2020/04/04 のログ
ご案内:「北方帝国シェンヤン」にゼナさんが現れました。
ゼナ > その日、北方帝国の首都シェンヤンの街門広場では大規模なキャラバンが出立の準備に忙しなく動き回っていた。商人、御者、小間使い、そうした人々の中にちらほらと見受けられる鎧姿は、この隊商の護衛を請け負う冒険者達。
纏う武装は帝国風の物もあれば、王国風の物もあり、年齢や性別も様々。
そんな戦士達に指示を出すのは、意外にも小柄な人物だ。

「食料や水などはそれぞれの馬車に分けて乗せる様に! 隊列の中央には女性や戦えない方々を。後方には重い物や最悪捨てて行っても構わない物を乗せた馬車を配置して下さい!」

年の頃は20前。日差しを反射する金の短髪と、澄み切った真夏の空を思わせる蒼瞳の印象的な戦士娘である。
女としては平均的な162cmの体躯は、周囲を行きかう武骨な男達の中においては酷くコンパクトに見える事だろう。斜に背負った竜大剣の規格外なまでの巨大さがそれを一層強調する。

その癖、健康的に日に焼けた小麦色の肢体は朱金に輝く竜鱗鎧の胸元や臀部をはちきれんばかりに膨らませる肉感的なボディラインを形成し、ノースリーブの脇から覗く豊満な乳房の丸みや、ミニ丈の裾下にむっちりと肉付く太腿で男達の視線を惹きつけていた。

ゼナ > そんな娘がくるりと振り向き立ち会うのは、帝都にて新たに集った隊商護衛の為の冒険者たち。
じっと彼らを見つめる蒼瞳はまるで睨みつけているかの様な眼力の強さを有するものの、その表情に気負いの類は見られない。口元には人の良さを感じさせる小さな笑みさえ浮いている。
そのぽってりと艶やかな桜唇が開かれて、稚気を残しつつも凛として涼やかな声音を響かせた。

「皆さん、よく来てくれました。わたしはゼナ。王都に着くまでの間、この隊商の警護隊長を任されています。わたしみたいな小娘の下で働くのは不安だという方もいるでしょう。依頼主様からはいくらか時間を頂いています。どうぞ、この場で力試しを」

にっこりと笑う顔には不敵さも傲慢さも無く、年相応の愛らしさが覗くばかり。しかし、背負った巨剣をずらりと引き抜くその動きは、己の体重よりも重いだろう鉄塊を軽々扱う人外の膂力もさることながら、ピタリと正眼に止めた構えの隙の無さで見る目のあるベテラン達を瞠目させた。
少し離れた所から成り行きを見守る隊商主や、ここまでゼナと共に護衛を務めて来た冒険者たちは、ニヤニヤ笑いを浮かべるばかりで止める様子もない。

ゼナ > 「他にはもう文句のある人はいないみたいですね。それでは出発しましょう。王都まで気を抜かず、しっかり隊商を守っていきましょうね」

額に浮き出た汗をぬぐう動きがノースリーブから汗濡れた無毛の腋や、たわわな横乳を覗かせて、先程の立ち合いで実力差を思い知らされた数人の戦士たちの視線を奪う。
そうした無防備な所作が旅の最中に荒くれ冒険者達の暴走を招く一因となっていたりもするのだが、先程の立ち合いのインパクトは少なくともしばらくの間彼らの手綱を取りやすくしてくれたはずだ。

そうして始まった隊商の移動が王都へとたどり着くのは、まだかなり先の話となるだろう―――。

ご案内:「北方帝国シェンヤン」からゼナさんが去りました。