2022/03/26 のログ
ご案内:「タナール砦」にシャルティアさんが現れました。
シャルティア > 魔族が現状支配するタナール砦
大きな戦闘後のせいかまだ王国の攻撃はしばらくは無さそう
魔族の兵士たちはこの時間でも瓦礫をあつめ投石の道具として集めたり、詰め所を補修したりと前回奪取時の戦が激しかった名残がある

さて、そんな魔族が実行する砦に、奇妙な客……捕虜……迷子……魔族たちにもどう扱っていいか分からぬ存在が居座っていた。
王国兵の様子はない、怖がる様子もなく魔族の兵士にも、オークの兵士にも愛想を振りまく――天使だ。
むろん、の王国にも魔族の国にも天使というのはいない。別の国から迷い込んだのか、それとも自称でただの翼人の子なのかは不明だが――天使と自称する癖に非常に有効的なのだ。
最初にこの小さな少年を見つけたのは、重い瓦礫を大量に運んでいた魔族の兵士だ。突然真上から

――重いの? てつだおっか?

という子供の声がした。可愛らしい声に違わぬ姿の少年はオークやトロルですら持て余す瓦礫を、まるで木の玩具でも持つように運んでいったのだから兵士のこの報告はまず信じて貰えなかった。
そもそも、天使――というのは魔族に仇なすのではないかという言葉も不安の声も上がった。だが少年はニコニコと人懐っこい笑顔で愛想をふりまき、今も率先して重い武器を軽々と束で担いで、元気よくとたたっとかけている。
ハルバードやウォーアクスがぶつかる重い金属の音が、ようやくそれが重い武器であると自覚させてくれるのが幸いだ。
大きな飲料水の入った樽や、酒のはいった樽も誰よりもいっぱい運んで来る。
魔族たちは最初は不安や敵対心のような微妙な気持ちだったが、目が合うだけで愛想をふりまくこの小さな少年に非常に助けられてるのも事実だった。なにせ朝までかかるはずだった飲料水や酒の運搬、運搬のための瓦礫等の撤去も終わっているのは少年のおかげなのだから。

「んー? ぼくはねー魔族さんをやっつけるんじゃなくてね、悪い魔族さんをやっつけるの♪」

魔族の兵士が天使が魔族の手伝いをしていいのか?と聞くと、少年は当たり前のように応える。
悪い魔族、という概念も曖昧なので魔族達もそっとしている
下っ端の兵隊にとっては、肉体労働を助けてくれるこの小さな力持ちの少年が友好的ならばありがたい。事実朝まで重労働を覚悟していた兵隊たちがもう、酒をのんで食事をしてるのは少年のおかげだ。

シャルティア > すっかり毒気を抜かれた魔族の兵士達――オークやゴブリン、トロルや魔族達に囲まれ、乾パンに携帯用のクリームを塗った簡素なビスケットもどきを美味しそうに食べている。
ぬるい水、簡素で乾ききった乾パンでも満足そうな顔をして嬉しそうに笑顔を見せる少年に下っ端の兵士たちもなんとなく、人懐っこい子犬のように頭をなでたり物を与えたり。
人、天使というよりは迷い込んできた犬のような扱いだ。

あむあむ、と固くなった干し肉をかじってる姿は撚るだけで千切れそうな子供だが、その子供がこの一般兵達の誰よりも怪力を持ってるのも事実だがどう見ても危害を加えてくるようでもない。
なにか悪さをしでかすようにも見えない。
トロルが見下ろしてるのを、少年が見上げ目が合うと

――えへへ♪ 美味しいよ、はい♪

と干し肉をちぎり手を差し出す。魔族や種族も関係なく人好きなのだ・

シャルティア > よ――っと、少年が立ち上がる。その時にバランスが崩れておとと、としてる辺りがもう危なっかしい

んじゃ、帰る!

ぶんぶか元気に「ばいばい!」と手をふる少年
兵士たちはどう扱っていいかわからない。天使と自称する子供を帰らせていいのか捕まえておくべきなのかも難しいし、そもそもあの怪力の少年が素直に捕まるだろうか……という疑問もある。
困ってる兵士たちだが――少年は空いた樽の中に勝手に酒の瓶や食事の残った骨をぽいぽいと突っ込み、軽々とかかえて

――これかたしてくねー

とかけて行く。
下っ端達のリーダーも肩をすくめて首をふるだけだ。
ここまで献身的な子供なのだし悪意も害意もないだろうと部下たちに言ってやる。魔族たちもすこしほっとしている。
そんなものだ、下っ端たちにとって安全で安らげて休息がとれるというのは大事なのだから
小さなお手伝いに感謝して、兵士たちは酒を飲み直し始める

ご案内:「タナール砦」からシャルティアさんが去りました。