2021/09/26 のログ
ご案内:「タナール砦」にコルボさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」にヴィリオーネ親娘さんが現れました。
ご案内:「タナール砦」からヴィリオーネ親娘さんが去りました。
コルボ > 「まーまー、派手だこと。」

 数日前だか、ここで虐殺があった。
 相手は魔族の軍隊なので別にどうでもいいというか、結果として自分は哨戒役に雇われて
 偵察がてら周囲の情勢を見て回ることも出来る。

 哨戒役まで雇用の機会があったのは、戦いの後処理。

(噂の部隊か……。にしたって、どういう流れだよこりゃあ……。)

 虐殺、と凡人は評価するしかない魔族達の亡骸。
 遺体の処分を手伝う傍ら、経路を想像しながら虐殺の被害の過程を追っていけば、
 すぐに思いつくのが

【なんか英雄クラスの集団が雪崩みたいに流れ込んできた】

 情報を整理し、頭の中で砦の、当時の光景を俯瞰で想像する。

 誰か一人突撃して尚且つ死なない奴がいる。
 滅茶苦茶ぶち殺して回っているけど途中で脇道に逸れていたりする。
 魔族も”抵抗して”攻撃している、魔法を放っている。廊下に被弾した痕跡の影響もあった。

 でもなんか直進していた。

 凡人の視点からすれば、急に物語の展開を数項読み飛ばしたような現象が砦の各所で起きていて。

 そして、その一人が、中枢に座っていたおそらく親玉の首を取った。

コルボ >  一人という根拠は、刻まれた犠牲者の斬撃の痕跡が滑らかすぎること。
 砕かれた頭蓋の陥没具合が一様であること。
 数打ちの剣では不可能な痕跡。業物でもこれだけの数を屠れば
 いずれ切れ味に見えるはずの陰りが、見られない。

 ましてや、ついぞ先ほど蝶番を取り換えて自分が取り付けた指令室の扉。
 そこに転がっていた砕けた扉の残骸を思い返す。

(何回目だこれで)

 両手で数えるにも飽き足らない数、この”現象”を目撃してきた。
 噂に聞いて、最初は鼻で笑い、その劣化する前の痕跡を見続けて、
【嗚呼、実際にいるのだな】と思う。

(見てはみたい、がなあ)

 情報として、目の前の事実として、この現象を引き起こしたものを目の当たりにしたいと思い、
 首を振る。

 命がいくつあっても足りない。

 現実、王国にも、魔族の国にもこういう”特記戦力”が多くいて
 相対するのかしないのか、時折こういう”現象”を引き起こす。

 きっと彼等の半分ぐらい、自分たちのやっていることが”当たり前”だと思っている気がする。


「気分転換してえなあ」


 なんというか、戦後処理というより被災地の跡片付けみたいな気分で仕事が一段落し、
 哨戒から戻ってきて革袋から水を煽る。

 ちなみにタバコは吸わない。そのほうが女受けがいいので。

コルボ > 気持ちを切り替えたいので誰か話し相手が欲しい。
男でもいい。駄弁りたい。
女でもいい。駄弁りたい。

コルボ > 愚痴りつつ、英雄達を仰ぎつつ、当の本人も特技を自覚せず、
誰もかれもがやる気になれば出来ると思い込んでいて。

情報を即座に頭の中で整理し、立体的に配置し、精密に再現する処理能力。
それ等を俯瞰した視野でみられる概念。

目の前の現実を先入観なく受け止められる知識と情報への貪欲さ。


全ては、力のないチンピラがそれでも死に損なった末に、見ることと覚えることの価値を無意識に見出した結果で。


いつかの過去、彼をコルボ(烏)と呼び、そう名付けた者は、
少なくともカラスという生物の知性を理解していて、そこから彼をそう呼んでいて。

彼からすれば掃きだめならどこにでもいるくらいの扱いで呼ばれたのだと思っているけど。

コルボ > 一心地ついて、哨戒に戻る―
ご案内:「タナール砦」からコルボさんが去りました。