2015/11/05 のログ
ご案内:「魔族の国」にフレイさんが現れました。
フレイ > 魔族の国にある森の一つ。
淫魔一族の住まう領地の近くにある森の奥、空間に切れ目が入り、そこから一人の女がするり、と森に現れた。
淫魔の一族の長でもある彼女は、自らが気まぐれに使う薬の原料である薬草を取りに空間転移を使ってこの森の奥へとやって来たのだ。
奥へと進む歩によどみや停滞は全くなく、森に住まいする魔獣も彼女の姿を見ればつつましやかに道を開ける。
その鼻先を撫でてやり、森の奥へと進めば奇妙に歪んだ木々の間、毒々しい赤い色を晒す、人間界には決してないグロテスクな薬草が多く生えている所へと。

 「いい薬が出来そうだね」

小さく呟く声は涼やかな音色。
黒い手袋の手を伸ばし、薬草を摘んでは手にしている籠の中へと丁寧に入れ始めて。
人間界でも見る事のある景色が魔族にもある。
見るものによっては奇妙にも、感慨深くもあろうか。

フレイ > 良くも悪くも淫魔の中で名の知れた女である。
女領主 冷血なるもの 非常な淫魔
無論、気にするような女ではない。
魔力の高さや淫魔としての能力は群を抜いており、そういったものを黙らせる役にも立った。
見るものが見ればわかるであろう、森の中を僅かでも歩いたにもかかわらず、豪奢なドレスの裾は埃ひとつ付いていないのだから。
今も手元が暗いと感じれば手を伸ばし、その先に小さな雷を呼び、固定する。
それを宙に浮かせてランタンの代わりとし、薬草を摘む。
基本的な魔術なら、呪文の詠唱などというものは不要。
黙したまま、静かに薬草を摘み、ひとつ所から全てを摘む事無く、場所を移動しては摘んでと、ゆっくりと移動を繰り返す。

フレイ > 人間の貴族が淫らな余興の為に買い求める媚薬。
その原料ともなる薬草を取りに来ている女は、この薬草に秘術を施し、幾種類かの薬草を混ぜ合わせて媚薬を作る。
そしてそれを、貴族の金持ちが大枚はたいて求めるのだ。
そこそこの量が集まったのを見ると満足そうな笑みが、ケープから僅かに見える口元から零れた。
血のように赤い唇
人間の前では、顔を晒すことはない。
ずり落ちそうになったケープを引き上げその手を宙にかざすと、最前の様な切れ目が縦に入り、口を開く。

するり

空間に身を滑り込ませれば静かに空間が閉じ……

すぅ

森の入り口に近い場所に空間が口を開く。
そこから滑り出るように現れるとまた空間が閉じ、何事もなかったかのように歩きはじめる。
この付近にある薬草を集めるための空間移動。
静かにまた薬草を探し、摘み始めていくか。

フレイ > 森の奥と入り口付近、その双方で薬草を集め、それを終えるとまがまがしい色彩の空を見つめ、籠を持ち直す。
これだけあれば、暫くはもつ。
とはいえ、これから作業は山積みとなる。
一旦城に戻り、身支度を整え、それから作業場へと赴こうと考えるとまた宙に手を翳し、空間の切れ目を作り出す。
また、薬草が生えそろった頃に姿を現す事になるのだろう。
空間に出来た切れ目に身を進め、また音もなくするりと消えて……
閉じた異空間。
最初から何もなかったかのような静寂に包まれる。
彼女が去ったのを感じ取れば、また魔獣も森の中を闊歩し始める。
やがて遠くに見える淫魔の一族が住まう城の最上階に、ふわりと明かりが灯るのだった。

ご案内:「魔族の国」からフレイさんが去りました。