2021/04/29 のログ
ご案内:「タナール砦」にロブームさんが現れました。
ロブーム > 砦の周囲を、魔族側が包囲している。
人間側も奮戦こそしたものの、ゴブリンを筆頭とした繁殖力の強い魔物の人海戦術を前に、手も足も出なかった。
今や、人間側に残された抵抗手段はこの砦に閉じ籠もることだけ――しかし、それとて決して長く続くものではない。
砦の物資は、最早底を尽きかけている――

「……さて、諸君。聞こえているかな?」

魔族の軍勢を後ろに、太った男が一人、砦の扉の前で呼びかけていいる。
大声を張っている訳ではないが、不思議と砦の中に通る声――恐らく魔術的な手法で声を拡散させているのだろう。

「君たちの奮闘は認めよう。だが、こうなった以上、勝敗は明らかである筈だ。
本来であれば、人間側は全て皆殺し、或いは慰み者と相場が決まっている――だが、私は敢えて此処に慈悲を示そう」

そう言って、男は緩く手を広げる。
勿体ぶった動きで間を取って、次の発言への注目を高める――弁舌の基本である。

「君達の内、女性を一名こちらに差し出し給え。
そうしたならば、この砦にいる兵卒以下の者たちは、全員帰還させよう」

戦略的には破格と言っていい条件だった。
たった女一人で、戦力の大部分が帰還できる――美味しい話と言い換えてもいいが、この状況では疑う理由は存在しない。
何故なら、彼は別にこんな条件など持ち出さずとも、女性を奪うことができる立場なのだから。

「更には、その女性が、簡単なゲームに勝てたら――砦の中の人間は全て解放しよう。どうかね、悪い話ではないと思うが」

と更に人間側に都合のいい条件を上乗せしてくる。
損得で言えば、乗るしか無い条件である事は言うまでもない――差し出される彼女の、その身の安全さえ考えなければだが。