2020/11/28 のログ
ゼロ > 「誰か、居ませんか?王国第七師団、救助に来ました。」

タナール砦の中を、声を上げながら歩く。敵に見つかる可能性も考えなくもないが、其れよりも、救助を待つ人の方が優先である。
敵が居るなら、滅すればいい、助けるべき人を安心させるほうが、何倍も難しい。
だから、少年は声を上げて、人を探す。少年が身に纏う仮面は夜闇を見通し、魔力を感知する仮面だ、だからこそ、出て来た人が、人間なのか、それとも魔族なのか、は判る。
騙そうとして騙せるものではないから、少年は声を上げ、かつり、かつり、グリーブを鳴らし、石畳の中を進む。

「誰か、居ませんか?王国第七師団、救助に来ました。」

もう一度、声を放つ。
砦の外側、内側では、仲間が警戒を行っている。
救助をしている様子もある、残党と戦っているものも、居るのだろう。
声を上げて、少年は、進んでいく。
自分の受け持った区画をしっかりと確認する為。

ゼロ > 「―――居ない、か、逃げた、か……。」

少年は、小さくつぶやく。魔族が襲ってくるならば、兵士は果敢に戦うだろう。
そして、居ないと言うのは、そういう事だ。タナール砦に子供がいるという事は滅多にはない、居るとして、商人が連れてきた家族か。
奴隷か、迷い込んできた存在か、誘拐されてきたか。
土の予想だとしても、碌なものではなくて、此処に子供がいるという事は先ずないと考える。
そして、最初に考えた兵士と言う考えであれば、戦い、負ければ当然―――。
その先は考えない方が良いだろう、碌でもない事でしかない。
撤退の合図とともに、逃げられていればいいのだけれども、と考えながら、少年は区画を進む。

「此処は確か。」

兵士たちの休憩のための居住区。
休んだり、寝たり、する場所である。
場所が場所だけに、家族が来るという事は先ずないだろうけれど、慰安婦とかが来て、よろしくヤルという事もある。
自分にはそんなことはなかったが。
さては兎も角、居住区なら隠れる場所も多くなる。
もしかしたら、と言う一縷の希望を持ちながら、手近な扉を軽くノックしてから開く。
ノックする理由は簡単だ、開けるという事を先に知らせれば、何かしらの反応がある、と考えて

ゼロ > 扉をノックした後に、開けてみる。
気配はなかったから、予想はしていたが、誰もいないようだ。それならば、問題はない。
少年は、その部屋を軽く覗く、仮面を通した視界には生命反応も、死体も、無い。無論、魔力の流れなどもない。
此処にいる理由はなくなった、だから、少年は扉を閉めて、向かいの部屋に。
向かいの部屋の方の扉も、ノックをしてみる。

こんこん、と軽く期の扉を叩く音が響く。
此処に誰かが居て、恐怖をしているならば、返答は無いだろう。
此処に誰かが居て、敵意を持っているのならば、息を殺しているだろう。
どちらにしろ、返答はない物だ、と考えている。

だから、少年は扉を開く。
其処に居るのが誰だとしても、直ぐに反応が出来るように。

そういう事を繰り返しつつ。
少年は、仲間とともに砦を攻略し、人類の手に取り戻すのだった―――

ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。