2022/10/13 のログ
ゼロ > マグメールの軍が制圧をしているタナール砦、其処に第七師団の兵士が一人。昨日に引き続き、今日は砦内での訓練と言う事で、砦の中の広場に居る。
国からの増援が来るまで、砦の維持が厳しいとか何とか聞いている、将軍や、隊長などから何の沙汰も無いので指示があるまでは此処で待機なのだろう。
それは其れとして、鈍るわけには行かないので、訓練をしていた。
得物であり、メインウエポンである槍、サブウエポンになるナイフ、そして、体術。
この三つがあれば、中距離、近距離、接近の三つの状態に対して問題なく対応できる。
後は、投擲術を訓練すればいいだろう、状況に依っての戦闘、基本的に何かがある、と思わない方がいい。
訓練というのは、最悪を想定した状態を考えての訓練だ、と。
なので、基本ゼロは武器を頼りにしない。どこでも手に入りそうなものを選び、それを鍛える。
投擲にしたって、武器は石ころだし、ナイフも今持っている者が無くても、直ぐに手に入るだろう。
槍にしても剣よりはその辺にある、木の枝や棒でも代用できる。
そんな考えから、少年は装備を決めて、淡々と訓練に励むのだ。
基本の方を、何回も、何回も、其れこそ、飽きたというのさえ烏滸がましい位に、性格に、精密に。
応用の行動ではなく、基本、それがすべてだ、と信じているから。

ゼロ > 其れしかない、愚直と言われても、其れしかないのだ。ゼロは、唯、唯、全身全霊を持って、訓練を行う。
其処に、思考の余地はなく、体を順応させるために、只管の反復練習を行う。
突き、薙ぎ払い、振り下ろし、槍の基本の動きを唯、唯、自分の体に覚え込ませるために、愚直に突き、薙ぎ払い、振り下ろす。
力任せかと思えば、ちゃんと寸止めはする程度には、力を制御する。
一突き、一振り、全て制御し、基本の型の通りに動いて、振って、凪いでいく。
他の兵士たちは、どんどんどんどん応用や、奥義に向かっていくところを、唯々、ゼロは基本を繰り返す。
其れに焦りはなく、焦れも無い。
ただ、有るがままに、槍を振り、槍を突く。地面を踏みしめる足は、ズン、と地面を慣らし、ただ、突く。
前身の体重を、筋力を全て載せての一撃を。

訓練を、唯、唯、只管。
それが当然だから、ゼロの動きは止まることなく。
他の兵士が体力が尽きて動きを止めることが有っても、ゼロは動き続ける、訓練を続ける。

ゼロ > 暫し以上の時間帯、他の兵士たちが訓練を終えて去って行ったしばらく後に。
ゼロも最後の訓練を終えていく。
長い間、動き続けていたからというのも在るのだろうけれど、秋口の夜、其れなりに冷えている筈なのに、周囲に湯気が沸き立つ。
鎧の中で熱が籠っているのが判る、汗がダラダラ流れているのも理解できる。
疲れているかと云えば、疲れているのだろう、動けるかどうか、で言うならば、動ける。
今全力をだせと言われれば全力を出すことができる、それぐらいには、回復能力が高いのだ。
なので、へばることなく、汗に濡れた躰を流すことに注視しよう。

「風呂にでも、入ろうか。」

最期に一度、武器を振ってから、少年は周囲を見回す。
兵士達は、確りと防衛できているのだろう、何事も無かったかのようにある。
それなら、良いだろう、と食事もしたいと言う事を思い出して。
まずは風呂、そしてから食事、と。
そのまま、砦の中へと歩いて去って行くのだった。

ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。