2022/09/11 のログ
ご案内:「タナール砦」にネロさんが現れました。
ネロ >  
「…何これ」

砦を取っていい気になっているだろう人間を蹴散らしてやろうと
魔物の軍勢を率いてタナール砦へとやってきた魔王の娘、ネロ

しかしその蒼眼に飛び込んできた光景は…
既に砦を勝ち取り、中で宴に興じる魔族達の姿だった

「聞いてない!!
 人間どもが取り替えしたって話じゃなかった!?」

癇癪を起こしたように背後の軍勢に叫ぶも皆一様に『いや知りませんそれは』といった顔…

「どうなってんのよ連絡系統…!
 いくら一枚岩じゃないからって、もうちょっと統率とか統制とかってモンないわけ?」

苛立ちを隠す様子もなく砦の中へと踏み入り、辺りを睨みつけなら進んでゆく

『我々はどうすれば?』といった感じの顔の魔物の軍勢には一瞥し「用無し、帰れ」と無慈悲に言い放つのみだった

ご案内:「タナール砦」にガーネットさんが現れました。
ネロ >  
「ふ、ふん…まぁいいでしょ。
 アタシ達魔族のほんの気紛れであっさりヤられちゃうような人間が悪いんだわ」

虫の居所の悪さはすぐに、見下している人間に対してそれてゆく
しかし砦の中を偉そうに闊歩して眺めているとどうも砦を落としたばかりという雰囲気でもない…
砦を落としたばかりなら宴の中で虐げられている人間がたくさんいてもいいはずだし、
砦もあちこち傷んでいて修繕に手を焼いている魔族がいたり…そういう光景が見えてこない

「ちょっとアンタ」

適当に声をかけた魔物は、魔王の娘に気圧されやや身体を震わせる
そんな魔物を見下したような視線で見上げながら、ネロは問いかける

「この砦、今の連中が落としたのっていつなのよ」

『あぁ、それは──』

………

……



「3日前…ね……」

3日前…?
呆れたような、気づかれしたような顔で溜息を吐く魔王の娘
魔族達、連携とれてなさすぎじゃないの…?
思わずハァ!?と怒鳴ってしまって魔王の気に押され壁にめり込んでしまった魔物を尻目に、砦の入口に向け歩いてゆく

ガーネット > 「出足が遅かったという事でしょうか?」

背後に控え姿を現す、その場に似つかわしくない姿の影。
主と同じく眼下の砦の様子を見下ろしぼそりと呟く。

「取って取られての砦ですし、仕方がない事かと」

八つ当たり気味だが、正鵠は射てる言葉に同意して付け足す。
苛立ちを隠さぬ様子に少し戦々恐々としたまま後に続いて砦の中を進んでいく。

「三日ですと雑多の集合とはいえ、指揮系統はもう少しまともであって欲しい所ではありますね」

当日であれば、支度が遅かったせいかもしれないが、三日ともなれば呆れるのは主と同じく。
少しでも気を落ち着かせるために同意し、頭を少しでも冷やしてくださいと扇でパタパタと扇ぎながら主と共に砦の入口へと歩いて。

ネロ >  
「雑多な指揮でも奪えちゃうくらい、人間なんて弱いのに。
 それで奪って奪われてになるのはどういうことなのよ。
 勿論、人間側にだって手練れはいるんでしょうけど」

背後から投げかけられる言葉
湯だつような苛立ちは収まった様子はなく、やがて砦の入口…
そう、人間の国…マグメール王国側の城門へと辿り着く

「結局、ここから先に攻められないのがいけないんでしょ?
 だから奪って奪われて、何度も繰り返してるんだわ」

豊かな胸を持ち上げるように腕を組み、憎らしげに門を睨みつける魔王の娘
やがてちらりと後ろを振り返り、背後に控えるガーネットへと視線を向けて

「アンタは知ってる?攻められない理由
 お父様は教えてくれないのよ。ここから先に往くなというばかりで」

お父様、魔王ナルヴァートは娘にこの地の秘密を語っていないらしい
即ち旧神アイオーンの加護の残る地にて、魔族の力が大きく抑制されるということ
王国では既に風化し基本的に知る者はいないという、そして魔族の国でいえば古い魔族は知っているかもしれない…といった話である
 

ガーネット > 「単純に集団戦での練兵の差かとは思われます。
 個々の身体能力においては魔族の方が優れますが、
 雑多な指揮のせいで集団戦では覆されると。
 あとはネロ様の仰る通り手練れの存在もあるかとは思います」

扇で扇いでいる効果が多少はあるのか、苛立ちは感じるが意外に冷静な判断が下される。
問われて恐る恐るといった様子で自分なりに分析して告げる。
今の状況になっている実体験も含んでいる分、説得力はそれなりに感じられるかもしれない。

「そうはなりますね。
 大軍を率いれるのは砦までと」

肩越しに向けられる視線、迫力にびくっと震えて素直に告げる。
扇ぐのは止めないまま、どうしますかと少々不安げに見つめて。

「そうですね、力が封じられるためと書物で見た事はありますね。
 ただ、その所以もはっきりとはせず、本当かは分かりません。
 少なくとも、ネロ様にはあまり関係ないとは思えますが」

色々と調べ物をしていた時にふと見つけた書物、その真偽もはっきりとはせず、失伝していると言っても良い。
加護が作用するにしろ一定の力迄であり、上回る者には多少の窮屈さが感じられる程度かも知れない。
好戦的な主ゆえ、教えられないのではなかろうかと推測を恐る恐るといった様子で伝えて。

ネロ >  
「そうね。思えばアンタを拾ったのもこの砦だったっけ」

仰がれ、緩やかな風がピンクの髪を撫でる
淫魔女王と魔王の血、容姿"だけ"は整っているためやや絵にもなろうという見返り姿である

「…何で仰いでんのよ。別に暑くないけど?」

が、すぐに眉を顰め台無しになった
従者の気遣い、主に伝わらず

「力が封じられる、ね…。ふん、古の人間達の策か何か?
 アタシに関係ないような程度のモノなら、もっと武闘派の魔王や強力な魔族がとっくに踏破してるでしょ」

魔王を名乗らずとも、魔族にも軍を率いるような手練れはいる
それでいて侵略の手を広げないと言うのは、やはり相応の理由があるのだろう

「一度行ってみようかしら、向こう」

ぷっくりとした唇に指をあて、じーっと門の向こうを見据える
それは勿論、父親である魔王の言いつけにばっちり背くことで

「お父様には絶対内緒で」

バレでもしたら、止めなかった従者もただではすまない行為かもしれなかった