2022/01/26 のログ
ご案内:「タナール砦」からサタナキアさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > ―――剣戟が響き渡る。
 ―――怒号が、響き渡る。
  ―――悲鳴が、響き渡る。

爆音が、嬌声が、笑い声が、肉を打つ音が、呪文を唱える声が、助けを求める声が、死ねと叫ぶ声が、攻撃を支持する号令が。
様々な声が、タナール砦には響き渡っている。
魔族が襲撃をしてきたと駐屯地に報告が来た。
ならば、それを取り返しに出動するのが、第七師団、対魔族の師団。
少年兵は、起動力に優れている、他の団員の様に、馬や飛竜等を必要とせずに走る事が出来る。
だから、小隊長の指示にて一人先行、タナールにたどり着いたときには、既にこの状態。
防衛兵も、無能ではない、抵抗し、反撃ているのが見える。
しかし、それで安心できるというのであれば、第七に応援要請など来るはずもない。
蒼い全身鎧を見に纏い、仮面をかぶった少年は、右手に鉄の槍を持ち、駆け出す。
目の前にいるゴブリンをグリーブで蹴り飛ばし、加速。まずは、砦の中を抜けて最前線へと向かう必要がある。
途中で魔族に足止められるか、若しくは救助の相手がいるのであれば、其方へだ。
仮面は、闇の中を明瞭に見通す古代の遺産、幻術も、精神魔法もシャットアウトし、何時でも最適な状態へと回復する。
それを頼りに、石畳の廊下路、滑るように進んでいる。

ゼロ > 石畳の通路、見慣れている砦の中、其処此処破壊され、無残な状況を醸し出している。
オーガに襲われている兵士の前に立ち、オーガの棍棒を鉄の槍で受け止め、鉄の槍を軸にオーガの腹に蹴りを食らわせて吹き飛ばす。
その間に、兵士に、後退するようにハンドサイン。慌てて逃げていく兵士の足音が遠ざかるのを確認しつつオーガの方へ。
吹き飛ばされてもうろうとしているオーガの鳩尾に、全身でぶつかる様に体当たり。
鋼鉄の塊が鳩尾にぶつかってくればオーガも溜まるまい、呼気を吐き出すのを聞きながら、足を踏み下ろしてぐちゅりと潰す。
怒号がうるさいので、その首を腰に身に着けた巨大な短剣を引き抜いて、ずばらんと、首を堕とす。

血しぶきが噴き出る前に少年はオーガから離れて、次の目的地へ。
魔族を、妖魔を斃し、次に、次に。
止まることなく移動し、狩り、次へ。
それを繰り返している結果、砦の反対側―――魔族の国方面の入り口までたどり着く。
其処に居る、魔族の軍団を前に、少年はただ、無言で鉄の槍を振るう。

此処からは、門を背に、防衛線の始まりとなる。
やってくる魔族を押しとどめ、第七師団の部隊が到着するまで守る。
若しくは、魔族を撃退する。
それを認識しながら、少年は静かに、魔族の群れを、軍を見やり、不用意に近づいてきた一団を、鉄の槍で、薙ぎ払う。

ゼロ > 其処から、どれだけの時間が経っただろうか、少年の意識は凍り付いていた。
ただ、鉄の槍を振り回し、突き刺し、薙ぎ払い、叩き潰す、少年の後ろの門にある先に、砦には、近づかせない、と。
只管に、槍を振るう。休憩もなく、押し寄せる津波のような魔族を一人で押しとどめる。
一兵卒である少年は、しかして、弱いというわけではない、それは、今現状が示している。
来ている魔族が、少年よりも弱い、というだけでもあるのだろう。

そして、その内に、師団の仲間は砦に到着するだろう。
そうなれば、砦の中にいる魔族たちは、退治されていく、魔族の声よりも、人々の声が多くなっていく。
華々しく、砦が解放されていくのを、背中に訊きながら、少年は静かに、淡々と、やってくる魔族を援軍を処理していく。
そんな時間が、暫しの間続いていれば、ここを諦めて別の場所にするのか。
それとも、戦力が尽きたのか、魔族は来なくなる。
少年の足元には、死屍累々としている、魔族の死体が、積み上げられてそれで防壁を作っているようにも見える。

終わったのだろう。
少年は息を吐き出すが、視線は魔族の国から離れない。
不意を打つのは、奴らの常套手段だ、解放し、奪還し、歓喜している今が、彼らのねらい目だ。
第七の全員は理解しているだろうが、砦の兵士は助かったという安堵から、全員が気を抜くのだろう。
だから、変わりに、少年は、そのまま門番へと、移行する。

来るなら来てみろ、と。

ゼロ > 砦の方が騒がしくなってきた、恐らく復興の準備を始めているのだろう。
それと同時に、食事も振る舞われているようだ、まあ、それぐらいは仕方のない事なのだろう。
少年は門の前に立ち、魔族の国の方面を、唯々静かに眺めやる。

其処から、しばらくの間は、少年は警戒をしていた。
砦内が落ち着き、指令系統などが再構築されていくのだろう。
小隊のメンバーがやってきて、変わりの門番を連れて来てくれて。

少年は部隊と共に、撤退していくのだった―――

ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。