2020/09/04 のログ
ご案内:「タナール砦」にアリス/ノワールさんが現れました。
■アリス/ノワール > タナール砦の地下牢には、一際大きなスペースが開けられている。
そこは、拘束台が置かれ、犠牲者がそこに寝そべり、他の囚人への戒めとばかりに聞くに耐えぬ絶叫を挙げる――そういうものである筈だった。
しかし、今置かれているのは、拷問台の代わりに、インテリアとしても通用するような、オーク材のふかふかのベッド――まあ、大の字に拘束するための金具があるのは変わらないが、それでも地下牢の雰囲気には全く合致しない物が置かれていた。
そのベッドには、二人の少女が腰掛けていた。金髪の、童話に出てきそうなエプロンドレスを着た少女と、黒髪のゴシックドレスを着た少女だった。
「ねえ、アリスお姉さま、早く今日の獲物が来てくれないものかしら。私はもう、退屈ですわ」
「駄目だよ、ノワールちゃん。もうすぐ、偉い人から、『この子をお願い』って来るはずだから。お行儀よく待ってないと!」
しかし実際には、姉と呼ばれた金髪の少女、『アリス』の方が足をばたばたと遊ばせて、お行儀悪くしている。
それを見て、黒髪の少女、ノワールはふぅ、と溜息をつき、
「まあ、良いでしょう。待つのもお役目、楽しむための香辛料――そう思うことに致しましょう」
■アリス/ノワール > 彼女達の役目は、解りやすく言うと尋問、もしくは見せしめである。
尤も、尋問はともかく、見せしめについては意味が違う。
本来、見せしめとは恐怖に依る物だが、彼女達は恐怖心を与える様な責めはしない。
寧ろ、快楽によって相手の心を蕩けさせ、心変わりさせ、その様を他の者達に見せて動揺を誘う方が専門だ。
「ねえ、今日の『お兄ちゃん』はどんな人かな?かわいい人が良いなあ」
「相変わらず、この一点については趣味が一致しませんわね。
私は、寧ろむくつけき、或いは格好の良い方に来てほしいものですわ」
前者は、甘やかす対象としての理想、後者は責め苛む相手としての理想である。
勿論、どの様な者が来るにせよ、二人が手を抜いたり、やる気を減じたりする事は無い。勿論、手心を加える事も。
彼女達にとって、人間とは『お兄ちゃん』であり『遊び道具』であり、勿論『敵』でもあるのだから。
ご案内:「タナール砦」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > うかつだった。
まさか、王都からここに来るまでに情勢が変わっていたとは。
補給物資の輸送を依頼されここまで来たはいいが
伝令が間に合わなかったのだ。いや、王都には伝令が言っているかも知れない。
だが、その情報が自分には、少なくとも伝わっていなかった。
おかげさまで魔族の占領する砦に間抜けにも補給物資を持ってきたというわけだ。
手枷をつけられ、魔族の兵士に牢へと連れてこられる。
「だーから…オレはただの冒険者で、べつになんも…」
衣類以外は没収されて、普段は隠している耳や尻尾もだしたまま。
今はいちいちそんなことは気にしていられない。
背中を押されて牢の前に立たされた。黒髪の青年は
その様相を見て困惑する。
「…なんだこりゃ…」
二人の少女の『部屋』といっても差し支えない牢の様子。
人間が占領した頃と大きく変わったその様子に目を丸くするのであった。
■アリス/ノワール > 「来たっ!」
退屈の余り、いよいよベッドの上で寝転んでいた金髪の少女――ちなみに黒髪の少女は姿勢の良くベッドの上で座り続けていた――がぴょこんと起きて部屋に入ってきたブレイドに駆け寄る。
黒髪の少女の方も、アリスほどにはリアクションはしなかったものの、「やっとですわ」と呟いて、男の方に歩み寄る。
「こんにちは!お兄ちゃん!私、貴方をいーっぱい愛してあげる担当の、アリスだよ!」
にこっ、と満面の笑みで微笑みかけてくる金髪の少女。
それとは対照的に、黒髪の少女の方は、背後の魔族から書類らしきものを受け取り目を通した後、
「……ご機嫌よう。今晩、貴方の懐柔任務を仰せつかりました、ノワールと申します。短い間ですが、お見知りおきを」
と、ゴシックドレスの裾を開いて優雅にお辞儀する。
対照的な二人の挨拶が終わった後、アリスとノワールはブレイドの両手を引いて、ベッドに向かう。
その力は当たり前の少女のものなのだが、何故かブレイドはそれに抗う事が出来なくなっている。
勿論、これはブレイドが自ら責めを望んでいる、とかではなく。
「お会いして早々不躾ではありますが、弱体化魔術を掛けさせていただきました。
具体的にどの程度弱くなるかは秘密ですが、最低限私達に腕相撲で絶対勝てないぐらいには弱々ですので、どうか抵抗など考えませんように」
そうして、ブレイドは両手両足をXの形に拘束される事になるだろう。
武器はおろか、力さえ奪われたブレイド。
少なくとも暫くは、この二人に付き合わなければならない事は、解るはずで。
■ブレイド > 「な、に…?」
状況が、よくわからない。
地下牢、でいいのか?連れてこられて場所にいたのは金髪と黒髪の…
二人の少女。
まるで待ちかねたと言わんばかりに声を上げる二人の姿に混乱は増す。
一体どういうことなのだろうか?ここにいる以上は彼女たちも魔族なのだろうが…
「ちょ、ちょっと…待ってくれ、いったいどういう…」
二人に手を引かれ連れて行かれそうになる。
その前に少しは話しをしたいところだと、抵抗を試みるも…
簡単に引っ張られてしまう。
まるで四肢に力が入っていないように。
「まってくれって!オレはただ依頼でここに来ただけで」
構わず話を進めようとする二人。
彼女らが言うように、まったく抵抗に意味がない。
なんとかしようともがこうとするが、そのかいもなく拘束台に繋がれてしまい。