2023/06/08 のログ
ご案内:「タナール砦」にリスリィさんが現れました。
リスリィ > 「………はっ、は、っ…は……」

息が荒い。それはもう、行き来する空気の当たる感覚だけで、喉の痛みすら覚えそうな程。
なのに、強いであろう、その呼吸音を。自分自身で、ほとんど聴く事が出来ないのは…
周りが。もっともっと大きな喧噪の、真っ直中に在るから。

戦闘が起きている。人と魔族が、日々入れ替わる砦であるのだから、当然の事ではあるものの。
よりによって。学生達を中心とする、見学者達の居る、今日このタイミングで。魔が攻めてくるなんて。

取り敢えずといった風に。鎧も着て、剣も持って、けど…
実戦の経験など、無いから。戦えるとは思えない。もちろんそれは、他の見学者達も。
現場の将兵達にだって、そんな事は分かりきっているだろうから。寧ろ足手まといにしかならない事もあり、後方から逃げろ、砦から退いて戻れ、と言われているのだけれど。

…問題は。そうして、今、砦から出て。安全なのかどうかだろう。

ご案内:「タナール砦」にラグナレビアさんが現れました。
ラグナレビア > 「――――落ち着きなさい」

(逃げるべきなのか、それともここに留まるべきか。そんな判断さえ下せなくなっている少女を包み込んだのは、荒々しい怒号にも掻き消される事無く耳に染み入る落ち着いた声音と背筋に押し当てられたふんわりと柔らかな体温。そしてここが戦地であるという事実を一時的に忘れさせる優しい華香。呼吸と共に乱れに乱れた胸の鼓動が背後から密着する豊乳の心音によって徐々に静まって行く。そうして落ち着き声音の主に目を向けたなら、頬が触れ合う程の至近から柔和に微笑む美貌を見る事が出来るだろう。早いうちから戦場の空気を味わうべきだという軍部出身の教師の提案によって敢行された前線見学という課外授業に、騎士課の少女同様参加していた上級生が混乱の極地にあった少女を背後から抱きしめて声を掛けたのだ。)

「安心して。本格的な戦にはなりませんわ。 ―――ふふふ、魔族にも悪戯心を解する者がいるみたいね。恐らくはわたくし達がこの砦に入る所を見られていたのでしょう。軽く脅して未来の騎士様に魔族の恐ろしさというものを刻み込んでやろう……なんて考えているのかも?」

(どこまでも落ち着き払ったウィスパーボイスは、この様な状況にも関わらず少女の鼓膜を甘く震わせその背筋にぞくぞくと妖しい愉悦を走らせる。)

リスリィ > どうしようどうしよう。
使い物にならない事なんて、学生である当人達自身が、誰よりも判っている事だろう。
つい先程まで。きびきびと動き、日々の務めに勤しむ、現役の騎士達や兵士達の姿を。感歎や憧憬と共に、見学していたばかりなのだから。
かといって。そんな、将来の諸先輩方が、これから命をかけるという。それも、未熟な後輩達を逃がす為にも、という意味で。
それなのに。本当に。逃げてしまって、良いの?、と。乱れた鼓動は、まるでそう問い掛ける為にこそ、胸の内で暴れているかのように思い…

「………  ……ぁ、っ」

(それを。ふわりと、外から、包み込まれる。全くの不意打ちに、思わず、上げてしまった声が。実に戦場らしからぬ、ただただ呆気に取られたような、響きになってしまったのも。仕方ない。
何故なら、感触の正体は。穏やかな抱擁で、回された両腕は柔らかく、それ以上に…背中に触れる、更に柔らかく、温かい感触は。
同性の、成熟した発育の証左なのだ、と。直ぐに把握出来るものの。判ってしまうと、だからこそ、意識してしまう…意識を、そこに持って行かれてしまう。
戦場という所には。きっと、正反対であるかのように、優しくて。温かくて。
一度意識が逸れてしまうと。周囲の喧噪も、他の生徒達の混乱も、急速に。鼓膜から外れていくかのようだった。

「その声。…ぁ、ぇ、と………のく、とら…先輩?」

肩越しに振り返ってみると。どきり。肩へと、顎の載るくらいの至近距離から、こちらを覗き込む瞳。
鼓膜を擽る、やはり時ならぬ…といった声と。それを紡ぐ唇と。
一瞬、目を泳がせてしまうのは。戦端に対する恐怖よりも。今、この瞬間の、距離感に対する当惑が、ほとんどで。

「そ、そうなの…でしょうか。わた…僕は、こちらにお邪魔するのも、初めてなので。
……先輩は。経験が、お有りなので…?」

ラグナレビア > 「―――あら? わたくしの事知っていらして?」

(途切れ途切れの声音が紡ぐ問いかけに、白銀髪の上級生はきょとんと紅目を丸くした。怯えも緊張も見て取ることの出来ぬ、他愛のない日常のワンシーンで浮かべる様な表情もまた、少女の心の強張りを解く一助となるだろうか。)

「ええ、貴女よりもいくらか長く生きてますもの。多少の経験はありましてよ。 ―――ほら、耳を澄ませてごらんなさい。戦いの音、遠ざかって行くでしょう?」

(下級生に見本を見せるかの様に、双眸をそっと閉ざして艷やかな銀髪から覗く耳に意識を集中させる。白皙の美貌の睫毛の長さや、艷やかに濡れ光るピンクの唇などに気を取られず、少女がそれに倣うなら、上級生の言葉通り、潮が引くかの様に騒乱が収まって行く様を耳にする事も出来るだろう。そうして少女同様パニックに陥りかけていた生徒達も、状況の収束に気付いた教師たちの声掛けによって落ち着きを取り戻していく。それに合わせて嫋やかな繊腕がするりと拘束を解き、騎士見習いの少女を解放した。人肌の体温が背筋から遠ざかるも、上級生はその場に佇んだまま。改めて彼女がこちらに向き直るなら)

「ふふふ、落ち着きまして、未来の騎士様?」

(紅目を細めた優しげな笑みが、ほんの僅かに誂いの色を帯びつつ傾げた小首で銀糸を滑らせた。つい先程まで顔面を蒼白にして一刻も早くこの危険地帯から逃げるべきだとがなり立てていた教師―――此度の課外授業を声高に主張していた軍人上がり―――がそれは見事な掌返しを披露して、生徒達の先程の狼狽ぶりを責め立てていた。曰く、今夜は予定していた通りこの砦にて一夜を過ごす事になるので、寝小便など垂れ流さぬようせいぜい気をつけておけとかなんとか。)

リスリィ > 「ぁ、はい。それはもう。…学院に通っていましたら、自然と」

頷いてみせた。容姿端麗だとか、眉目秀麗だとか、という四字熟語を、一切の余剰無しに擬人化しても。この人物を、言い表すには、尚足りないであろう。
そんな学院の高嶺の花…を通り越して、いっそ、決して手の届かぬ何か…をすら想起させる、先輩である。
プライベートな噂については、さっぱり伝わってこないというのに、それでいて尚。多くの生徒達が、彼女には憧れている事だろう。
…正直。そんな気持ちは、解らないでもない。いや、解ってしまいそうだ。
一言毎に色の映える唇の艶。囁きと共に耳元を擽る吐息。パーツ毎の所作、一つ一つにすら、目を吸い寄せられる感が有る。
当の彼女の言葉で、周囲に対して触れられる事が無かったなら、本当に。気を取られていたのかもしれない。

すぅ。はぁ。落ち着かせて貰った鼓動に続いて。軽めの深呼吸で、息の音についても、抑え込んでいけば…やっと。
まともに機能し始めた鼓膜に、砦の外からであろう物音が。確かに、指摘の通り…次第に。小さく、そして遠くなっていくのが、聞き取れた。
本当に。魔族の襲撃は、脅し、でしかなかったらしい。勿論軽い小競り合いもあり、誰も彼もが無傷、ではないのだろうけど…それでも。
未来の騎士達が、目も当てられぬ惨状を直視して、その将来を考え直す、という所までは。いかないのかもしれない。

あんまり品の良いとは言えない、教師の叱咤声も、もしかすると。例年の恒例行事めいた事であって、慣れっこなのかもしれないと。
些か鼻白みながらも、そこまで、考えを巡らせ始める事が出来たなら。確かに、落ち着く事も出来そうな。

「は……い。お恥ずかしい所を、お見せした……なぁ。と。失礼、しました。僕、は…」

と。軽く、名乗りを挟みつつ…さて。
戦に対しては、落ち着く事が出来てくると、今度は。改めて、現状の方について、意識させられる事になる。
あくせく、急かされ動き始める、他の生徒達も。声を上げる教師も、不思議と。
抱き締める先輩、抱かれる後輩、その二人について。邪魔してくる事も、急き立てる事すらもないようで。
お陰で彼女の、甘い香りや、決して熱すぎない体温ばかりが、再度知覚させられてしまい。

ラグナレビア > (牽制程度の軽い小競り合いに過ぎなかったとはいえ、砦に詰める正規兵は被害状況の確認を始めとした事後処理で忙しない鎧音を響かせている。未だに先の混乱を引きずる学院生達も、ようやく教師の指示に従い荷物を担ぎ、だらだらと今宵のねぐらへの移動を開始する。そのほとんどは寝藁の上での雑魚寝となり、運の良い少数は2段ベッドのずらりと並ぶ一般兵の寝所の端を借り受ける事が出来るだろう。そんな周囲の動きには目もくれず、蒼髪の乙女との出会いをおっとりと楽しむ上級生。)

「貴女みたいな子に知られているというのは、存外悪い気もしない物ですのね」

(言葉の通り嬉しそうに白銀の美貌がふわりと綻ぶ。元々素直な質なのだろう。こちらの言葉に従おうと乱れていた呼吸を落ち着かせ、耳を澄まし始めた少女の身体から緊張の強張りが抜けていく。それを確認した上級生は背後からの抱擁を解き―――かけた所で)

「――――……僕?」

(再びきょとんと数度瞬く。丸くなった紅瞳がまじまじと騎士見習いの可愛らしい顔立ちを見直して、それに続いてすい…と下ろした視線が見るのは制服の胸元。あまりに細い腰の割りにはしっかり肉付いた柔らかな双丘がそこにはあって――――ふにゅり。思わず揉んで確認してしまう。肩上から回して胸元へと下ろしていた繊腕の抱擁を一旦引いて、わざわざ腋下から腕を挿し入れての乳揉み確認は、余りにも邪気の無い動きによって行われたため少女の精神的死角を見事についた不意打ちとなった。十の繊指が制服越しに柔肉に沈み込む際、ぞくんと乳奥に染み込む喜悦を生じさせつつ、特殊な一人称の騎士見習いの性別を確認する。)