2021/11/12 のログ
ご案内:「タナール砦」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > 黒い夜空に白く月が浮かぶ夜。
陽が沈み空気は冷えて久しく、風はそよとも吹かないままただしんと温度を奪っていく。

今宵戦場に佇む砦はあらゆる所に篝火が灯され、城内の楼閣や物見の塔にひっきりなしに行き交う兵士の影が見える。取り戻したばかりの砦、内部の罠への警戒や夜襲に備え、その名の通り不夜城と化していた。
ざわざわという人らしい喧噪と武器防具の触れ合う音、それから一部、意気軒昂に賑やかすもの。或いは城の内部へいけば、早々に捕虜や娼婦に手を出してまた別の喧噪を立てているものも居ただろう。

そうして騒がしい砦で、見張りだろう、隔壁の上に槍を手にして立つ女がひとり。近くで篝火がバチンと大きく爆ぜるが、兜を被った表情は動かない。
背後の砦の喧噪をまるで意に介さず、夜の戦場跡を眺め降ろしている。

女の正体は血を欲する魔物だ。昼間散々に血を浴び死を嗅いだ今特にヒトに興味を示すことは無く
ただ公に狩れる相手を待ち、はた目にはごく生真面目な態度で見張りに勤めていた。

グァイ・シァ > ほぼ微動だにせず、ただ視線だけが戦場跡を這う。
月明かりは地上の景色の濃淡を露わにして、色のない景色は動くものをことさら際立たせる。

煌々と照らされた砦とはまるで真逆に丘は静かだ。
次の闘争までの束の間の休息。只生きたヒトたちだけが騒がしく、夜は更けていく

ご案内:「タナール砦」からグァイ・シァさんが去りました。