2020/05/24 のログ
ご案内:「タナール砦」にパルフェさんが現れました。
パルフェ > タナール砦。
人間と魔族の国境に存在し、双方が取って取られてを繰り返す場所。
今は人間の守る砦だが、今まさに砦の門が破られようとしていた。

最初の内は攻め入ろうとする魔族達を門に近付かせる事なく押し戻していた人間達。
しかし、その情勢はある時から一転した。

人間でありながら魔族の側に加担する人間の神官、その存在だった。
その神官が張った結界は戦場すべてを覆う事は出来ずとも、激戦の区域に絞れば出来ない事もない。
その力は、魔族以外の本来の力を抑えるもの。
その効果によって一気に防衛線を突破する事を可能にしたのだ。

「ふんっ、私の手に掛かればこの程度は造作もないのだ!
……とはいっても、相変わらずちょっと辛いのだ」

そんな戦線の後方に立ち、その戦況を見詰める神官。
それは膝元まで伸びたヘリオトロープの髪を首元から三つ編みに、瞳はミントグリーンで僅かに釣り目気味な容姿を持つ一人の少女。
流れる風に髪を靡かせながら、少し疲れた様子でゆっくりと吐息を吐いた。
闇の加護、闇に属する魔族以外の力を抑える、人間の国にあるものと相反する加護の力。
人間である彼女にもその効果は及ぶ諸刃の剣ともいえるものだった。

ご案内:「タナール砦」に黒須さんが現れました。
黒須 > (完全なる劣勢状態に陥る人間側と優勢状態の魔族軍。
扉はあともう少しと言う距離にまで届き、破られそうになっていた。
謎の結界により、人間たちの力は衰え、魔族を抑えることも出来ず、ただ押されるがままだった。)

「…チッ、めんどくせぇ…。」

(その様子を砦の高い位置、煙草を吸いながら眺める男が居た。
明らかに嫌そうな顔をする、そのまま咥えていた煙草を握っては灰にし、風に乗せて捨てると、勢いよく結界に飛びこんだ。
紐もない上に、急降下を繰り出す黒須は落ちる寸前に魔術を使い、自身の体の周りに白いオーラを纏わせた。)

「…オラァァァ!!!」

(大きく低い怒声が響くと、地面に到着した。
その瞬間、まるで隕石の衝突かのような勢いで爆破が起きる。
ギリギリまで攻めていた魔族がバラバラになり、パーツが吹き飛び、人間側は無傷、それどころか、元の力に戻っていた。)

「…ったくよぉ、ほぼ毎日だったのに…めんどくせぇことしやがるんだよ…?」

(平気な姿で立ち上がる男黒須。
姿はほぼ一般人そのものだった。
黒い革ジャンにズボンと灰色のYシャツ、頭には黒い帽子をかぶり、腰からは狐のような大きな灰色の尻尾が生えていた。
黒須と人間側の兵隊、全員が同じオーラを纏い、結界の力を無力化させていた。
そのまま、拳を構えて突っ込むと、それに続いて人間側も攻める。
仕切り直し、再度激戦を繰り広げようとしていた。)

パルフェ > 今や破れるだろう門の前で起こる出来事。
その状況にざわめく魔族軍だが、それを除く一部の魔族達と、その神官は冷静そのものだった。
しかも、それを目にする神官はそれを見て次の目標を決定する。
その対処方法さえも。

「驚かなくても良い、あれは私が何とかする!
お前達はあれ以外をどうにかさせるのだ!」

自身の護衛なのだろう付近の魔族達へと伝えれば、結界の集中をそこで止めた。
その魔族達の指示と共に、足止めを食らった先兵達が再び動き出す。
同時に手にした杖を振り翳し、先ずは詠唱と共に杖を地面に打ち立てる。
散っていった以外の魔族達に対する範囲対象の強化魔法。
本来の力で上回る魔族達への強化は、先の加護程でないにせよ更なる優位性を持たせるだろう。

続けて杖で指し示すのは結界に干渉をした相手だ。
途端に、その相手の周囲に発現する強烈な違和感。
勘が鋭いのならば、下手に動く事は危険と判断出来るだろう。
それを無視して動こうものならば、それが相手を覆う様に包み能力を激減させるからだ。

もっとも、それは外側から触れても同じ事。
だからこそ、その相手に構うなと魔族達に伝えさせたのだから。

黒須 > (体勢を立て直し、攻め続ける兵士たち。
相手の強化魔術は分かっていたため、こちらはそれに引きを劣らない数で攻める。)

「めんどくせぇ…。
他の魔族への強化魔術だ!数で抑えろ!!」

(大声で指揮を取ればその通りに動く兵士たち。
一人では何ともできない魔族相手は複数人に任し、その他は他の戦闘を行う。
その大半は黒須だった。)

「オラァ!」

(怒声を浴びせながらも戦う黒須。
彼の手には武器等一切なく、拳のみ。
しかし、魔族が黒須と戦闘を行えば、一瞬のうちに打倒される。
相手の攻撃や動きを読み、綺麗にガードを重ねれば、弱点に向けて一撃を与える。
そのため、数を回さなかった兵士軍にも優位を保てるようになり、確実に数を減らしていった。)

「だぁー!めんどくせぇ…。
先にお山の大将やっちまうしかねぇな…。」

(そう言うと、魔族の攻撃を受けながらも機敏に鼻を動かす。
犬特融の匂いを嗅ぐ動作である。
神官の匂いと魔力の匂いを同時い嗅ぎ分け、居る場所を把握し、見つける。)

「…そこか。」

(一言呟くと、また爆破音が聞こえる。
その正体は黒須の踏ん張りだった。
魔族から受けたダメージを体内に蓄積し、魔獣で足に一気に集中させたことにより、人外なる脚力を付けた。
真空波を巻き起こしながら一直線に神官のもとに向かい、一気に決着をつけようとしていったのだった。)

パルフェ > 後ろから見ていれば、そうした動きはほぼ確認が出来る。
誰がどんな指示を与え、それに対し周囲がどう動くのかを。
それならば、自分がそれに対してどんな行動をすれば良いのか分かってくるもの。

先頭を切る相手が一番厄介ならば、それを封じれば良い。
その相手が攻撃を振るえば、それに合わせ防御魔法をその点に張って防ぐ。
持続性を代償にする代わり、強固な防御効果を瞬間的に発現させるもの。
攻撃を受け打ち倒されているかに見える魔族達だが、意識を飛ばすのは一瞬。
少しの時間を置けば立ち上がり、指示通りに他の相手にし易い兵士達へと攻撃を開始するのだ。
それを無視して先立って突っ込もうとするならば、前に居る魔族達との挟撃で手酷い反撃を受けるだろう。
結果は二択、素直に周囲の魔族達を相手するか、突っ込んで自分達が打ち倒されるか、である。
尤も、持久戦に持ち込めば持続的な回復効果を与える強化の一部によって魔族達が優位になっていく訳だが。

「……動かない方が良かったのに、馬鹿な奴なのだ」

次々と能力を使う相手に、神官はそう言葉を向ける。
その言葉の意味はすぐに知る事となるだろう。
なぜならば、包んでいた力に相手が勝手に突っ込んで来たのだから。
触れれば、能力の数によって能力を減少させてしまう結界。
しかも耐性さえも、その能力減少のカウントに入る厄介なもの。
ただ、能力の減少だけで直接的なダメージは一切与えないが。

結果、こちらと一対一で対峙する形となるだろう。
力をほぼ失った状態で。
とはいえ目の前に来た相手には攻撃は向けられない、指示によって触れるなと伝えられているからだ。

黒須 > (魔族たちの中をかなりの気負いで突破する黒須。
四つん這いになり、まるで獣のような走りで通り過ぎていく。
挟み撃ちを直に喰らうも、直感と嗅覚や聴覚によって全て読めていた。
そのため、ダメージを魔力に換算して自分の中に入れ込み、必要な分だけを拳や脚に回して、なぎ倒し、進んでいく。)

「…あ?」

(途中、次の結界に入ると体に違和感を覚える。
先ほどに比べて出力が減少しているのがわかった。
そこで止まれば魔族に囲まれる。
力が減少した状態、多すぎる魔族、完全に一人相手では勝てない状況、絶望的な時に黒須は呟いた。)

「…めんどくせぇ…。」

(そう言うと、黒須の体にまた白色のオーラが纏う。
炎のような揺らめくオーラは、初めは小さいが次第に大きくなる。
それにつれて体に変化が起こる。
細身な人間の姿である体が大きく膨れ上がり、シャツを破けば黒い毛が生える。
顔も音を立てながら、形が変わり、口は長くなり、頭は大きくなる。
立ち止まっている隙に一斉に襲い掛かる魔族。その瞬間に衝撃波が走る。
黒須の姿は巨大な人狼、ワーウルフのような姿だって、魔族たちを吹き飛ばした後、すぐさま、神官の元にまた走り出す。
しばらくすれば、神官の前で止まり、対面する様になる。)

「…よぉ、テメェがここのリーダーか…。」

(大きく灰色をしている目で睨みつけ、喉を鳴らしながら威嚇のような体勢になる。
しかし、心はとても冷静であり、怒りの様子を出しているが、いつも通りの気持ちだった。)

パルフェ > 一人突っ込んで来てくれるのは、この作戦上では都合が良い。
なぜなら、後ろに置いた兵士達は置き去りになるからだ。
そして、打ち倒されたように見せて守っている魔族達が、その兵士達を襲う。
要するに先兵を守りつつ囮にし、人間の側の攻撃の要をこちらに引き寄せる事が狙いだったのだから。

本来は均衡していた力も、こちらの補助が掛かったままで優位に立っている。
流石に衝撃波を受けた魔族達をすぐ動かせるようには出来ないが、その頃には人間達も動けない者達が増えているだろう。
結局のところ、全体を見れば魔族側優位で事が進んでいる形となっていた。
対面する神官と獣人という状況の中で、砦の方では門にまで攻め上げられている結果となっていた。

「リーダー?何を言っているのだ?
私はあくまでも手伝いで来ているだけ、結果を出す為だけに居るに過ぎないのだ。
だから、ほら、お前はここに引っ張り出されて後ろはあの通り」

威嚇をされようとそれに怯える様子は見せず、二人を無視し砦攻略に集中する魔族達と、それを防ぎ切れなくなっている人間達を指し示す。
多重に絡み付く結界を自ら受け続けていた相手だ、今や見た目だけに近いものとなっているはずなのだ。
こちらも力を発現させている状況な為、総合的な実力差はお互いにもうないのだろうが。
つまりは、今回の戦いの結果は自分達を除いた状態で出る結果がすべてとなる訳だと伝えるように。

黒須 > 「・・・。」

(後ろを振り向けば、かなり押されているのがわかった。
どうやら、自分が先導したのがかなりまずかったように見える。
それでも焦るような表情は見せずいつも通り。)

「めんどくせぇことになったな…。」

(ボリボリと呑気そうにそんなことを呟くと、軽く欠伸をするように口を開ける。)

「ここに来る途中の違和感…ありゃ、お前の結界魔術か…。
通りで、動きが鈍くなったなと思ったが…まぁ、関係ねぇや。
お前を倒せば、結界も消せるだろ?」

(そう言うと、右手を軽く上げる。
手にはあの白いオーラが纏われており、手の甲にはトライバル模様の時計が描かれている。
その後指パッチンの容易で鳴らすと、後ろの方で変化が起きる。
それは、動けなくなった兵士たちの傷や防具、武器が治ったのだった。
まるで何もなかったかのように直っていくと、そのまま、立ち上がり、再び戦場へ。)

「ちと、使い過ぎたが…まぁ、良いだろ…。
後は、お前だけだ?」

(そう言うと、神官の前に立つ。
大振りに振った拳は下から上へと振り上げられ、パルフェの腹に向けて殴り飛ばそうとしていた。
その威力は結界の影響を全く受けておらず、その見た目通りの筋力と魔族から受けた少しのダメージを受けた力であった。)

パルフェ > 少女はこの戦況をずっと見ていた。
だからこそ分かっている、目の前に居る相手の力は瞬間的なもので、持続性が無い事に。
つまり、効果は高いが消費量も高い事を示しているのだ。
それに対し、自分が魔族達に与えているのは持続性のある力。

倒れては回復され調子に波ががある者と、常に回復が続けられ調子に波が無い者。
どちらの方が結果が出せられるかなんて、簡単な問い掛けだろう。
ちなみに、目の前の相手を包む結界や魔族達に与えられている補助は何度も記しているように持続性のもの。
自分が倒れたところで集中が必要な加護と違い解けないのだが、それを伝える必要性はないだろう。
それに対し、相手は消費量の大きさを示唆する言葉を発していた、それが自分の考えに確信を持たせる。
それもまた、こちらが余裕を見せられる要因であった。

「人間に付くお前に答えてやる義務はないのだ。
しかし残念だ、お前の力は私の考えを超えられなかったようなのだ。
力の使い方の相性ってのもあるのだけどね」

万全の調子を常に発せられない人間達は、どうしても押し返しあぐねてしまう。
強制的に復活を遂げても、思ったような結果は出せないのだから当然と言えば当然か。
生き物である人間は、人形とは違うのだ。
そうした考え方は、常に後衛で支援ばかりをしている自分が一歩優勢なのだろう。

そして、自分に向けられた攻撃に対してだが…
その攻撃は、見事に少女の腹部へと突き刺さるだろう。
ただ、そのまま、その姿は霧散して消えてしまう。

身代わりの使い魔。
自分が攻撃を受けた時、代わりにその攻撃を受けてくれる存在。

「お前と同じで私も面倒は嫌いなのだ。
だが立ち去る前に、その力に相応した呪いを置いていってやるのだ。
……それでは、さらばなのだ」

その声は、目の前にいる相手にしか聞こえない声。
消える気配と共に声は消え、それと同時に戦場に大きな変化が現れた。
相手の力を無効化に指定し、発現する呪術。
その力が消えるまで、この戦場で戦う者達に彼の力は一切の効果が出なくなる呪いである。
対象が個人の為にかなり限定的な場面にしか使えないが、こうした状況に最も効果的な力なのは確かで。

この日どちらの側が勝利したのかは予想し難くもなく。
魔族では無いながらも魔族側に加担する、その神官の恐ろしさを人間の側に広める事になるだろうか。

ご案内:「タナール砦」からパルフェさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」から黒須さんが去りました。