2015/10/30 のログ
ご案内:「魔族の国」にルシエラさんが現れました。
ルシエラ > 東西南北、どちらへと視線を向けようとどこかの領地が見渡せる高々とした山岳の頂上。
その場所に立ち、広大な大地を見渡す。

そういえば、眠りから覚めたのは人間の領地だったか。
この魔族の治める地に戻ってきたのは…どれくらいぶりなんだろう?

この領地に入ってまず気付いたのは感覚の違い。
加護の届かぬ場所だからか、妙に気分も調子も良い。
なるほど、それだけ何とかの加護とやらの力は強いものなのだと思った。

それはともあれ、こうして見渡すと色々と見えるといえば見えるのだけど…一つ問題があった。

………うん、なんかほとんど覚えてない。

ルシエラ > この前、なんか自分の事を覚えている相手…魔族に会ったのだが、やはり自分の方ははっきりと覚えてなかった。
…あの肌にぴりっとくる感覚、体は覚えてるみたいなのだが、長く眠ってたせいかまだまだ思い出せない事が多い。
何か思い出すかもしれないと、この地に赴いてみたのだが…こうして景色を眺めても思い出せない。

まあ、ちょくちょく会ったりすれば思い出せるんじゃないかなー?
とかなんとか、もう深く考えるのは面倒だから止めた。
その会ったりする機会があるのかどうか分からないのは秘密だ。

だから、面倒な事を考えない。
とりあえずは、自分が目を覚ました事くらいは伝えておこうとは思うけど。

ルシエラ > まあ、ちょっとだけ…ね?

目を閉じ、意識を集中する。
ざわり…ゆっくりと周りの空気が張り詰め始めてきた。
少女の体から薄黒いオーラが浮かび始める、最近はここまでしかしていないのだが…

さ、一発だけだよ?…いこうか…!

ぶわあっ、とその薄黒かったオーラが漆黒の闇へと変わり、少女を完全に包んでしまう。
そうなってしえば、その闇の中にある少女の姿は周りからは見えないだろう。
闇からうっすらと見える真紅の輝き、それが正面から下へと向けられ…

どおおおおおおおおおんっ…!!!

爆発音とも取れる轟音、どこまでの地でそれを感じる事が出来るは分からないが大地は激しい振動を起こす。

そして、山岳だったはずのその場所は大部分が砕け散ってしまっていた。
少女は、もはや山岳とは言えぬ凸凹とした足場の悪い平地らしき場所に立っている…その体からはすでに闇は消えていた。

ルシエラ > 「ぷはあっ…いやー、盛大にいっちゃったねー」

ぷらぷらっと右手を振って、悪くなった足場をこつこつっと爪先で小突きながら呟いた。
思ったよりも力が入り過ぎてしまった、今まで加護のあるところに居たんだし、仕方ない…としておこう、うん。
これで、私の事を知っているような者が居るなら気付くかもしれない。
こんな無駄な破壊行動をするのは、どうせ自分しかないのだから。

ふと何かを思い出したように視線を周り、足元に巡らせる。
はて?といった表情を浮かべ、今度は左手を見てみる。
その視線の先に、左手に握られた先の千切れた紐が見えた。

「………あ」

千切れた紐、その先には確か…袋に詰められた大量の食べ物とお酒があったはずだった。

ルシエラ > この近くに村か街…あったっけ?

さっきまで高い場所で周りを見ていたのだが、見ていたのはその土地を領地とする中心部辺りだけだった。
今、ほぼ平坦となってしまったこの場所では周りの方が高くて全く見えない。

あれ?これってもしかして、また食糧難のパターン…?

非常にまずい事になった。
少女にはありがちな移動手段としての能力は無い。
当然、国境からこの場所までも自分の足で来たのだ。
少なくとも、その道すがらに見た感じそういった場所は無かった。

食糧確保は動物でも捕まえて…とも考えたが、さっきの行動で周りの動物は逃げてしまっているだろう。
お酒は、まあ、どうしようもない。

ルシエラ > しばしの間、空を見上げたり、なんとか見える場所はないかと探してはみたも…進展無し。
はふ、溜息を一つ。
何はともあれ、やろうとした事はやったのだから後は戻るだけだ。
その戻るのが問題ではあるのだが…

なんにしても、動かなければこのままだ。
くるりと体の向きを来た方向、国境の方へと向けた。

行く先で誰かに会えば良し、無ければ…最悪、なんとかの砦でどうにかしよう。
そう考え、足を進め始めるのであった。

ご案内:「魔族の国」からルシエラさんが去りました。