2021/01/25 のログ
ご案内:「タナール砦」にジギィさんが現れました。
ジギィ > 鬨の声がわんわんと木霊する
夜空が紅く照らされて星々の輝きを消す

煙の臭いと土埃の匂いと血の匂いとがないまぜになって、石壁の隙間に造られた射撃用の隙間からごうごうと流れ込んでくる。

(―――…味方意外は、全部、敵)

炎に辛うじて見分けられるモノを射て、それが倒れるのを見届けながら次をつがえる。矢は残り少なく、もう箙の中に半分もない。

夜襲のを告げる銅鑼を聴いたのは、見張りの交代で歩哨を歩いていた時。この塔に備えられていた迎撃の弩弓はもう矢が尽きた。窓から射かけながらじりじりと押されてきているのを感じていて、何時の間にやら見える範囲の味方は傭兵らしきものだけだ。

(正規兵は逃げたかぁ)

まあそんなものか、なんて心で思いながら自分も逃げる算段をする。
炎の精の気配が少なくて鬨の声がすこしでも小さい方――――
もうこの部屋には他に気配もない。
打ち棄てて引いても文句は言われないだろう。

(矢が尽きたら、潮時だな)

ジギィ > 砦が徐々に炎に巻かれていくのが見える。
赤く風に舞って空までも焼いていく。
ふとひとつの歌を思い出す。

――空が炎と煙に包まれても
――子らから目を離さず
――その行く末を見ていてくれ
――この旅が炎に包まれ終わるとしても

敵は敵。
味方意外は全部敵。

シンプルで、嫌いじゃない。
半ば笑みさえ浮かべながら曲を口ずさみ、銅色の肌のエルフは最後の矢をつがえて、射る。

その矢が起こした顛末はもう見届けない。此処で朽ちる訳にはいかないから。
踵を返して駆け出すと部屋から廊下へ飛び出して
自分の明日へ続くほうへと――――

ご案内:「タナール砦」からジギィさんが去りました。