2020/09/09 のログ
ご案内:「タナール砦」にアリス/ノワールさんが現れました。
■アリス/ノワール > 砦のロビーに、大量の兵士や将軍が縛られている。
その正面に、二人の少女がいる。
一人は、アリス。童話に出てくる様なエプロンドレスを着た、金髪の髪と、見た目――十四歳にしては豊満な胸と、ぷにぷにと肉のついた肢体を持つ少女。
もう一人は、これまた何処か現実離れした、ゴシックドレスを着た少女。こちらは、儚さを感じる程にほっそりとした手足と、鋭い目つきをしている。
「敗者の皆様こんにちは。
皆さんには、これから暫く捕虜として、私達の指示に従って頂きます」
黒髪の少女が、縛られている彼らに対し一礼する。
別に少女は魔族の将軍という訳ではないし、特に戦闘力が強いわけでもないが――しかし、その怜悧な雰囲気が、それらの反論を封じていた。
「しかし、そうは言っても、皆様の内何人かは、脱走や反逆を試みるでしょう。
愚かしいとは思いますが、しかし心情は汲むべきと考えます……故に」
「アリス達がこれから、貴方達の内の一人に、『おしおき』して、それを皆に見てもらう事にしたんだ。
皆の前で情けなーい姿を見せたら、その人もいい子になるし、皆もそうなりたくないから、いい子になる。えーっと、いっせきあちょー?」
黒髪の少女の言葉を継いで言う金髪の少女の言葉は、捕虜たちに動揺を齎した。
つまり、これから自分たちの内一人が、ただ見せしめとして同胞の前で辱められるということなのだから。
「エラい人は誰でも良いって言ってたからー。
うん!此処は『どれにしようかな』で決めよっか」
本当に、どれでも良い――だから遊んで決めようとでも言うかのように、少女は目を瞑って、指を指し、そこから声に合わせて指を動かしていく。
指が止まったその『誰か』が、今日の犠牲者になるのだ。
「ど、れ、に、し、よ、お、か、な!」
無邪気な声が、今日の罪人を指し示す。
ご案内:「タナール砦」にグラスシエルさんが現れました。
■グラスシエル > ――クソがっ! 弱すぎるだろっ!
傭兵としてのオーダーは
【万が一敗走の可能性あれば将兵を無事に帰還させること】
非常に有能な指揮官だ、彼我の戦力比をよく理解していた
ただ、その指揮官以上に、こいつらは弱すぎた
指揮官はきっと悪くない、こいつらが全て悪い
後手に縛られた少年は、石の床にあぐらをかいたまま俯いて考える
当然ながら、逃げるのはなんとかなる。自分の実力であればここから逃げおおすぐらい簡単だ、なにせ相手は弱すぎたこの部隊を馬鹿にするように大した見張りも、チェックも甘かった
少年は素直に投降し腑抜けの一員になった振りをしてるのでむしろ魔族から憐憫の言葉を向けられたのだ、マジで死ね
まあ、逃げられる。一人なら――
だが、これだけの大所帯を逃がすのは流石に困難を極める
どうしたものか、と考えにふけってると
周囲の視線がこちらに向いてる事に気づいた
イライラの頂点に達してた少年は、つい地が出てしまう
「なぁにガンつてけんだクソザコナメクジども
――っと、あ?」
指先がこちらを向いていた。顔を指先に向ける
――これ、ちとやばい? いやチャンスか?どっちだ?
思考をフル回転させる
相手は、そこまで強い魔力を帯びてない。戦闘力が高い魔族ではなさそうだ
ここで――相手の首を食いちぎったら、この雑魚どもも少しは逃げる気になるか?
少年は、わざと怖気づいたように、ずる……と床を這う音をさせて、女から距離をとろうとする
「なん――だよ」
■アリス/ノワール > 偶然指差したのは、むくつけき戦士でも、魔術師でもない。
本来、この場に居る事自体がそぐわない様な、細身の少年だった。
着ているその服は確かに軍服調ではあるが、見る限りでは戦闘能力などなさそうであった。
増して、今は後ろ手に拘束されているのだから。
「アリス?まさか貴女、わざと選んだのでは?」
「えへへー。バレた?何か、この子はとってもいい子になってくれそうだなーって」
「はぁ……良いでしょう。
私もこの子の性格は嫌いではありません」
そう言って、黒髪の少女が少年の前に歩み寄る。
距離を取った分を、何ら警戒もなく詰めて。
そして、そのまま抱き上げ、捕虜たちの前まで連れて行こうとする。
白いうなじが、少年の前に晒される。
但し――
「……《蕩ける威力[チャーム・パワー]》」
耳元で、そう囁かれた瞬間、途端に少年から力が抜ける。
もしも噛みつこうとしても、その力は甘噛程度――少女の首筋に顔を埋める結果にしかならないだろう。