2021/11/09 のログ
■イディオ > (爆炎は屋上を震わせて、爆音が響き渡っていく。煙が上がり、石であるはずの砦の天井に炎が残る。
その中で男は―――イディオは。
魔族の予想を裏切り、生きていた、男の使う盾は、魔法に対する抵抗のある、マジックアイテムであり、男の鎧は兎も角、下に来ている服に関しても、魔法に対する防御のある装備だった。
死にたくないから、と、様々な守りを持つ男だからこそ、生き延びることが出来た。
そして、そんな、魔法を使ってくる魔族、恐らく高位魔族だろう、それに対して、成すがままでいる冒険者ではなくて。
普段は使わない、腰に身に着けている筒を手にする。)
「使いたくは、無かったんだけど……な!」
(クレインクインを置いて、筒を構えて魔族の方を見やる。筒には様々な光が浮かんでは消えて、男はその筒に、己の魔力を注ぐ。
魔法は使えない冒険者だが、マジックアイテムを起動することは出来る。
そして、その筒に魔力を流し、使用する準備を行う。
煙の中、隠れつつ魔法の準備、普段なら、五発分の魔力の溜まっている筒、出し惜しみは出来ないと、五発分の火炎球の魔力を一発分に集中する。
魔力が高まり、集中していくのを魔族は認識するだろうか。
そんな事に気が回って居ない、唯々、反撃して堕とす事しか考えて居ない。
魔力が凝縮され、塊となり、物理的な力さえ持って行くような気がする。
煙が腫れたときには、魔族は見るのだろう、筒を構えて狙う男の姿。
先程とは、逆の立場にある、冒険者。)
「く・た・ば・れ。」
(その声が聞こえただろうか、理解できただろうか。男は、筒の取っ手にある引き金を引く。
濃縮された魔力の塊が、本流となり、柱の様に吐き出された。魔族は魔法の障壁を作るがそれごと魔族を撃ち抜いた。
魔族は、魔力の本流に分解されて消えていく。
偶然なのか、その魔族が今回の指揮官だったのか、魔族の連携が崩れ始めた。
後は、消耗戦となり、冒険者が、兵士が、魔族たちを撃退していく。
砦は守られたようだ。)
■イディオ > 「疲れた………。」
(男は、腰を下ろす、重くは無いが、持っているのが億劫になった筒を隣に転がせば、ごろんと、言う音がして。
ふぅ、と息を大きく吐き出し、光の無い瞳で、下を見下ろす。
ゴブリンなどの低級魔族は、逃げ出していて、オーガなどの中級魔族は兵士に斃されている。
冒険者も適度な所で戦闘を終わらせて、砦に戻っている模様。
もう少ししたら合流して、帰ろう、と思う。
一応砦の指揮官に一筆書いてもらえれば、依頼人に終了を伝えることも出来るだろうし)
「今回のリーダーはちゃんと、報酬上乗せの交渉、してくれるんだよな……?」
(して貰わないと割に合わないし、他の仲間も其れは言ってくれるだろう。
まあ、それは後でいいや、と男はもう一度、大きく息を吐き出して見せる。
取り合えず、合流の声がかかるまでは、男はそのまま、夜空を、星を、眺めているのだった。)
ご案内:「タナール砦」からイディオさんが去りました。