2020/12/24 のログ
ご案内:「タナール砦」に影時さんが現れました。
影時 > 近場の街では――何か祭りをやっているという。

いい気なものだ。否、地勢の不安さを知っているからこそ、なのだろうか。
伝え聞く限りで砦の護りが抜かれて、遠く、深く進入されたという話は聞いた気がしないが、世の中何が起こるか分からない。
だが、それだからなのだろうか。
正規の兵士や騎士の人出が足りず、臨時とばかりに砦の防衛の依頼がかかったのは。

採取や小物狩りばかりでは飽き足りぬと、血の気の多い者達が率先して近場のギルドの窓口に殺到した。
彼らに続いて渋々と窓口に赴いたのは、その日暮らしな者たちだろう。
危険はさておき、温かい食事には一応あり付けるのだからと。
大小様々な悲喜こもごもを眺め遣りつつ、人手が足らぬ請われて己も混じる。混じりて至るは――。

「…………漸く、一息ってトコかねェ」

タナール砦、だ。煤臭く、血生臭い煙が夜空に立ち上り、星を陰らす中篝火が焚かれた一角に座して息を吐く。
木箱を椅子代わりとし、ちょっとした賭けに興じてふんだくってきた酒瓶を呷る。
戦いがあったのだ。人手が減ると気づくなら、壁の向こうから虎視眈々と砦を見張るものたちとて愚かではない。

慣れたものならば、その程度のことはいつものことと涼しい顔で受け流す。
話が違うなど、こんなの聞いてねぇと呻き、ぼやくの声が聞こえるのは、見積もりが甘かった。それだけのことだ。