2022/09/14 のログ
ご案内:「タナール砦」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 砦は常に、奪われ、奪い返されを繰り返す。
最早、この砦がどちらの側が建てたものかさえ、知らぬものがいるほどに。
しかし、少なくとも今日に限っては、襲撃者に砦は奪われず、魔族の砦としてそこにあった。

「ふむ……しかし、退屈ではある」

砦の頂上から、王国軍の陣営を見渡す、醜悪なる魔王。
既に、何合か小さな戦いはあったものの、お互いの兵を幾つか損なう程度で終わっている。
それも、殆どは怪我人を生み出すだけで、死者は恐らく片手の指で足りる程だろう。

「私一人で敵軍を吹き飛ばす、などという芸当が出来ぬわけではないが。
しかし、私の本分はあくまで"誘惑"であり、"契約"……。あまりそれを用い続けると、悪魔としての在り方に関わる」

ならば、と男は指を鳴らす。
同時、何処からともなく、配下の魔物が現れ、その足元にひざまずく。

「砦に幽閉している捕虜から、何名か見繕って、此処に連れてきたまえ。できるだけ可憐であるか、美しいものがいい」

そう言う彼に対し、配下の魔物は一瞬返答に間を置いた。
その意図を、男は正確に理解している。
"正に一食触発の状態で、今、そんな無意味な事をするのか"と。
それに対し、男は肩をすくめて答える。
答えなくても良い質問だったが――それを答えるのは、彼の余裕であった。

「敵を精神的に揺さぶるには、見せしめと相場が決まっている」

ご案内:「タナール砦」からロブームさんが去りました。