2019/02/19 のログ
ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」」に窮戯さんが現れました。
窮戯 >  
雷轟轟く八卦の山

その頂近くに一筋の稲妻が走り、轟音が鳴り響く

「……ん…」

落雷があったであろう場所
ぱちぱちと木々が焼け、あちこちに砕けた岩が散らばる
その中央に、一糸纏わぬ姿を晒す、黒髪の女が屈み込んでいた
その頭には特徴的な獣の耳と、同じく肉感を感じさせる尻からは青白く妖気の立ち昇る九本の獣の尾が棚引いていた

「──ふぁ、ぁ……漸く…? 本当、退屈させてくれちゃって…」

ゆっくりと立ち上がり小さく欠伸を噛み殺すと、じっとりとした視線を、己の周囲に散乱する掌大の岩の破片へと向ける

窮戯 >  
何年眠らされていただろうか
意識がはっきりとしてくれば、まず感じるのは…途方もない空腹だった
その空腹が、余計に苛立ちとなって憎悪を煽ってゆく
自分を封印した、天教の者達───今の世にどれだけ残っているか知らないが

こんな山に野晒しという屈辱まで

「……ふん」

獣の尾が踊るように揺れる
蒼く仄光る焔が巻き起こり、砕け散っていた岩の破片を粉々に灼き砕いた

「──山奥にいたんじゃ、お食事にありつけもしないわね」

八つ当たりも終わり、小さくそう呟く
さて人間達の住処は今はどうなっているのか
あの不気味な始皇が今も治めているのか、それとも

窮戯 >  
ひとまず山を降りることが先決
こんな山奥で何を考えたところでまるで意味がない

しゅるると自らの裸体を覆うように獣の尾が巻き付き、淡く光を帯びてゆく
それだけを見ればまるで仙人の起こす奇跡のようにも思える神々しさだろうか
やがて光が収まると、獣の耳と、九本の獣の尾は消え失せ、その肢体にぴったりとフィットした装いへと变化する

さすがに人里に降りるのに裸体を晒したままというのは具合が悪い

それに人に化ける術はもっとも得手とするところ
この变化を見破れる仙人や真人などは封印される以前の世にもいなかった

「山奥で泥を啜るような生活も厭だものね」

何処からか取り出した手鏡で自身の顔を覗き込みつつ、くすりと口元に笑みを浮かべた

山を降り、帝王に取り入ることにする
国家転覆…なんてのもたくさん人が死んで面白いかもしれないが、
まずは折角こうやって舞い戻ったのだ、この国で贅の限りを尽くしてみるとしよう

窮戯 >  
───数日後帝都シェンヤンに九魏と名乗る女が現れ
その幻妖するような蠱惑的な姿で以て始皇へと取り入り、后の一人となった───

ご案内:「北方帝国シェンヤン「八卦山」」から窮戯さんが去りました。