2021/08/16 のログ
ご案内:「タナール砦」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 昼間ずっと降り続いていた霧雨がようやく収まり、雲間から月が姿を現したころ。
戦線も砦からやや遠く、今日の所はやや押され気味、で済んだらしい。
兎も角もぬかるんだ戦場は兵士たちを疲労困憊させていた筈、であったが
砦内の食堂やら兵舎やら中庭やら、兎角飲み食いできる場所からは陽気と言っても良い喧噪が聞こえて来る。
恐らく、士気を下げないために酒食がふんだんに振舞われたからだろう。王国の正規兵も傭兵も、腹が満ちればお互い反目することなく、何なら交じり合って騒いでいる。

「は――――――ぁ――――――」

長い長いため息。
外壁に幾つかある見張りの塔の天辺で、背中に喧噪を聞きながら肩を落としている女エルフが一人。
居残りの防衛要員だったので何となく混ざりづらく、見張りの交代を買って出てしまったものの、陽気な雰囲気を感じると寂しさを禁じ得ない。
かと言って、持ち場を投げ出していける程の不真面目さもない。

「…ぁ―――――…♪」

溜息をそのままため息にしてしまうのも癪だったので、最後のほうは発声練習にしてみた。

「………」

やや空しい。
外壁の手摺りに寄り掛かって頬杖をつき、口をひんまげて辺りを眺める。
ざあ、と湿った風が吹いて行って、女エルフのくせ毛をかき乱して行った。