2018/06/09 のログ
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」 酒場「崑崙」」にオーギュストさんが現れました。
■オーギュスト > 帝都シェンヤン。
北方帝国の首都たる都に、オーギュストはようやく辿り着いた。
「ったく、時間がかかったぜ……」
何せ、手形から何から偽造して、冒険者として潜り込む必要があったのだ。
途中の村でヒュドラ退治を頼まれるわ、逃亡中の凶悪犯を倒すのを手伝う依頼をされるわ、ここに来るまでに随分とかかってしまった。
あまり長く師団を留守にすれば、またサロメがうるさい。
用事をはやく済ませるとしよう。
「……っつってもなぁ」
まずは、この帝国で古くから住むミレー達。
彼らの情報を集めねばならない。
■オーギュスト > ぶらりと入った酒場でオーギュストはとりあえず注文をする。
「何か腹にたまるもんと酒をくれ」
「あいよ!」
威勢の良い店員の返事を聞きながら、あたりを見回す。
どうやらここは下町らしく、平民や自分と同じ、無頼の旅人、いわゆる冒険者で溢れていた。
こういう所は、えてして依頼なんかを取り扱っているものだ。その依頼の中で、これという物が見つけられれば……
「まぁ、そう簡単にはいかねぇだろうがな」
とりあえず出された酒に手をつける。どうやら蒸留酒のようだ、なかなかにキツい。
■オーギュスト > 「お客さん、都は初めてアル?」
「この国自体、な。南から流れてきたんだ」
妙な訛りの店員の少女と話ながら、まずは飯を掻きこむ。そういえば帝国では米料理をよく出すが、米といえばあの島ではよく食べた、懐かしい。
とりあえずクズ野菜と米の炒め物をかっこみながら、依頼書に目をやる。さすが帝都だけあって、揉め事も絶えないようだが……
「――雑用ばっかりだな」
「そりゃそうアル。ウチは帝都の何でも屋アル。妖怪・妖仙絡みなら別を当たるヨロシ」
別にそんな面倒な連中に用があるわけではない。目当てはミレー族だ。
■オーギュスト > とりあえず、ミレーと接触できそうなのは……
「――お、うめぇなこの餃子」
「お客さん、この国初めてなのに餃子知ってるアルか? うちの餃子は絶品ネ! たんと食べるヨロシ」
満足そうなシニヨンキャップをつけた少女にお代わりを頼みながら、餃子を頬張り酒で流し込む。
そんな時に見つけたのが……
「――ミレーの将軍によるもののけ退治?」
■オーギュスト > 「その依頼、かなり厳しいヨ。将軍、すっごいドケチアルネ。自分も質素な生活してるからみんな文句言わないダケヨ」
どうやらミレー族の軍人、しかも将軍位にある人物らしい。
この人物ならば、古くからの伝承の残るミレー族の事を知っているかもしれない……
「――っし、受けるぜこの依頼」
「マジアルカ。物好きなヤツアル」
あきれたように言う少女が餃子のお代わりを持ってくると同時に、依頼書を壁から外しこちらに手渡す。
なぁに、外れたらその時だ。もののけというのはこちらで言う魔獣や魔物みたいなものだそうだ。常日頃から魔族を相手にしているオーギュストにしてみれば、そう怖い相手でもない。
■オーギュスト > ――しばらくすると、酒場がどよめく。
店主が使いをミレーの将軍の屋敷へ送ってくれたらしいが、なんとその将軍本人が酒場へやって来たのだ。
「依頼を受けるというのはお前か」
年の頃ならオーギュストと同じか少し年上か。
厳つい顔としなやかな身体、そしてミレー族特有の耳を持った将軍は、オーギュストにぶしつけに尋ねる。
「あぁ、俺はギュスダヴ。旅の冒険者だ」
手形と同じ偽名を名乗る。
将軍はしばしこちらを値踏みするような視線で眺める。
■オーギュスト > 「――都尉の虎燕(フーヤン)だ。よろしく頼む」
どうやらおめがねには叶ったようだ。
虎燕と名乗った将軍に挨拶するとともに、依頼の打ち合わせに入る。
目的は帝都郊外に出没する妖怪。どうやら二又の頭を持つ竜のような生き物らしい。
帝都近くにこれほどの大物が現れるのは珍しく、至急腕の立つものが欲しいそうだ。
「腕に覚えは?」
「そこそこだな。ヒュドラならこの前狩ってきたぜ」
大言壮語と思ったのか、その手の売込みにはなれているのか。
虎燕は無言で頷くと、前金を寄越してくる。なるほど、依頼の規模にしては額が少ない。
だが、オーギュストの目的は金ではない。
「確かに受け取った。んじゃ、行くとするか」
席を立ち、帝都郊外へと向かうオーギュスト。
虎燕は何を考えているのか、じっとオーギュストを見つめたままだ。
■オーギュスト > しばらく後、帝都を騒がせた双頭竜が退治されたとの報が流れる。
帝都住民は安堵し、日々の生活を取り戻した。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」 酒場「崑崙」」からオーギュストさんが去りました。