2022/07/11 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
■ゼロ > 魔物たちは撤退していった、タナール砦を防衛することに成功した。
砦に常駐している兵士達は、奪還に参加した第七師団の仲間達は喜びの声を、勝鬨の声をあげている。
そんな彼らに交じりながら、一緒になる事が出来ない少年兵が一人。
右手には、血まみれになっている鋼鉄の槍、左手には何も持たず、全身を蒼の色をした鎧で身を包んでいる。
仮面をかぶり、首元には赤いスカーフを巻いた彼は、確かに第七師団の兵士。
鎧の腕の部分には、古くてぼろぼろの腕章があり、其処には、第七師団の文字。
旧第七師団の生き残りの一人、ゼロと言う名の少年兵は、静かに移動をした。
何時もの事でもある、勝ったからこそ、警戒するのだ、喜んでいる時が、一番隙が、油断が生まれる。
それを知っているから、少年は一人、砦の北の方面の入り口に、魔族の国の方の門に移動する。
砦の中では、之から晩餐が、パーティが始まるだろう。
誘われてもいないし、誘われても良く気も無い。
ただ、己の職務として、兵士として、国を守るために、進んで防衛任務に就く。
落ち着いたのであれば、他の兵士と共に、拠点へ撤退する。
ただ、それだけの事。
夜の森は薄暗く、しかし、仮面をつけている少年の目には、昼間のように明るく獣がみえる。
此方を見ている獣もいれば、草むらを進む獣も見える。
魔力を見て、魔力で見て、少年は、魔族がいないかどうかを、静かに見守る。
その腕は、その足は、何時でも、最高の一撃を放てるように、緊張していた。
■ゼロ > 静かな夜だ、砦の中は、屹度どんちゃん騒ぎなのだろう、酒を飲み、上手い飯を食らっているのだろう。多分。
そんな中、外の警邏に回るのは、防衛をしているのは、一部の存在だけ。
例えば、ヒエラルキーが低くて、望んでもいないのに、防衛を理由に追い出されたものが多いはずだ。
自分の様に、志願して此処にいるのは、一体どれだけなのだろうか。
そう、考えては見たが、興味も薄く、如何でも良いと、切り捨てる。
ただ、防衛任務の為に、目を光らせるだけだ。
閉じられている門の外、少年は只、静かに立ち尽くす。
魔族の国方面を、唯々、静かに、見つめている、立ち尽くす少年は微動だにせず。
夜の風が、頬を撫でて通り過ぎていく。
昼間と比べればそれなりに涼しい夜だ、森の木々もさわさわと静かな音を響かせて眠気を誘う。
その眠気に負けることなく、少年は唯々、立っている。
魔族の国から、何かこないだろうか。
脅威はないだろうか。
折角取り返したのだ、直ぐに奪われては、敵わないというのも、ある。
せめて、砦の仲間がたらふく食って、士気を取り戻すぐらいまでは。
槍を片手に、少年は、先を見据える。
■ゼロ > 静かに立ち尽くす少年の元、周囲は静かで誰かが来るような様子もない。
それは、善い事だと思う。魔族の国からくる存在は、誰であろうとも、警戒をしなければならないのだから。
唯々、少年は、兵士として立ち尽くし、警戒をしている。
言葉を放たねば、唯々、静かに時間が過ぎていくだけである。
木々が揺れる音、獣が動く音。
それを見通し、見やり、見守って。
タナール砦の、一日は、過ぎていくのだ。
少年兵は、警備を終えて、拠点へと戻っていくのだった―――
ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。