2020/06/23 のログ
ご案内:「タナール砦」にアマーリエさんが現れました。
■アマーリエ > 必要があれば、赴く。有事があれば、応ずる。それが竜騎師団たる第十師団だ。
現状の所、進捗の変化が見えない城塞都市の戦役から監視を行う一部の部隊を残し、主力を引き上げて本来の業務に戻る。
是非もあるまい。最大兵力である竜の維持には、どうしても戦費を要する。
戦争は経済であると語る軍学者も居る。糧秣を購うに始まり、傷病者への手当等、きりがない。
即時の鎮圧を見込めるならば、麾下の師団を宛がうのは間違いない。
籠城戦の攻略には向かないが起きている事態が事態だ。
故、一旦主力を引き上げる。沈鬱になりかねない兵や騎士達の慰撫も考えれば、当然のことだ。
要請等、あれば全兵力を差し向けることができる。その身軽さもあれば。
さて、一方で――。
「……――ご苦労様。直ぐに片付く程度の攻勢で良かったわぁ」
タナール砦にて、魔族の国からの攻勢あり。その報に一旦本拠に引き上げた竜騎士部隊を率い、出撃する。
砦に駐留する騎士や兵たちが堪えている間に、侵攻の軍の後方に回って急襲を仕掛ける。
敵勢が大規模ではないのが幸いしたか、前後からの攻防の圧で押し潰すは偏に時間の問題とも言いかねない。
事が済み、防衛が成れば快哉が挙がる。その後の事後処理を現在の砦の駐留の指揮者に任せ、外に出る。
駆け寄ってくる侍従の兵に数言、本拠への報告を言伝れば息を吐く。
時は昼間。立つ胸壁の上を駆け抜ける風には、赤黒く鉄錆びた色が混じったように見える。戦場の空気だ。
■アマーリエ > 良くも悪くも嗅ぎ慣れた空気だ。快勝も敗北の時もこの味わいに変わりはない。
嗅いでしまえば、むくむくと体奥で疼くものがあるが、さて、どうだろうか。
「……捕虜でも取ってたかしら。と言っても、直ぐに使い潰されてそうだけど」
或いは娼婦でも居たか? だが、手の早い者達は直ぐに押さえていることだろう。
将の端くれとして、事後処理など手配しなければならないが故、どうしてもこの手のことは後回しだ。
自分向けの性欲処理の吐け口を押さえなければ、その分の戦費を他に回すことが出来る。
師団の予算全体という観点を鑑みれば、比率は僅かになるかもしれない。
だが、金は金だ。浪費を抑えれば他に回すことができる。無駄遣いは後になって響く。
「アスピダに詰めっぱなしだったお陰かしら。みょーにイライラするわね。
こんな処でいい娘の一人や二人、望む方が間違いなんだけど、……お手頃に降ったり転がって来ないかしら」
暑くなってきたから、ポニーテールに纏めた後ろ髪が風に揺れて口元に流れてくる。
手の甲で払いつつ、嘯いて砦の胸壁から中庭に繋がる階段へと歩みつつ嘯く。
■アマーリエ > 「嗚呼、駄目ね。……師団長権限で休暇でも取らないと駄目だわ、こりゃ」
インスタントな妄想が浮かぶ時点で、駄目だ。こういう時は纏めて休みでも取ってだらけたい。
しかし、言葉にしてもそれが難しい情勢であることは己自身が良く知っている。
折角の休みで、部下からの連絡に応じないといけないという時点で駄目だ。興醒めだ。
例えば、アスピダを鉄壁の防護たらしめている要素が打破出来たら、どうなるか。
それこそ蟻の巣に水か油でも流し込むか如く、殲滅できる可能性は高くなる。
噂に聞く指揮者の名に多少なりとも敬意はあるとしても、自分ならぬ麾下の兵や傭兵たちにとってはどうでもいいことだ。
「ひとまず、後詰が着くまでお邪魔させてもらうかしら」
酒でもあれば良いんだけど、と。そう零しつつ砦の食堂の方まで歩むとしよう。
専用の部屋を宛がわれてもおかしくない立場ではあるが、面倒臭いの一言で断る。
――遠く、竜の咆哮が響く。次の戦いは恐らく近い。そう感じながら、今は束の間の休みにその身を浸す。
ご案内:「タナール砦」からアマーリエさんが去りました。