2017/05/14 のログ
ご案内:「魔族の国 辺境の集落」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 多種多様な種族が集まり、魔族を襲う人間や、魔族間の紛争から身を潜める。そのための集落……あるいは、寄り合い所とも言えるかも知れぬ場所。
男は、その場所で以前同様、炊き出しを行い……。そうして、無事に食料を配り終え、一息ついていた。

「……すまねぇなぁ。オレにもそっと金があれば、良い物食わせられるんだけどよぉ」

集落の代表である老いた人狼にそう告げる男。その代表は、恐縮するかのように頭を下げるばかりだ。
男は近くで遊ぶ子供たちに、懐から菓子を渡す。

「……結局。人も魔族も変わらない、か」

争い、奪い、蹂躙する。人間の世界でも、魔族の世界でも飽きるほど見た光景だ。

自分は、どちら側にいるべきなのか。考えても結論の出ないことを考えて考えて考え続けながら。男は細巻きを咥えた。

ご案内:「魔族の国 辺境の集落」にアッシェさんが現れました。
アッシェ > その集落の中にいつの間にか いつからいたのだろう 魔族のとある子供に化けている存在がいる。
炊き出しに参加し 同じような?魔族の子供と一緒に食事をして、魔族の子供たちに交じって、
マジで?遊んでいるという始末。魔族か?おまえと化けているのが解けると疑問を持たれる存在だが、
いる時点で問題ないと判断されて今に至る。

ちらっと炊き出しお兄さんのセインの事を見た―と途端に、魔族の少年からボールが投げつけられ、
見事にヒットし…ばたんと倒れる一応魔族の幼女に化けている存在。

「きゅう」

ボールを投げて当ててしまった少年たちによって 邪魔にならない位置に運ばれた存在。

セイン=ディバン > 魔界産、剃刀草の良いところだけを使った細巻き。燻らせれば、実に芳醇な……苦味の中に、甘い香り。男の好きな銘柄だった。
どれ、そろそろ調理用具を片付けるか。そう思っていた矢先。

目の前で、少女がボールをぶつけられていた。そのまま、ばたん。

「お、おいおい!! 大丈夫か嬢ちゃん!!
 こら坊主。女の子にボール投げる時は、下から上へ放るようにして投げてやれ」

悪気はなかったのだろうが、当たってしまったものは当たってしまったもの、だ。
男は少年をたしなめると、ボールを投げ返してやり、少年たちが運んだ少女を看る。

「あぁ、頭はぶってねぇみたいだな……。
 大丈夫か~? あぁ、そこのお姉さん。濡らしたタオルを!!」

近くを通ったアルラウネの女性にタオルを持ってきてもらい、少女の額へと置く。そのまま様子を看ながら、首を動かさないようにしつつ、楽な姿勢へと寝姿を変えさせ。

アッシェ > 子供に忠実に化けた為 運動能力も子供のソレだった。
見事にヒットしてしまったため 脳震盪を起こし倒れたのだ。
幾ら鍛えていようとも脳を揺さぶられれば生きている限り、脳を揺さぶられれば意識が混濁する。

意識が微妙に不安定中。
変化?問題なし こんな事で解けたりはない。
地味に痛い…お兄さんが少年たちを叱っている声らしい声が聞こえる。
アウラウネお姉さんのタオルが額に置かれた、冷たく感じる。

今は寝かされているようだ…そろそろ意識を浮上させよう。

「うぅ…おにーさん?」

セイン=ディバン > 幸い、そこまでド派手にぶつかった訳でも無く、そこまで勢い良く倒れたわけでもなかったようで、外傷の類は見当たらない。
まずはホッと一息。安堵の息を吐きながら、男は少女のことを観察する。

……おや? 以前ここで炊き出ししたときには見なかった子であるが。
まぁ、何処かから避難してきた、新しい入村者なのだろう。そんなことを考えた。

「お、気がついたかい? あぁ、ムリに動かないほうが良い。
 それと、お兄さん、って歳じゃあねぇなぁ。オジサン、で良いぜ。可愛い子ちゃん」

ほんの僅かな時間の気絶状態から復活し、声をかけてきた少女にそう応える男。表面上は、何かマズい様子などはなさそうだ。

アッシェ > 魔族の子供は色々と種族がいるが ヒトよりは頑丈ではある。
でも魔族の子供と遊んだ場合 力の加減は合っても当たれば地味に痛く、
遊びのレベルでのボール遊びだった事もあって、傷はないと思う。…多分。

見られている …まだ化けは解けていない筈…!
以前も何もつい最近混じっただけです、正確に言うと三日前です。
此処に来る前に少ない人数の避難民の集団がいたので其れに交じっただけ。

「う? …ゆれた。 おじさん? そお」

余り喋らないような大人しそうな幼女にしているのだ、
化けのレベルは総じて高い、ばれない限りはいたいけな幼女で対応してみよう。

「おじさん ながいの? たきだし。」

あっちにおじさんおばさんおねえさんおにいさんいろいろなおとながいるけど、
とちらっと寝そべったままごろりと向きを変えて。

セイン=ディバン > 子供同士の遊びで、運動系遊戯になった場合、テンションが上がってくると加減が効かない場合がある。
幸い、今回はそこまででもなかったようだが。やれやれ子供ってのは元気だよなぁ、と爺むさい感想。

そして観察を続けた結果、少女の肉体、及び記憶や精神状況には異常なしと判断をした男。
よしよし、と小声で呟き。

「おう。オジサンだ。お名前言えるか?
 オレはセイン=ディバン。セインおじさんでいいぜ」

少女の身元を探ろうと、笑顔で声をかける男。しかし、何か。
違和感というか、変な感覚が男の首筋にある。
チリチリとした、むず痒い感覚。男の持つ生存本能スキルが、何かを警戒しているが……その正体まではわからない。
ただ、何か、ほんの些細な違和感がある。

「ん~? まぁ、ぼちぼちだ。時々魔族の国の集落を巡って。
 んで、炊き出しをしてるのさ。お腹が減ると不幸せだろ?」

少女の質問に答えながら、ぷかぁ、と咥えていた細巻から煙を吐く。
……おかしい。この少女。魔族の子供というのは判る。
だが……。種族が。判らない。どこにでもいる、普遍的魔族の子供のようだが。何か……特徴が無さ過ぎる気がする。考えすぎだろうか、と男は頭を掻き。

アッシェ > 子供同士の遊びは最高に楽しいけど遠慮とかないので、
地味に体にキテしまう。ハイテンションになると暴走しがちだ。
だからこそ 子供は大人になったら純粋な子供時代には戻れないのです。

そりゃあ 子供に化けているわけだから中身がアレな存在Xは、
意外というか生物学上無敵ではと言われる竜な訳だが、今は外見だけは幼女だ。
いたいけな幼女に化けているだけだ 繕った外見に問題はない 特徴が平均的な魔族の子供と言う免罪符を掲げて
この集落に溶け込んで見せたその腕前は凄まじいものがある。だってセイン以外誰も幼女を疑ってない。

「う、あたし? あたしは リュナだよ?
 セインおじさんね!  ここのほかにいろいろあるんだ?
 ままとはぐれちゃったから またあえるといいなぁ…」

嘘なのか思われないような幼女の口ぶり 演技力は発揮中。
違和感はほんの少しだが 塵も積もれば山となると言う様に徐々に大きく成ろう。
魔族どころか この存在幼女Xの正体は 魔族と肩を並べていても問題のない、
魔王と双璧を成しても全然違和感のない古竜だ、ただ今は幼女だが。

「セインおじさん どうしたの??」

くいっと寝そべったまま不思議そうに 見上げて

セイン=ディバン > 少女にボールをぶつけてしまった子供たちは、少し離れたところで遊んでいる。
その内、何人かの少年が少女の様子を気にしてか、男と少女の方を見ていたので、男は手を振り、大丈夫だ、という事を伝えた。
少年たちは安心したようで、また遊びに戻っていく。後ほど、少女に謝りでもすればまぁ及第点かなぁ、などと思い。

「ふむ、リュナちゃん、ね。
 あぁ、ここ以外にもあるよ。戦火から逃げて、人間から逃げて。
 皆で寄り添って暮らしてる集落がね」

キチンと自己紹介をした少女の頭を、優しく撫でる男。
そのまま訊かれた事に応えていくが……。やはりどこか、違和感が残る。
魔族とはいえ、子供はやはり子供なのである。なのに……。
何故だろう。この少女は。初対面の大人の言葉をすぐに理解している。
元来、男は子供と接するのが苦手だ。故に言葉も難しいものを使ってしまう。
例えば……村ではなく、集落。と言ったのもそうだ。ほかにも、少女が炊き出しという言葉を使ったのも引っかかる。

「そっかぁ……お母さんと会えるといいなぁ。まぁ、生きていればいつか会えるさ。
 ……ん~。いや。どうした、ってことはないんだけど。
 ……ん~~~~~~~~~~……」

少女の言葉に、ささやかな希望を持たせるようなことを言いつつ。
見上げられれば、どう反応したものか。違和感の正体が掴めない以上、どうにも応えづらい質問だ。
そのまま男は頭を掻きながら、長いうめき声を出すことになる。

アッシェ > ちらっと少年たちを見た幼女、一応大人しめにしているから
少年とおじさんの様子を眺めていただけ。少年たちにだいじょうぶ、と手を振っておくのも忘れない。
にこりと笑顔も添えておこう、これで問題なし。また少年たちは遊び始めたようだ。

「うん。ぱぱはにんげんとたたかっていなくなっちゃった。
 ままととちゅうではぐれたからわからないの。むら?あるんだ??」

名前は無論 偽名。ぱぱとままの存在も無論架空。
違和感ありまくりだろう、魔族雖も子供は子供、精神構造に左程差はない。
…バレたか。精神構造は高い方なのだ 演技にも襤褸はあるし元の幼女のデータはそこそこ知識のある、とは
知って取り込んだがそれ以上に発揮をしてしまった、がこのまま続けよう。
因みに 外見を元にした幼女は…生死不明だ。戦火にはありがちな事だ。

「うん。あえるといいなあ。
 ふしぎなおじさーーん?よいしょ。」

むくっと漸くだが意識もはっきりしたし起き上がろう。
唸り声を発して呻いている男を見上げて 不思議そうに見上げている幼女X。
まだ 幼女だ そう まだ。

セイン=ディバン > この目の前の少女は随分と可愛らしいから。少年たちも……恐らく、本人たちが気付いていない淡い恋心のようなものを抱いているのだろう。
だから、ついつい遊びに力も入ってしまうし、容態も気になる。
あぁ、いいねぇ。青春だねぇ、などと思いつつ。

「……そっ、か。それは……うん。悲しいね。
 そうかそうか。なら、周りの人たちが見てるかもな。あとで訊いてみよう」

少女の言葉に、表情を暗くする男。人間と魔族の争い。その両方の種族と関わっている男としては……悲しいことである。
そもそも人間も魔族も、同族ですら御せていないのに。なぜ侵攻するのやら。
どちらも根本的に愚かなのかな、などといきなり失礼な思考的跳躍をする始末だ。

「そうだねぇ。会えるさ、きっと。
 不思議、ね。……お、立てるくらいには回復したかぁ。よかったよかった。
 ……さてリュナちゃん。キミ、お母さんとお父さんは何の種族か分かるかい?」

立ち上がる少女に声をかけつつ。男はいよいよカマをかけ始める。
単なる思い過ごしなら、それはそれでいいのだ。
ただ、もしも、何かヤバ事の気配が僅かにでもあるなら、それを排除しておく。
男の冒険者としての経験からくる行動であった。

アッシェ > 幼女は正義です。かわいいは正義です。
少年たちよ 先程まで遊んでいた幼女はまやかしです。
本当の正体は泣く子も黙る竜(大きさはアレだが)です。今は幼女だけど早く夢から覚めた方がいい。
少年たちからどう見られているか 自覚しているのかいないのか分からない幼女は少年たちからおじさんへと視線を向け

「うん、 きいてみて。  いるかなぁ」

いないと思うけどね。その目撃者。
ヒトですら魔族ですらない存在X、どっちが争うが気に留めない。
寧ろ両方から挑まれる列記とした歴戦の猛者です、竜ですからの。
両方が争うが基本的に傍観者の所です。

「ん。 ん。
 ん? おかあさんはだーくえるふでおとうさんはおーがだよ?」
 
恐ろしい組み合わせ口にしたぞ!?その組み合わせ 実際にいるから嘘でも何でもない。
っていうか此処で違和感が崩れて確定されたとしたら この集落は間違いなく崩落する。
それが分かって彼は詰問をし始めたのだろうか??徐々にだが幼女は幼女らしい気配がなくなりつある。

セイン=ディバン > 子供たちの遊びにばかり気を取られていたが、周りを見れば……。
大人たちも思い思いに動いている。食器を片付けてくれている者。
ありあわせの防壁を作る者。物々交換に勤しむ者。
この集落のコミュニティとしての機能は、着々と増していっているようだった。

「……さぁて、ね。紛争地帯からの逃走、となるとどうかね……」

少女の言葉に、しんみりとした様子で応える男。しかし、その目が細まる。そう、それは不信の細まり方だった。
今の少女の言葉。その最後の一言が引っかかったのだ。
男の勘。歴戦の冒険者の勘、というものに。
恐らくこういう状況であれば……子供は、『いるかなぁ』などとは言わない。
『一緒に探す』だの。『お願いね』だの。そう言うのが自然ではないだろうか。

「……ふ~ん。そっかそっか。お母さんがダークエルフで、お父さんがオーガ、ね。
 ……リュナちゃん? そろそろ正体現していいぜ?」

違和感が確信に変わった。そこで男は更にカマをかける。特大のハッタリだ。
両親の種族。それ自体は、なんの問題も無かった。実際、魔族でそういう種族同士での婚姻は不思議でもなんでもない。むしろ普通と言えよう。
問題点はそこではなかった。男の質問の意図。それは……。
この少女が、その二つの種族。その両方の特徴を引き継いでいないように見えたからだ。
もちろん、この少女がまだ幼く、特徴が発現していないという可能性もある。
故に。トドメの確信を得るために。男はハッタリをかました。

アッシェ > 子供たちは子供たちだった 動きとしては子供何もでもなかった。
大人たちの動きは把握している 無駄はない 防壁のレベルは低くはないがアレでは防壁としては数度の攻防で敗れてしまう。
集落としての全体的なレベルは緊急性としては中の下だった、つまり 狙われたら 逃げること勧める具合。

「 … 」

幼女は無言になった。演技としては限界だった。
言葉遊びとしては無理があったのだ 此処まで出来ていたがこのおじさんは違ったようだ。
そして 無理が祟った これ以上は意味がなさないので あっさりとやめよう。

はぁっと幼女らしからぬ溜息を吐いて やれやれと肩を解し首をコキコキと鳴らして深呼吸をして
あっさりと 幼女はどこからか取り出した煙玉を地面目掛けて投げつけると どろんとその場が煙に包まれ

煙が晴れた頃にいたのは 幼女ではなく 黒髪のアサシン衣装の少女だった。
外見は少女だが 気配やひしひしと感じる強さそのものは竜のそれだったり。

「んー ダメだったか。やはり無理あったなぁ ほんま」

急に現れた竜(人型)の気配に 辺りが騒然となり始める。
そりゃそうだろう 魔族の集落に 一番違和感ある竜が変化を解いたのだから。

セイン=ディバン > いくら機能が向上していようとも、所詮は避難民の集落。一度襲われれば、崩壊は免れまい。
それでも、男としては、その成長を嬉しく思った。……この魔族の民たちが、希望を捨てていないということを、嬉しく思った。

「……」

男も少女同様、無言のまま。
じとり、と空気が重くなるのを感じた。同時に、ハッタリが功を成した、と実感する。
……どうにも、功を成してしまった、という感じだが。

次の瞬間、少女が深呼吸から……何かを地面に投げ、煙が溢れた。
一瞬、毒か!? と思うが、すぐにただの煙幕であると気付く。

その煙が晴れるか晴れないか、というタイミングで。
男の脳に最大規模の警報が鳴り響く。生存本能スキル、最大発現。
目の前に今から現れる存在は……過去出会った魔王クラスのヤバい物だ、と。男の感覚が告げていた。

「……いやいや、途中までは完璧だったよ。
 ただ、悲しいかな。キミの知能指数の高さが滲み出ていたね。
 大人が子供を演じ切る、というのはなかなか難しいものさ」

ざわめく周囲の魔族。鳴り止まないアラート。
しかして男は、変わらぬ口調のまま話しかける。
下手に変なことを口走ったり、振る舞いをおかしくするよりはマシな結果になるだろう、という思い。

「あらためて、セイン=ディバン。魔王様の夫だ。
 お名前と種族を教えていただけるかな? いと強く、大きな者よ。
 介抱したのだから、それくらいの返礼はあっても良いと思うが」

今すぐにでも逃げ出したい。そんな気持ちを抑えつつ、男はそう尋ねる。
可能な限り。失礼にならないように。

アッシェ > その件の集落だが 現時点を以て移動は早急にした方が良い。
何故なら どっちに転がるか分からない暴竜と言われている竜がこの集落の存在を知った。
暴竜と自覚はしていないが 非常に好戦的な意味で自覚すべきか。

幼女から少女になっただけだが気配は全開になった。
衣装其のものは露出度が高いが、無駄な機能がないそんな衣装。
アサシン衣装とも言われる東方のシノビという輩が纏う格好なのだ、
武器は色々と持っているが 実の所 武器そのものよりも素手で遣らかした方が強いとも。
武器持っている時の方が弱いので 倒すんだったら 武器を持っているうちにがお薦めである。

「そう ほな 今度は大人になっておきましょ。」

魔族たちは早くもとおまきに物陰に隠れたり逃げ始めている。
ただセインがいる限りは逃亡はしないのだろう ふふ彼は慕われているようだ。
まぁ最大の関心事な彼がいるのであれば 此方としては何も致さぬつもり。

「ふーん 魔王の夫ね セインおじさん。
 うちは アッシェ 古竜にして炎竜ともいう。一応どっちかにしぼれて言われたら古竜で。
 介抱って…ふーん?うちにそれをもとめはったら 夜は寝かさんぇ?」

逃しまへんよ??うふふ 夜は深く淫らにしてほしん?
すすすっと残像残さんばかりに彼の至近距離にまで近づいてそっと胸板に手を添えて上目遣いに見てみようと

セイン=ディバン > 災害が襲ってきたとき。それを事前に察知できたなら対策はできるだろう。
しかし、家やら大きな荷物やらを持って逃げることは不可能だ。
……つまり、今まさにこの集落は、災害に見舞われている状況であり。
周囲の魔族たちは怯え、竦み。中には呆然と膝を折っているものすらいる。

無論、男とてこの少女を目の前にし、気炎万丈、乾坤一擲、などとはいかない。
むしろすぐにでも逃げていきつけの酒場に行って一杯強すぎる酒を飲んで記憶ごと消滅させてしまいたい今日の出来事絶賛開演中だ。
だが、それはできないし。それはしなかった。
今ここでそんな無様で情けなくて、相手を刺激してしまうようなことは、男にはできなかった。

なぜなら。周りには逃げてきた、か弱き魔族たちがいるのだから。

「あぁ、それはいいかもしれないね。
 それであればバレないと思うよ。まぁ、シチュエーションの設定がビタッ、と嵌ればだけど」

周りの魔族たちは逃げ始めた。ただし、集落の外に出ることはしない。
信頼を勝ち得たからか。この状況を何とかしてくれるという期待からか。
こと、男は悪人かつ、姑息で小物で卑怯者で矮小な、たかが人間であったが。
それでも、守る者の為なら、どんな無謀も演じられる存在だったのだ。

「おじ……いや、おじさんでいいや、もう。
 アッシェちゃんね。はいはい、覚えた覚えた。
 ……って、こ……古龍……ッッッッッ!?
 い、や、け、結構!! 大変失礼した!! 申し訳ない!!」

聞いていた言葉に、ほのぼのっぽく返答していたが。
正体がわかれば、男は驚愕し、すぐさま謝罪をした。
『古龍』。龍種最上位存在。エルダードラゴン。
飛龍、純粋龍、亜龍を超える。世界の深遠にも達しているという存在だ。

「と、とにかく。今夜は……とりあえず、親睦を深める、ということで。
 ……これでいかがか?」

男は恐る恐る懐から、レアな酒を取り出した。ご機嫌取りであった。
……それが功を奏したかどうかは、また別の話……。

ご案内:「魔族の国 辺境の集落」からアッシェさんが去りました。
ご案内:「魔族の国 辺境の集落」からセイン=ディバンさんが去りました。