぼやく。
と、言っても…原生林の真っ只中、空など見えよう筈もなく。

カクリ、そのまま脱力するように項垂れる。

紅月/コウゲツ > 「紅は知っておりまする。
無茶振りして反応見て、飽きた頃に元の場所近くに雑に返されるって。
それか、自力で帰れそうな所までまた飛ばされて放置だって。
…嗚呼、やるせない」

仕方ないから、からころ歩く。
何処か遠くを見るような目で、誰にともなく愚痴りつつ…からころ歩く。

「とりあえず、マグメールじゃないね…こんな状態の場所の話なんて聞いたことないし。
瘴気わいてる所を見るに、魔族領内かシェンヤンの妖仙とかがいる辺りの、どっちかかな」

不可思議な植物達を眺めながら呟く。

紅月/コウゲツ > 「…いっそ大型魔獣でも出ようモンなら肉捌いて飯作るのに」

砦の様子を見に行くつもりであったから、戦場版の平常時フル装備。
心のモヤモヤも相俟って、今ならちょっとした殺戮も楽しめる気がする。
元々、闘うの自体は結構好きだし。

…けれども、残念ながら今は大して害のない鳥型魔獣や小型魔獣くらいしか見ない訳で。

「もう、大地を読むか植物に訊くかした方が早いかねぇ…」

からころ、からころ…独り言つ。

紅月/コウゲツ > 暫し歩くと…何だか開けた場所に出た。
開けたというか、おそらく開けざるをえなかったというか。
そこには鮮やかな赤い花が咲いている。

「…イグニスリーリウムって群生するんだ。
ふはー、壮観」

イグニスリーリウム…別名、火葬花。
非常に禍々しく美しい血色の百合で、取り扱いの難しい希少植物…だったはず、なんだけど。

「さっすが闇色の森、ダークネスはお家芸。
…丁度イイや、休んでこ」

さて、何故この花が取扱注意なのかと言えば…
『魂を持つ者が触れると発火するから』
である。
そう、それはもう高温で跡形も残らぬ程に。
そうして亡骸を土へと還し、魂を喰らい養分とする魔性の植物…故に、火葬花。

…なの、だが。

「あー…やっぱり天然の炎は心地いいわぁ~……
香りもいいし、安らぐー………」

炎の絨毯に寝転んで、実に幸せそうな顔。
確かに花である故、百合のような甘い芳香は漂っているが。
本人どころか着物すらも燃えてはいない。
残念ながら、この女にとって炎はむしろオヤツのようなモノだった。
違った意味で安らかになっている様子。

紅月/コウゲツ > 「折角だし、採取してくかー…
…ふふっ、花束にして渡したら、ワール驚くかな?
や、むしろさすがにドン引かれるかな…」

薬学や錬金術なんかのギルドに売ったらイイ金額したと思うし、それで何かプレゼントでも買った方が喜ぶかしら。
否、しかし…うぅむ。

「…とりあえず持って帰ってからでいいか」

うむうむ、きっとそれがいい。
ゴロゴロとだらしなく寝転びながら呟く。

さぁさぁ、森でお花詰みしましょうか。

紅月/コウゲツ > ぷつん、ぷつん…すんごい勢いで燃え盛る花をほくほくした笑顔で摘んでいく。
特に、咲く手前の蕾の状態のものを優先してヒョイヒョイと。
摘まれたそれは徐々に火が小さくなってゆき…耐火性のある、美しい生花となる。

血のような赤黒い百合…それも火葬という別名のついた花なんてだいぶ好みが分かれそうだが、まぁ彼なら大丈夫だろう。
あぁ…花そのものを加工して髪飾りを作るのもいいかもしれない。
アルの瞳と同じ赤、黒髪にきっと映える。

ぷつん、ぷつん…嗚呼、楽しみがまた増えた。

紅月/コウゲツ > 花も摘み終え、一息。

もう少し炎に撫でられる感触を楽しんで、そしたらまたあてもなく散策してみようか。
何があるかわからないけど、それもまた楽し。

さぁ、もうひとごろごろ…

花の中、炎の中、うとうと…ゆっくり、紅月の意識は穏やかな眠りの中へと。

ご案内:「魔族の国/暗き森」から紅月/コウゲツさんが去りました。