2020/09/19 のログ
ご案内:「帝都シェンヤン とある人気茶館」にエミネさんが現れました。
エミネ > 運ばれてくるこの店一番人気の焼売に、エミネは目を輝かせる。
久々に前線から戻ってきて、今日はゆっくり羽休めの予定なのだ。
周囲には茶と料理の香りが満ち、可愛らしい女性店員や凛々しい男性店員たちが忙しく注文の品を運んでいる。客にはいかにも貴族な姿をしたものから、裕福な商人風、さらには外国から来た旅人の姿も見える。

「んん~!!!」

一口で焼売を頬張る。アツアツ、ジューシー。日々の苦労もこの時のため。帝国西方産の銘茶を口に。程よい苦みと香りが広がる。もっと頼もうか、店員を捕まえて注文する。貴族である以上に神獣である故か、店員は拝みながら笑顔で了承する。ありがたいのだ。

「次はいつ来れるかわからないものね…いっぱい頼まないと…」

ちなみに、エミネは一人である。部下を呼んで気を遣わせるのも何だし、同僚もほぼ軍人で都合があまりつかない。何よりたまの高級茶は一人でゆっくり楽しみたいのだ。

とはいえ、店も混んできた。誰かが相席するかもしれない。茶館とは社交の場、そうなれば、会話を楽しむのもいいかもしれない。

ご案内:「帝都シェンヤン とある人気茶館」にリートさんが現れました。
リート > ここでは名前も顔も明かせない。
自分を知って覚えている者がいるかわからない。ただこうやってフードを被って動いていれば、弁えているものとして周りは見てみぬふりをしてくれる。
全身を覆う黒い外套とはいえ華美さを添える金刺繍、この場に居ることに違和感を覚えさせぬ、露わになった口元に浮かぶ艶やかな微笑。

「………………」

店員に案内されては一人の喫茶をかき乱す、漆黒の影。フードからは白い肌と銀の髪。薄桃色の唇が覗く。

「……失礼するよ」

抑えに抑えた小声なのに、異常によく通る鈴の音のような、透明な声をかけながら向かい席に腰を下ろす。目深にフードを被った――性別も定かに伺わせない姿。顎のラインと声が、辛うじて女であることを伺わせる。
対面にて頬杖をつくと、軽く注文をしてから、名高き武官にフードの奥から視線を向ける。

「南蛮でも噂に高き衛巳祢殿と相席の栄誉に預かるとは、ぼくにも運が向いてきたかな。まして公事でなく、私事の時に」

エミネ > 幸せそうに点心を頬張っていると、店員に案内された誰かがこちらに来るのが見える。相席の希望らしい。

「ん?あぁ、どうぞ」

向かいに座るフードの人物に、エミネは頬張った点心を噛みながら不思議そうな顔を向ける。どうやら女性らしい相席客、顔はうかがえないのに声はよく通って、失礼だと自分で思いながらも少し不気味に感じてしまった。

「ん?えぇそうね。そのエミネよ。よろしくね?」

それでも、なるべく気さくに、フレンドリーに。それにしても、そんなに噂になっていたのだろうかと考えながら。

「…で、アナタは何者?何か依頼しに来た貴族?どっかの秘密結社?それとも皇帝陛下直属の密使とか?まさかね…」

そんな者が自分のところに来たら大ごとだなぁと心の中で笑いつつ、茶を飲んで喉を潤す。

リート > 「そういった気の利いた者であれば良かったのだが、残念ながら顔も名もここでは明かせぬ身。楽師とだけは名乗っておけるがね」

置いた荷物は弦楽器を運ぶための匣。ひそひそ話の声色でも全く問題なく伝えられる声音は相手の耳をくすぐるような稚気がある。

「きみの武勇に期して、ぜひ戦って欲しいとか、将軍の位を約束するだとか、いずれそういうこともあるかもしれないが…偶然相席をしただけというのも寂しいものがあるね」

甘い香りに蜂蜜の混ぜられた茶を受け取ると、それで喉を潤す。彼女の言葉に何かを考えるようにしてからあらためて、身を乗り出して上目遣い、紫色の瞳で見上げる形になる。

「戦場だけではなく寝台でも、聞けば相当に浮き名を流しているそうじゃないか。どうだろう?腹を満たした後は女が欲しくならないか。今宵の宿はまだ見つかっていなくてね。きみの名前で囲ってくれるとこの国では動きやすい」

少しだけ声を大きくして、その鼓膜を愛撫するような呪いの声。桃色の唇の笑みをより深くして誘いをかけてみる。自分の歌と体を買わないかと、そういう話。