2021/08/07 のログ
ご案内:「タナール砦」にグァイ・シァさんが現れました。
グァイ・シァ > すっかり日が暮れた戦場の丘、聳える砦には幾つもの篝火が灯る。
砦の防衛戦となった昼間の戦闘は土砂降りによって夕暮れ前に中断。
砦内は、何はともあれ守り切ったと意気軒高なもの、ほっとしているもの、これからだった筈だと不完全燃焼により不機嫌なもの。
特に今宵の夜襲はないと踏んでだろう、それぞれに分かれてお互いの労を労ったり更に煽ったり、戦場にしてはやや呑気な喧噪に溢れていた。

その砦を取り巻く城壁の、歩哨の上を行く影。
巡回役の傭兵だろう、シェンヤンの鎧を纏った朱い髪女がひとり、逸るでもない足取りで篝火の下を行く。
時折見張り場に居る同僚に軽口を叩かれても、無表情で一瞥するだけ。
不愛想な女だと揶揄する声にも歩みは変わらず、次の路へと歩いて行く。

(――――詰まらない夜だ)

女は最早雨雲が去り、星空が覗く天をちらと見てから丘の向こうを見遣る。
敵方の陣を見透かすように鋭い視線は、この女が不機嫌の類に属していることを示すだろう。