2017/03/25 のログ
ご案内:「魔族の国」にタマモさんが現れました。
■タマモ > タナール砦より魔族の国へと入り、奥へ、更に奥へと入り込んだ場所。
霧深い渓谷の上空に二つの影が存在していた。
片方は九尾の少女、もう片方は黒い羽根を持つ男。
共に眼下にあるだろう、ある城を見下ろしている。
『お互いに、入り込むまでは良し、あの扉の奥は見れず…か?』
先に口を開いたのは男の方、仮面から覗く瞳が一寸横に居る少女に向けられた。
「仕方ないじゃろう?妾とて、無理矢理に閉まった扉を開くような事はせん。
まぁ、あの奥がどうなっておるのか知りたいのは確かじゃがのぅ…?」
少女は軽く肩を竦め、言葉を返す。
好奇心が半分、次の転移が楽になるのがもう半分と言った感じだ。
■タマモ > 『今や危険な存在の一つ…のはずだ、少なくとも我が調べた限りではな?
人間も好いておる主からすれば、あの娘はさっさと対処すべき存在だと思うが…
本気を出せば、あれごとどうにか出来るだろう?』
ちょいちょいと霧の中を指差し、問う。
あれ、つまりはこの中に存在する城の事だ。
その問いに、少女は難しそうな表情を浮かべた。
「………だから、はいさっさと閉じ込めましょう、と?
まだ、まともに話し合ってもない相手じゃぞ?
確かにお主の得てきた情報は信じておる、じゃが、妾自身で確認もせんままそうするのは…」
『かなりの強さを持ち、面倒な存在を呼び、その存在の対処も主からすれば面倒なものだ。
この地の事を考えても、野放しを続ければ悪化の道を辿るのは分かりきっているだろう。
まぁ…奴隷として再び手中に収めようとしている人間には悪いが、そんな軽い話では無くなっている』
確かに、自分の能力を最大限に発揮させれば、男の言う事を実行するのは可能だ。
城ごと己の力の中に閉じ込め、出られなくしてしまう事が。
そうすれば、財宝うんぬんの夢や希望は潰えるが、人間への脅威は一つ消える。
だが、それが可能だとしても、少女はまだそれをしたくはなかった。
あの初見での、己の言葉に対するあの反応、それが引っ掛かって仕方が無い。
■タマモ > 「うぐっ…と、ともかくじゃ…ちゃんと話し合い、確信を得たらそうしようではないか、のぅ?」
『………後の判断は委ねる、後悔の無い様にな』
ちらっ、と男へと視線を向け、そう締め括る。
男も、これ以上何か言おうと平行線と理解しているのか、言葉を続けるのを止めた。
…まだ別の件を調べている途中だからと、前回同様の理由を述べ、姿を消す。
その場に残るのは少女一人となった。
■タマモ > はふん、と溜息。
視線を再び、眼下の渓谷へと向ける。
心配をしての進言だ、それも分かっている、長い付き合いなのだから。
それだけ、相手の力が大きなものだという事なのだろう。
己の主がどれだけ強大な力を持とうとも、相手次第で出てしまうその甘さが致命的な弱点なのだとも知っている為だ。
「しかし…出会う事も出来ねば、いずれは決断せねばならんじゃろうな…」
ただでさえ独りである者を、孤独な牢獄の中に閉じ込める、そんな感じだろうか?
多数の安息の為に、一人を犠牲に…物語等ではたまにある定番のシナリオ。
それを、いざ自分が目の前にして、どう動いたものか…難しい話だ。
「今日は気分が乗らんか…止めておこう」
このまま、一度また乗り込んで遊んでやろうとも思ってはいたが…
ぽつりと呟けば、少女の姿もその場から消えた。
ご案内:「魔族の国」からタマモさんが去りました。