2021/06/20 のログ
メイラ・ダンタリオ > 右手には戦槌
左手は金属杯に注がれた身体の内側から熱が付くような火酒
メイラの他の者らも、同じように酒を時折傾けている
先に書いていたように、酒を飲んでいる者達は祝杯でもなければ寝る前の一杯でもない
これから暴れられる体を作るための必要な道具だ

雨の中でも戦狂いは止まることを知らない
この雨の音に乗じて敵が忍び込まないとも限らないからだ
メイラを含む酒を傾ける者らは、むしろそれを期待しているかもしれない

しかし中には例外もいる
メイラが王都に送る、自身の家での実験と王都の魔導機械研究への材料にと魔族をあてがう為に選別した者
当然それは女を多く含んでいた
それを良く思わなかった肥えた貴族派が何人かで抗議をしてきている
ようは手元で荷運びに適した移動檻の数人を都合しろというのだ。

「ふんっ!」

返答は一つの、力みの入った声
それと共に、砦の壁とメイラが投擲した戦槌の頭部に挟まれたことで肉煎餅となった抗議の一人。

「豚キノコ風情が、わたくしに意見するなど50年早いですわ。」

そう言って、煎餅となったものが脚を宙に浮かせ、首から上を潰された状態で四肢を指先まで
カクカクガクガクと痙攣させている それは生者の残り香ともいえる
ギロチンで墜ちた首が瞬くように、四肢が細かく震え動いているのだ。

「フフッ、御覧なさいなっ! 豚キノコ野郎が肉煎餅に化けましたわ。」

そう言って、投擲した戦槌に対し手をかざす
壁にめり込む形で重力に逆らっていた重量級の戦槌
それが手の翳しに答えるように、それなりの速度で手元へとそのままの向きで舞い戻ってくる。

ウォンッと金属の震えが一鳴きすると供に、手元に再び握り収まった戦槌。

「好い子ですわ。」

そう戦槌を誉めながらも、その頭上に今だ残り赤を嫌そうに抗議者の一人を呼びつけた
その腹部の布でごしごしとこすり付けるのなら、とっとと去る様に伝えるだろうか。

「一人無駄な兵糧喰いが減りますわね。」

オホホホと、周りにおどけるように笑いかけ。

ご案内:「タナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。