2021/11/06 のログ
ご案内:「タナール砦」にジギィさんが現れました。
■ジギィ > 雲一つない夜空に白く月が浮かぶ。
星は満天に輝いて冬空を飾っているが、恐らくはこの丘でそれに気付いているのはほんの少しだろう。
腰高の草に覆われた丘は時折通る風になだらかな波打つさまを見せて、暫くはこの砦付近での戦闘が無かった事を伺わせる。明日は、いや今夜でさえまた踏み荒らされ焼き払われるかもしれないが、ともあれ植物たちは粛々と自分たちの営みを続け、その度こうして丘を埋め尽くしているのだろう。
「…夜は冷えるなあー…」
東の物見の塔の上、ひとり見張り番の女エルフが呟く。
数少なかろう、丘で星を見上げている呑気もの。
ぎりぎり見張りが出来る高さの適当な木箱の上に座り込み、配給された毛布にくるまっている。
武器は備え付けの弩弓があるし、異常があれば直ぐ撃てるように準備してあるのでサボっているわけではない。
まあそれは、爪先を射出用バーに乗せているという大変おざなりなものではあるけれども。
はあ、とそっと吐息を吐いても未だ白くはならない。
しかしこんな夜は
(あったかいお茶とか用意してくればよかったあ…)
木箱からはみ出した、バーに引っ掛けていないほうのつま先をぶらぶらと揺らす。つられて動く反対の爪先に、射出用バーが不穏にぎしぎしと音を立てた。